借入金管理・返済計画

銀行から借入金を減らすように言われたら?社長が取るべき7つの対応策

「銀行から借入金を減らすように言われた」

「借入金の返済だけでも資金繰りが苦しいのに、どうすれば借入金を減らせるのか」

「銀行から借入金が多すぎると指摘されたが、今後の融資にどのような影響があるのか」

このような悩みを抱えている中小企業の経営者もいらっしゃると思います。

銀行から借入金を減らすように言われた場合、単に借入金残高が多いというだけではなく、会社の返済能力に対して借入金が過大になっていると銀行が判断している可能性があります。

借入金が多い会社では、毎月の返済負担が重くなり、既存借入金の返済資金を確保するために新たな借入が必要になることもあります。

このような状態が続くと、銀行は追加融資に慎重になり、やがて返済条件の変更、いわゆるリスケを検討せざるを得なくなる可能性があります。

しかし、リスケに至る前に検討できる対応もあります。

この記事では、銀行の法人営業・融資審査に長年携わってきた経験を踏まえ、銀行が借入金の削減を求める理由と、社長が実行すべき具体的な改善策を説明します。

結論|銀行から借入金を減らすように言われたら返済能力を確認する

銀行から借入金を減らすように言われた場合、まず確認したいのは、現在の借入金残高が会社の返済能力に見合っているかどうかです。

銀行が借入金の削減を求める背景には、主に次のような懸念が考えられます。

  • 年商に対して借入金残高が大きすぎる
  • 利益やキャッシュフローに対して毎月の返済負担が重い
  • 既存借入金の返済のために新たな借入を繰り返している
  • 現在の収益力では借入金を十分に返済できない
  • 追加融資を行っても回収できる可能性が低い

こうした問題がある場合、銀行は追加融資に慎重になります。

経営者としては、銀行が何を問題視しているのかを確認し、借入金の削減と返済負担の軽減を検討する必要があります。

具体的には、複数の借入金の集約、借換えによる返済期間の見直し、不動産や投融資の売却による借入金の圧縮などが考えられます。

重要なのは、借入金残高を減らすことと、毎月の返済負担を軽くすることを区別して考えることです。

毎月の返済額を減らしても借入金残高が減るとは限りません。一方、資産売却によって借入金を返済すれば、借入金残高そのものを減らせる可能性があります。

銀行が借入金を減らすように求める5つの理由

理由1.年商に対して借入金が多すぎる

銀行が借入金の多さを判断する際に確認する指標の一つが、年商に対する借入金残高の割合です。

例えば、次の2社を比較してみます。

項目 A社 B社
年商 1億円 1億円
借入金残高 3,000万円 1億2,000万円
年商対比借入金 30% 120%

※説明のための仮定事例です。

同じ年商1億円でも、A社の借入金は3,000万円、B社は1億2,000万円です。

一般的にはB社の方が借入金の負担が大きいと考えられます。

ただし、年商対比の借入金割合だけで借入過多と判断できるわけではありません。

設備投資が多い製造業や不動産賃貸業と、比較的設備投資の少ない卸売業などでは、必要な借入金の水準が異なります。

銀行は業種や借入金の使途、収益力、返済能力なども踏まえて判断しています。

理由2.借入金の返済負担が重い

借入金残高が多い会社では、毎月の元金返済額も大きくなりがちです。

例えば、年間の元金返済額が2,000万円ある一方で、会社が事業活動から生み出す返済原資が800万円程度しかない場合、年間1,200万円の不足が生じる計算になります。

不足分を預金の取り崩しや資産売却などで補えなければ、新たな借入に依存する可能性があります。

銀行は、借入金残高だけでなく、毎年の元金返済額に対して会社がどの程度の返済原資を生み出せるかを重視します。

理由3.借入金を返済するために新たな借入が必要になっている

借入金が多い会社では、既存借入金の返済によって預金が減少し、資金繰りを維持するために新たな借入を必要とする場合があります。

例えば、毎月200万円の元金返済がある一方で、返済に充てられる資金が毎月100万円しかなければ、毎月100万円の不足が発生します。

この状態が続けば、年間1,200万円の資金不足になります。

その不足分を新たな借入で補い続けると、借入金残高がなかなか減りません。

銀行としては、今後も継続して追加融資を行わなければ返済を維持できないのではないかと懸念します。

ただし、正常な運転資金の折り返し融資や短期継続融資まで、すべて問題があるということではありません。

問題となるのは、事業から返済原資を十分に生み出せず、資金不足を補うための借入が恒常化している場合です。

理由4.追加融資を行っても返済できる見込みが低い

銀行は、追加融資を検討する際に、既存借入金と新たな借入金を合わせた返済能力を確認します。

現在の借入金の返済がすでに重い会社に追加融資を行えば、返済負担がさらに増加する可能性があります。

銀行から見れば、追加融資によって一時的に資金繰りが改善しても、その後に返済できなくなるリスクがあります。

そのため、借入金が過大な会社では、追加融資よりも既存借入金の削減や返済負担の見直しを優先するよう求められることがあります。

理由5.銀行自身の融資回収リスクが大きくなっている

銀行は融資先の返済能力に加え、融資した資金を回収できるかどうかも確認します。

借入金残高が多く、業績も悪化している場合には、将来の融資回収に対する懸念が大きくなります。

また、担保や保証による保全が十分ではない場合、銀行が追加融資に慎重になることもあります。

このような状況では、銀行が融資残高の削減を求めることがあります。

銀行から借入金を減らすように言われたら最初に確認すべきこと

銀行が問題視しているのは借入金残高か返済負担か

銀行から借入金を減らすように言われた場合、まず銀行の意図を確認することが重要です。

例えば、次のように質問することが考えられます。

  • 年商に対して借入金残高が多すぎるということでしょうか。
  • 現在の利益に対して年間返済額が大きいことが問題なのでしょうか。
  • 借入金残高そのものを減らす必要があるのでしょうか。
  • 毎月の返済額を軽減できれば、銀行の評価は変わるのでしょうか。
  • どの程度の改善が必要だと考えているのでしょうか。

銀行の担当者が具体的な融資判断基準をすべて説明できるとは限りません。

それでも、問題が借入金残高にあるのか、返済負担にあるのかを把握することは重要です。

借入金一覧表を作成して返済負担を把握する

次に、すべての金融機関からの借入金を一覧表にまとめます。

確認する項目は、銀行名、借入金残高、金利、毎月の元金返済額、返済期限、担保や保証の有無などです。

複数の金融機関から借入を行っている場合、会社全体の返済負担を把握できていないことがあります。

借入金一覧表を作成することで、どの借入金の返済負担が大きいのか、借換えや集約の余地があるのかを検討できます。

銀行から借入金削減を求められた場合の7つの対応策

対応策1.複数の借入金を集約して毎月の返済額を軽減する

リスケに至る前の対応として、複数の借入金を集約する方法があります。

例えば、次のような借入金がある会社を考えてみます。

借入金 残高 毎月返済額
A銀行 2,000万円 50万円
B銀行 1,500万円 40万円
C信用金庫 1,000万円 30万円
合計 4,500万円 120万円

※説明のための仮定事例です。毎月返済額は元金返済額とします。

この会社の毎月の元金返済額は120万円、年間では1,440万円です。

仮に4,500万円を新たな7年返済の借入金に集約できれば、元金均等返済の場合、毎月の元金返済額は約53万6,000円になります。

毎月の元金返済負担は約66万円軽減される計算です。

ただし、これはあくまで計算例であり、銀行がこの条件で借換えに応じることを意味しません。

また、返済期間を延ばせば利息負担が増える可能性があります。借換えに伴う諸費用や担保・保証条件も確認が必要です。

借入金の集約は、借入金残高そのものを減らす方法ではありませんが、毎月の返済負担を軽減し、資金繰りを安定させる方法の一つです。

対応策2.借換えによって返済期間を見直す

借入金の集約が難しい場合でも、個別の借入金について借換えを検討できる場合があります。

例えば、返済期限が近い借入金を新たな長期融資で借り換えることができれば、毎月の返済額を軽減できる可能性があります。

ただし、銀行は借換え後の返済能力や資金繰りを確認します。

業績が悪化し、返済能力が大きく不足している場合には、借換え自体が難しくなることがあります。

借換えは、まだ銀行が通常の融資審査で対応できる段階で検討しておきたい方法です。

対応策3.不動産を売却して借入金を圧縮する

借入金を抜本的に減らす方法として、不動産の売却が考えられます。

例えば、会社が事業に直接使用していない土地や建物を保有している場合、その売却代金を借入金返済に充てる方法があります。

借入金残高が1億円の会社が、遊休不動産を3,000万円で売却し、売却費用などを差し引いた資金を借入金返済に充てれば、借入金を大きく圧縮できる可能性があります。

ただし、売却代金の全額を返済に充てられるとは限りません。

不動産に担保が設定されている場合には、担保権者である銀行との調整が必要です。

また、売却に伴う税金や諸費用、売却後の事業への影響も確認する必要があります。

重要なのは、事業継続に必要な資産まで無理に売却しないことです。

対応策4.不要な投融資を整理する

会社によっては、本業以外の投資有価証券や関係会社への貸付金などを保有している場合があります。

これらの資産を整理することで、借入金を圧縮できる可能性があります。

例えば、事業上の必要性が低い投資有価証券を売却し、その資金を借入金返済に充てる方法があります。

関係会社への貸付金についても、回収可能性を確認し、回収できるものがあれば資金化を検討します。

ただし、帳簿上の金額と実際に回収・売却できる金額が一致するとは限りません。

投融資の整理に当たっては、売却損益や税務上の影響、取引関係への影響も確認する必要があります。

対応策5.利益改善によって返済原資を増やす

借入金を継続的に減らすためには、会社が事業活動から返済原資を生み出すことが重要です。

そのためには、売上高だけでなく、売上総利益率や固定費などを確認し、利益改善に取り組む必要があります。

例えば、原材料価格の上昇によって利益率が低下している会社であれば、販売価格の見直しや仕入条件の改善などが考えられます。

不採算事業がある場合には、事業ごとの損益を確認し、改善や撤退を検討する必要があります。

ただし、利益が増加しても、売掛金や在庫が増加すれば資金繰りが改善しない場合があります。

利益改善と資金繰り改善を一緒に進めることが重要です。

対応策6.資金繰り表で借入金返済の見通しを確認する

銀行から借入金の削減を求められた場合、今後の資金繰り表を作成することをおすすめします。

資金繰り表では、売上入金、仕入代金、人件費、経費、税金、借入金返済などを確認します。

特に重要なのは、今後の借入金返済を継続しても資金繰りを維持できるかどうかです。

例えば、今後6か月間の資金繰りを確認した結果、借入金返済によって預金残高が毎月減少するのであれば、早めに対応する必要があります。

資金繰り表によって、借換えや資産売却が必要な時期、必要な金額などを把握できます。

対応策7.改善が難しい場合は早めに銀行へ相談する

借入金の集約や借換え、資産売却、利益改善などを検討しても返済負担を十分に軽減できない場合には、早めに銀行へ相談することが重要です。

何も対応せず、既存借入金の返済を新たな借入で補い続けることには限界があります。

銀行が追加融資に応じなくなれば、資金繰りが急速に悪化する可能性があります。

その段階では、返済条件の変更、いわゆるリスケを検討せざるを得なくなることもあります。

ただし、リスケは必ず避けるべきものではありません。資金繰りが維持できない場合には、事業継続のために必要な対応となることもあります。

重要なのは、資金繰りが行き詰まるまで何もせず、対応の選択肢を失ってしまうことを避けることです。

銀行融資・資金繰りのメール相談

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「借入金の返済負担が重く、資金繰りが厳しくなっている」

「リスケに至る前に、借入金の集約や借換えを検討したい」

このようなお悩みはありませんか。

銀行の法人融資・融資審査の経験を踏まえ、銀行が懸念しているポイントや借入金管理、資金繰り改善の考え方についてメールでご相談を受け付けています。

※ご相談はメールで受け付けています。融資の実行や審査通過を保証するものではありません。

借入金の集約とリスケは何が違うのか

借入金の返済負担を軽減する方法として、借入金の集約とリスケがあります。

両者は似ているように見えますが、銀行の対応は異なります。

比較項目 借入金の集約・借換え リスケ
基本的な方法 新たな融資で既存借入金を返済する 既存融資の返済条件を変更する
銀行の審査 新規融資としての審査が必要 返済条件変更の審査・協議が必要
毎月返済額 条件次第で軽減可能 合意内容に応じて軽減可能
追加融資への影響 借換え後の財務内容などによる 一般に新規融資のハードルが高くなる

借入金の集約や借換えは、銀行が新たな融資に応じられることが前提となります。

一方、リスケは、現在の返済条件では返済継続が難しい場合に、銀行と協議して返済条件を変更する方法です。

リスケを行うと、一般的には新規融資を受けることが難しくなります。

そのため、まだ通常の融資審査で借換えが可能な段階であれば、返済負担の軽減を検討する価値があります。

ただし、返済が継続できない状態で無理に借換えを目指すより、早期に返済条件変更を相談した方が適切な場合もあります。

銀行から借入金削減を求められた会社の改善事例

ここでは、説明のための仮定事例を紹介します。

年商2億円、借入金1億5,000万円の会社

項目 金額
年商 2億円
借入金残高 1億5,000万円
年間元金返済額 3,000万円
税引後利益 500万円
減価償却費 500万円

この会社の税引後利益と減価償却費の合計は年間1,000万円です。

一方、年間元金返済額は3,000万円あります。

単純に比較すると、年間2,000万円の返済原資不足が生じています。

実際の返済能力は運転資金の増減などによっても異なりますが、銀行としては現在の返済をどのように継続するのかを確認する必要があります。

この会社が借入金返済のために新たな借入を続けていれば、借入金残高が減らず、銀行が追加融資に慎重になる可能性があります。

不動産売却と借入金集約を組み合わせる

この会社が、事業に直接使用していない不動産を保有しているとします。

仮に売却費用などを差し引いた手取り資金3,000万円を借入金返済に充てることができれば、借入金残高は1億2,000万円になります。

さらに、残りの借入金について銀行と協議し、返済期間の見直しや集約が実現すれば、毎月の返済負担を軽減できる可能性があります。

ただし、借入金の集約や返済期間の延長は銀行の審査によるものであり、必ず実現するわけではありません。

また、不動産売却だけでは、会社の収益力の問題が解決するとは限りません。

借入金の圧縮と利益改善を同時に進めることが重要です。

社長が毎月確認すべき借入金管理の数字

銀行から借入金削減を求められた会社では、決算時だけでなく、毎月の財務状況を確認する必要があります。

確認項目 確認する目的
借入金残高 借入金が減少しているか確認する
毎月の元金返済額 返済負担を把握する
年間元金返済予定額 今後1年間の返済負担を確認する
営業利益 本業の収益力を確認する
現預金残高 資金繰りの余裕を確認する
今後の資金繰り予測 資金不足の発生時期を把握する
売掛金・在庫残高 運転資金の増減を確認する

特に、借入金残高と年間元金返済予定額を把握することが重要です。

借入金残高が減っていても、毎月の返済によって資金繰りが悪化しているのであれば、返済計画の見直しが必要になる場合があります。

借入金削減に向けた8項目チェックリスト

銀行から借入金を減らすように言われた場合、次の項目を確認してください。








チェック数:0 / 8

チェックできなかった項目は、今後の改善課題として整理してください。

なお、このチェックリストは財務管理の準備状況を確認するためのものであり、融資審査の結果を判定するものではありません。

よくある質問

Q1.銀行から借入金を減らすように言われたら、追加融資は受けられませんか?

必ずしも追加融資が受けられないわけではありません。ただし、銀行が返済能力や借入金残高を問題視している場合には、追加融資が難しくなる可能性があります。まずは銀行が何を懸念しているのかを確認することが重要です。

Q2.借入金が年商を超えている会社は借入過多ですか?

年商を超える借入金があるからといって、必ず借入過多と判断されるわけではありません。業種、設備投資の状況、利益、キャッシュフロー、返済期間などを踏まえて判断する必要があります。

Q3.借入金の集約を銀行にお願いできますか?

相談することは可能です。ただし、銀行が新たな融資として審査を行うため、必ず集約できるわけではありません。借換え後の返済能力や担保・保証条件などが確認されます。

Q4.借入金の返済が苦しくなったら、すぐにリスケすべきですか?

借入金の集約、借換え、資産売却、利益改善などによって対応できる場合もあります。一方、返済継続が難しい場合には、リスケを早めに検討することが必要になる場合もあります。資金繰り表を作成し、銀行と相談することが重要です。

Q5.不動産を売却すれば銀行の評価は改善しますか?

売却代金を借入金返済に充てることで、借入金残高を圧縮できる可能性があります。ただし、売却損益や財務内容への影響、今後の返済能力なども銀行は確認します。不動産を売却するだけで必ず銀行の評価が改善するわけではありません。

まとめ|借入金を減らすように言われたらリスケ前に改善策を検討する

銀行から借入金を減らすように言われた場合、銀行は会社の返済能力に対して借入金が過大になっていると判断している可能性があります。

借入金が多い会社では、毎月の返済負担が重く、資金繰りを維持するために新たな借入が必要になることがあります。

しかし、銀行が返済能力に懸念を持っている場合、追加融資によって資金繰りを維持する方法には限界があります。

そのため、借入金の集約や借換えによる返済負担の軽減、不動産や投融資の売却による借入金の圧縮、利益改善による返済原資の確保などを検討することが重要です。

何も対応せずに借入金の返済負担を放置すると、いずれ返済条件の変更を検討せざるを得なくなる可能性があります。

銀行から借入金を減らすように言われた段階は、会社の財務内容と返済計画を見直す重要なタイミングです。

まずは銀行が懸念している理由を把握し、借入金残高、年間返済額、返済原資、今後の資金繰りを整理することから始めてください。

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