銀行員の決算書分析 借入金の実態使途
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銀行は融資したお金を最終的には最後まで回収することで一連の融資業務が完了します。
経験的にお金が運転資金や設備資金など事業に関係の深いところに使われている場合は、きちんと最後まで返済されるケースが多いです。
一方でお金が事業に関係のないところ、例えば赤字の埋め合わせや投資などに使われている場合、返済が滞る確率が飛躍的に高まる傾向があります。
事業に関係の薄いところにお金が使われている場合、私たちはそれを危険な借入金などと呼んでいます。
このような点から、その企業の借入金が実態として何に使われているのかは非常に気にしているところです。
では銀行員は企業の借入金の実態使途をどのように分析していると思いますか?
それは決算書の貸借対照表(バランスシート)から類推しています。
銀行員が借入金の実態使途を検証する手順
銀行員が借入金の実態使途を類推する手順はつぎのとおりです。
1.まず所要運転資金を調べる
所要運転資金は
【受取手形+売掛金+在庫(商品・原材料・仕掛品)-支払手形-買掛金】によって計算することが出来ます。
この数字がその会社のあるべき所要運転資金なのです。
2.有形固定資産を調べる
土地や建物、機械、車両などです。
あくまで有形固定資産であって、無形固定資産や投資勘定は含まれません。
3.借入金額を調べる
短期借入金、長期借入金、社債の合計額です。
なお中小企業の場合、社長などからの役員借入金も存在しますが、この役員借入金も借入金として把握します。
上記1から3によって求めた数字によって銀行員は借入金の実態使途を把握します。
具体例をお示しします。
具体例1
所要運転資金=2,000万円
有形固定資産=3,000万円
借入金=4,000万円
この場合、借入金はすべて所要運転資金と有形固定資産の範囲内に収まっています。
つまり借入金はすべてその会社の事業に関係の深いところに使われており、正常な借入金として銀行員が安心するパターンです。
具体例2
所要運転資金=1,000万円
有形固定資産=500万円
借入金=5,000万円
この場合は、所要運転資金と有形固定資産を合計した金額以上の借入金が存在しています。
差額の3,500万円は会社の事業とは直接的に関係のないところに使用されている可能性が高くなります。
雑資産への流用はもっとも危険
会社の事業と直接的に関係のない資産を銀行員は「雑資産」と呼んでいます。
投資勘定や貸付金、仮払金などです。
これらに借入金が使用されていると、経験則上、融資したお金が返ってこない確率が飛躍的に高まるのです。
危険な借入金とも呼んでいます。
銀行の融資は運転資金や設備資金に使用されることを原則としています。
仮にこの状態でその会社から追加融資を求められたとしても、会社の事業とは直接関係のところにお金が使われる危険が高くなります。
したがってこのような会社には追加融資は慎重になるのです。
なお雑資産がほとんどない場合は赤字の補填に使われている場合や、逆に現預金としてプールされている場合があります。
雑資産がほとんどなく、累積赤字もない場合は現預金としてプールされていることが多く、この場合は別に危険な借入金ではなく銀行員は安心します。
借入したお金は当初は仕入資金や機械の購入など事業資金に使ったかもしれません。
しかしそのことを銀行員は知ることが出来ません。
したがって客観的に貸借対照表(バランスシート)で借入金の実態使途を類推するのです。
貸借対照表(バランスシート)により静態的にお金の使い道を把握し、正常な借入金か、それとも危険な借入金かを把握するのです。
まとめですが、借入金が運転資金や設備資金以外の雑資産に実態として使われている場合、銀行員は危ない会社としてその会社に対する融資姿勢は厳しくなります。
原則として追加融資には応じません。
この傾向は今後ますます強まると思います。
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