ホーム>他社の資金繰り事情に学ぶ>固定費が資金繰りを圧迫する
固定費とは
固定費とは人件費や事務所の家賃など売上の増減に関わりなく常に一定の支出が発生する経費のことです。
一方で電気代や水道料金など売上の増減に比例して支出額が変動する経費を変動費と呼んでいます。
売上が減少してくると固定費負担が資金繰りに重くのしかかる
売上が十分に確保できている状況では固定費に対してそれほど負担感はないのですが、売上が減少してくると固定費は資金繰りに重くのしかかってきます。
売上が減少するということはそれだけ現金収入が減少することです。
これに対して固定費は売上が減少して現金収入が減少しているにもかかわらず、一定額の支出が必要ですから資金繰りに重くのしかかってくるのです。
中小企業の固定費と資金繰り事例
ある中小企業(製造業)の事例をご紹介します。
下の表をご覧ください。
(単位:百万円)
2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | |
売上高 | 187 | 132 | 133 | 96 | 87 |
売上総利益 | 87 | 60 | 63 | 45 | 50 |
販管費 | 88 | 76 | 68 | 50 | 46 |
営業利益 | ▲1 | ▲16 | ▲5 | ▲5 | 4 |
この中小企業は2008年に銀行融資の返済条件を緩和した先ですが、高年齢の社員が多く、工場の家賃など固定費の負担が重い中小企業でした。
売上の減少に伴い固定費負担が損益に重くのしかかり、毎期営業赤字の状態で、当然資金繰りも逼迫している状況です。
とにかく支出を抑制しなければ、近い将来、会社の存続が困難な事態に陥るため、社員の削減などにより固定費の削減に取り組むとともに、銀行融資の返済条件緩和により支出を抑制し、資金繰りの維持に努めてきました。
2010年になり固定費をはじめとした経費削減努力などが功を奏し、売上の減少傾向に歯止めがかからないものの、営業黒字への転換を果たしています。
固定費はとにかく資金繰りを圧迫します。
売上が減少してくると固定費による資金繰りの圧迫度合いは増してきます。
こうなると先ほどの中小企業の事例に、社員の削減など痛みを伴う施策が必要になってきます。
そうならないように、固定費には常に目を光らせ、膨張しないように日ごろから管理することが重要です。