工事紐付き融資


2013年11月26日

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日頃から「借りない」会社
私が担当になって2年ほどになる道路補修工事の会社があります。
決算内容は良好なため、日頃から私はこの会社事務所に足を運び、融資提案を繰り返していましたが、いつも「必要ない」の一言が返ってきて、なかなか融資が伸ばせない状態でした。
手許資金を潤沢に保有しており、決算書を見る限り確かに融資は必要のない状態でした。

思いもかけない融資の申し出
このような会社にある日、いつものように融資の提案に訪問しました。
「また断れるだろう」との思いで話をしたところ、この会社の社長からは「いつも断ってばかりいて申し訳ないから、来月3,000万円ほど借入するよ」との反応が返ってきました。
私は飛び上るほどの喜びを抑えてすぐに検討することを伝えるとともに、たまたま決算の更新時期であったため、新しい決算書の提出をお願いし、後日最新決算書をいただく約束をしました。
また同時にいつも断られる会社から急に融資の話を受けたことに対して一種の不安感も覚えました。

決算内容に愕然
数日後、その会社を再び訪問し最新決算書を入手しました。
私はその場ですぐ決算書をぱらぱらと見ましたが、その内容に愕然としました。
売上は前期並みを維持しているものの、大幅な赤字でそれも売上総利益の段階からです。
売上総利益からの赤字というのは明らかな異常事態であり、新たな融資を検討するというよりは、保全を固める、つまり守りに徹するというのが基本的な金融機関の姿勢になります。
前々から融資を提案していた取引先でもあり私は頭を抱えました。
建設業を取り巻く環境は厳しく、採算割れをわかりつつも仕事をするために受注する事例が少なくありません。
仕事がなければ資金が入ってこなく資金繰りが回らなくなるからです。
しかし当社の場合には、手許資金も潤沢に保有しており採算割れの工事を何も無理して受注する必要がないと私は考えていました。
ともかくもこの決算内容では融資の稟議を簡単に通すことは困難です。

赤字原因を確認
私は取引先の社長にアポイントを取り、大幅な赤字の原因を聴取しました。
社長との会話を続けるうちに、赤字の背景には社長の人柄の良さがあることを私は感じました。
つまり、当社からの仕事に大きく依存している下請け先や職人さんを支えるために、採算割れであっても受注を取り、仕事を与えていたのです。
社長からは「下請けや職人はうちの仕事がないと生活していけない。長年のつきあいだから採算が取れないからといってむやみに切るわけにもいかない」と。
ただし社長の人柄の良さで融資は出来ません。
社長は私の心配事をわかっているように「ただしいつまでも今の状態を続けていけば当社がもたなくなる。そうなれば元も子もないので、今期は下請けや職人への支払いを減らすことにしている。下請けや職人も手取りが減っても仕事自体がなくなるよりはまし。不景気だから我慢してもらうよう言っており、『わかった』と言ってもらっている」。

稟議の組み立てを構想
人懐っこい社長の顔を見ながら私は、
1.今までの財務体質の実績から判断してむやみな経営を続ける経営者ではないこと
2.業績回復の手はすでに打っていること
の2点を柱にして融資稟議を組み立てることを考えていました。

自己資本比率の高さやここ数年の黒字決算から基本的には手堅い経営に徹していることを客観的に認めることが出来ます。
また前期の大幅赤字決算を受けて、すでに下請け先などとの交渉を終えて採算確保の施策を実施しており、今期は黒字確保の道筋をつけていると考えられます。

問題は保全
しかしこれだけでは稟議として弱いのです。
何か足りないか?
それは万が一の場合の保全です。
当社に担保となるような資産はありません。
そのため私は社長個人の自宅不動産の登記簿謄本を取り寄せ、担保として見ることが出来ないか調べました。
しかし残念ながら自宅不動産には住宅ローンの抵当権が設定されており、社長への聴取による住宅ローン残高から担保としての余力を見出すことは出来ませんでした。

工事紐付き融資で打開
そこで私は社長にこれからの工事予定の明細を1つ1つ確認させてもらいました。
その中から今回の融資希望額の2,000万円の工事立替負担が発生する工事明細をピックアップし、その工事代金回収時期を聴取するとともに、工事代金の回収口座は当行口座に指定してもらうよう話をしました。
つまり、
・融資対象の工事を明確にする
・工事代金の回収時期と融資期日を一致させる
・工事代金の回収は当行口座にしてもらい融資の返済原資を確保する
という工事紐付き融資にて保全面を打開することを考えました。

もっともこれは確実な保全とは言えません。
しかし漠然とした運転資金融資とは異なり、工事代金を当行口座に入金指定することで返済原資を確実に取り込むことが出来ます。
さらに工事代金の入金日と融資期日を一致させることで、工事代金の流用を防ぐとともに、当社に対する心理的なプレッシャーを与えることが出来ます。
このことにより保全面を補完することが出来るのです。
これらにより融資稟議は無事に決裁され、希望額通りに融資を実行することが出来ました。

融資の実行にあたり私は会社事務所を訪問し、社長と融資契約を行いました。
その際、社長から「実は他の銀行にもお願いしていたが、その銀行からは融資を断られました。
我が社のメイン銀行と考えていたけれど、苦しいときに助けてくれなければ何のためのメイン銀行かわからない。
今回はお宅にずいぶんと助けられました。
うちの工事代金はほとんどメイン銀行に入るようにしているけれども、これからは順次、お宅に切り替えていきます」。
融資担当者としての喜びを噛みしめながら、私は事務所を後にしました。






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