普段とは違う社長の姿


2014年03月02日

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U社は魚をレトルト商品化し、スーパー等に卸売りをしている会社です。
社長は威勢の良い女性社長で、いつお会いしても声が大きく元気一杯の様子でした。
U社を設立して7年ほどが経過しています。
この間、この女性社長の持ち前の営業力で年商は250百万円ほどに成長していました。
当行はU社の主力銀行として信用保証協会の保証付融資の他に、無担保のプロパー融資にて資金繰りを支援しています。

普段とは違う社長の姿
このようなU社に私はある日、社長を訪ねました。
前回の融資実行から2年程度が経過しており、新規融資のセールスを兼ねて訪問してみたのです。
ところがU社の社長は頑なにこちらの融資セールスを拒んだのです。
「今借入させてもらっても、とても返す自信がない」と。
いつもの威勢の良い女性社長の姿はまったくありませんでした。
細かく話を伺ってみると、新規事業が失敗し、売上が激減しているとのことでした。

新規事業の失敗
U社の主力商品はサバの味噌煮のレトルト商品ですが、仕入先のほとんどは東北地方からのものでした。
震災の影響で東北地方からサバを仕入れすることが困難となり、売上が大幅に減少していたのです。
すぐに東北地方から再び仕入れをすることが出来る状況ではありませんでしたので、U社は新たな仕入先を九州地方に見つけて売上の回復を補う計画を立てました。
九州地方から仕入をする魚の種類は東北地方からのものとは異なるもので、主に金目鯛です。
U社は金目鯛の煮付けをレトルト商品化し、従来の販売ルートとは異なり郵便局で取り扱っている通信販売を利用する方法を計画しました。
今までの販売ルートとは別のルートを確立することで、事業基盤の強化を狙う目的も兼ねてのことでした。
女性社長はこの新商品の販売を成功させるために、時間とエネルギーのほとんどをこの分野につぎ込みました。

しかし新商品の販売は結果として失敗しました。
すでに多くの業者が参入しており、U社の商品がすぐに脚光を浴びるような甘い環境ではなかったのです。
新商品の販売に社長のほとんどの時間とエネルギーを投入したことで、従来からの商品販売(サバ)がおろそかになってしまい、まさにU社は二十の苦しみに遭遇していました。
資金を新商品の販売分野に集中的に投入したこともあり、資金繰りにも大きな圧迫が加わることになりました。

リスケの相談
U社の社長からは「御行には決して迷惑をかけないつもりでやってきましたが、状況はご覧のような状態です。毎月の返済が苦しくて、苦しくて。返済額を少なくしてもらうようなことは出来ますか?」と返済条件の緩和まで相談を受けるようなことになってしまいました。
私は返済条件の緩和は検討出来ることをまずお伝えするとともに、返済条件の緩和のデメリットについても説明を行いました。
つまり返済条件の緩和を行うと、現実的には
・返済条件の緩和はプロパー融資とともに信用保証協会の保証付融資も原則として同条件で行うこと
・他行にも返済条件の緩和を受けてもらうこと
・このためその後の新規融資が当行および他行を含めて実際上は困難となること
が主にデメリットとして発生してしまうことを説明しました。

リスケ企業にしたくない担当者の思い
また私としてはこの元気な女性社長をいわゆるリスケ企業にはしたくないという理屈抜きの思いがありました。
かといって当面の資金繰りを維持するための新規融資は難しい状況でした。
直近の試算表を徴求しましたが、前期と比べて売上は3割ほどに極端に落ち込んでいます。
とても新規融資が検討出来る状況ではありませんでした。
売上がこれだけ落ち込むと当然大幅な赤字となります。
現に徴求した試算表を見ると大きな赤字状態です。

私は社長に「何とかあと半年ほどがんばることは出来ませんか。お約束することは出来ませんが、半年間の状況を見て改善しているようであれば、追加融資が可能になるかもしれません。どうでしょうか」と尋ねてみました。
社長からは「今は従来の業務であるサバのレトルト商品の販売に特化しています。新商品の販売計画はきっぱりとあきらめました。やっぱり私にはサバが似合っているのです。毎日時間がある限り営業を自ら行っており、今までの水準には到達していませんが、先行きが見える状況になってきました。あと半年ほどは何とかやってみます」との答えが返ってきました。

返済条件の緩和は確かにU社の資金繰りを維持するために効果的な方法です。
しかし一度返済条件の緩和を行うと再び正常な取引先として新規融資が可能となるには相当の時間を要してしまうのが実態です。
この間、U社は手元の資金繰りの範囲内でしか事業を行うことが出来ず、元気のよい女性社長の力が存分に発揮する機会を奪ってしまいかねません。

業績回復の実績を見て融資検討
社長の踏ん張りの効果もあって、売上は少しずつ回復傾向にありました。
私としては今は追加融資は無理としても、向こう半年ほどの実績を見て業績が回復傾向にあれば必要最低限の融資は可能ではないかと考えていました。
上司にもそのことを説明し、数日後に私は上司とともに信用保証協会に出向き、U社の現状を説明するとともに、半年程度の実績を見て追加保証の検討を相談しました。
もちろん確約を得ることは出来ませんが、信用保証協会も半年間の実績を見て回復傾向にあることが判明すれば、必要最低限の追加保証は検討する旨の回答を得ることが出来ました。

私はその後U社の社長と連絡を取り、あと半年間はかんばってほしいことと、半年後には十分ではないが一定金額の追加融資による支援の可能性があることをお伝えしました。
社長からは「それを聞いてエネルギーが沸いてきました。今まで一杯苦労がありましたから、それに比べれば大したことではありません。半年後を期待しておいてください」との声を聴くことが出来ました。






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