財務分析・資金繰り入門28 資金運用表の作り方(2)長期面


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資金運用表の長期面ではおもに設備投資やその他投資による資金の流れを確認することが出来ます。

資金運用表の長期面の作り方
 

 

運用

調達

 

 

 

決算支出   税前利益  
設備投資   固定資産減価償却費  
投融資   引当金等  
    資産処分損益・評価損益  
合計   合計  
長期面資金過不足      

サンプルとしてA社の決算書をもとに資金運用表の長期面を作成していきます。

A社の貸借対照表

(単位:百万円)

資産

負債・純資産

科目

1期

2期

増減

科目

1期

2期

増減

現預金

21

18

▲3

支払手形

42

45

3

受取手形

22

30

8

買掛金

21

22

1

売掛金

16

20

4

短期借入金

27

47

20

棚卸資産

23

31

8

未払法人税等

2

3

1

貸倒引当金

▲1

▲1

0

その他流動負債

3

1

▲2

その他流動資産

8

8

0

 

 

 

 

流動資産合計

89

106

17

流動負債合計

94

118

24

有形固定資産

81

97

16

長期借入金

39

43

4

無形固定資産

0

0

0

退職給付引当金

3

3

0

固定資産合計

81

97

16

その他固定負債

0

0

0

投資等

7

5

▲2

固定負債合計

42

46

4

繰延資産

0

0

0

純資産

40

44

4

資産合計

177

208

31

負債・純資産合計

177

208

31

(割引手形)

(30)

(35)

(5)

 

 

 

 

A社の損益計算書
(単位:百万円) 

 

1期

2期

売上高

180

216

売上原価

135

162

売上総利益

45

54

販管費

35

42

(うち固定資産減価償却費)

(5)

(7)

営業利益

10

12

営業外収益

1

2

(うち受取利息配当金)

(1)

(2)

営業外費用

3

4

(うち支払利息割引料)

(3)

(4)

経常利益

8

10

特別利益

0

0

特別損失

0

1

税前利益

8

9

法人税等

4

5

当期利益

4

4

※2期の損別損失1百万円は有価投資証券売却損(簿価2百万円、売却価格1百万円)
※1期中の配当金支払いは0百万円、2期中の配当金支払いは1百万円とする。

決算支出について

決算支出は配当金の支払いと法人税等の税金の支払いを指します。
最初に配当金です。

第1期から第2期の間に支払われる配当金は第2期の期間中に支払いが実行されますが、第2期の期間中に支払われる配当金は第2期の決算に基づき決定される配当金ではなく、第1期の決算に基づいて決定された配当金です。
したがって第2期中に支払われる配当金の金額は第1期の「株主資本等変動計算書」に記載されているものです。
ここでは株主資本等変動計算書は掲載していませんが、第2期中に支払われる配当金は1百万円とします。

つぎに税金です。
法人税等の税金支払いは原則として決算日の翌日から2ヵ月以内に支払う必要があります。
また事業年度が6ヶ月超の会社の場合には、期首から6ヶ月を過ぎた日から2ヵ月以内に中間納税を支払う必要があります。

これをA社にあてはめて考えてみると、第2期の期間中に支払う税金は第1期の決算確定申告に基づく納税と中間納税の合計額ということになります。
第1期の確定申告に基づく納税額は第1期の貸借対照表の未払法人税等2百万円となります。

そして第2期の中間納税の金額は第2期の損益計算書の法人税等5百万円から第2期の貸借対照表の未払法人税等3百万円を差し引いた2百万円となります。
したがって第2期中に支払った税金は2百万円+2百万円=4百万円となります。

決算支出は配当金と税金でしたから、決算支出としては配当金1百万円+税金4百万円=5百万円となり、この数字を資金運用表の決算支出欄に記入することになります。

(単位:百万円)

 

運用

調達

 

 

 

決算支出

5

税前利益  
設備投資   固定資産減価償却費  
投融資   引当金等  
    資産処分損益・評価損益  
合計   合計  
長期面資金過不足      

設備投資について

設備投資は単純に第1期と第2期の有形固定資産の増加額ではありません。
減価償却を考慮する必要があるからです。

第2期末の有形固定資産残高は第1期末の有形固定資産残高に第2期の設備投資額を加算し、2期中の有形固定資産減価償却費を減算したものです。
数式で表すと
第2期末有形固定資産残高=第1期末有形固定資産残高+第2期設備投資額-第2期有形固定資産減価償却費
の関係が成り立ちます。

したがって
第2期設備投資額=第2期末有形固定資産残高-第1期末有形固定資産残高+第2期有形固定資産減価償却費
となります。
有形固定資産残高の増加額は16百万円、第2期の有形固定資産減価償却費は7百万円ですから、設備投資額は23百万円となります。

(単位:百万円)

 

運用

調達

 

 

 

決算支出

5

税前利益  
設備投資

23

固定資産減価償却費

7

投融資   引当金等  
    資産処分損益・評価損益  
合計   合計  
長期面資金過不足      

投融資について 

A社の場合、簿価2百万円の投資有価証券を1百万円で売却しています。借対照表の投資等は▲2百万円となっていますが、この場合は、実際の売却額1百万円を資金の調達と考え、資金運用表の運用欄の投融資に▲1百万円と記入します。
一方で損益計算書の税前利益にはすでに資産処分損益・評価損益が加味されていますから、資産処分損益・評価損益を勘案する前の状態に戻すために、資産処分損益・評価損益欄にプラス1百万円と記入します。

(単位:百万円)

 

運用

調達

 

 

 

決算支出

5

税前利益  
設備投資

23

固定資産減価償却費

7

投融資

▲1

引当金等  
    資産処分損益・評価損益

1

合計   合計  
長期面資金過不足      

税前利益について

損益計算書の税前利益の数値をそのまま記入します。
(単位:百万円)

 

運用

調達

 

 

 

決算支出

5

税前利益

9

設備投資

23

固定資産減価償却費

7

投融資

▲1

引当金等  
    資産処分損益・評価損益

1

合計   合計  
長期面資金過不足      

引当金等について

引当金等は実際には資金の出入れは伴っていません。
あくまでの損益上のものだけです。
引当金等が増えればそれだけ損益はマイナスとなりますが、実際には資金の移動は発生していませんから、増加分の損益を修正するために、資金運用表の調達欄に増加分をそのまま転記します。

A社の場合は増加額0ですから、0を転記します。
(単位:百万円)

 

運用

調達

 

 

 

決算支出

5

税前利益

9

設備投資

23

固定資産減価償却費

7

投融資

▲1

引当金等

0

    資産処分損益・評価損益

1

合計   合計  
長期面資金過不足      

以上により資金運用表の長期面は次のようになります。

(単位:百万円)

 

運用

調達

 

 

 

決算支出

5

税前利益

9

設備投資

23

固定資産減価償却費

7

投融資

▲1

引当金等  
    資産処分損益・評価損益

1

合計

27

合計

17

長期面資金過不足

▲10

   

資金運用表長期面の見方

まず長期資金過不足が▲10百万円となっていますから、長期面において資金が10百万円の不足であったことがわかります。
不足の大きな原因は利益や減価償却以上の設備投資を実施したことです。

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