赤字でも融資を銀行が行う理由

業績が赤字であると確かに銀行は融資に慎重になります。
しかし銀行は赤字でも融資を行うことが少なくありません。
銀行が赤字でも融資を行う理由を融資担当の銀行員が説明をします。

銀行が赤字でも融資を行う理由

銀行が赤字でも融資を行う理由を次のとおりです。

返済出来るかどうかが審査の最大ポイント

この図は赤字に対する銀行員の思考を簡単に示したものです。
銀行の融資審査の最大のポイントは融資した資金がきちんと返済出来るかどうかというところです。
このポイントに照らすと赤字は返済出来る可能性が乏しいことを表していますから銀行の融資審査は厳しく慎重に行われることになるのです。
一方で赤字ということは現金に置き換えて考えてみると入ってくる現金よりも出ていく現金の方が多いということです。
したがって赤字は確実に資金繰りを圧迫していくことになります。
ただ赤字で資金不足のままであると、その会社は資金繰りが行き詰まり最悪倒産に至ってしまいます。
ですから融資を受ける会社側としてはなんとしても銀行融資を受けたいところです。

赤字でも融資を行う条件

現実には多くのケースで赤字でも融資を銀行は行い、融資先の資金繰りを支えて事業の継続をバックアップしています。
ただし先ほども説明しましたように赤字ということは融資の返済が難しい、融資が焦げ付く可能性が高いということですから、どのような場合でも銀行が赤字でも融資を行うわけではありません。
銀行が赤字でも融資を行うケースとして主に次の３つがあります。

業績が回復する見込みがある

足元は赤字であるものの、今後業績が回復する具体的な見込みがあれば銀行としても赤字でも融資を行いやすくなります。
ずっと赤字でこれからも赤字が続き回復の見通しがないとか少ないということであるが、さすがに銀行としても赤字でも融資を行うことは難しくなります。
それは将来の貸倒損失をいたずらに増やすだけのことにつながるからです。
業績が回復するということは融資が返せる力も回復してくると考えられるからです。
そのためにはとにかく業績が回復する具体的な材料がほしいところです。
ただ「頑張る」では銀行の納得は得られません。
例えばつぎのような材料です。

保全が確保出来る

保全とはつまり担保のことです。
担保が取れるのであれば銀行としては将来、融資した資金が返済されない場合にはその担保を処分することで回収が可能ですから、赤字でも融資が検討しやすくなります。
もっとも担保があれば必ず銀行が赤字でも融資をするのかと言えばそうでもありません。
業績の回復が見込めないのであれば担保を取って融資をしても、一時的な延命措置にしかならない時もあります。
そのような場合にはどれだけ担保があっても融資はもうしないという銀行の判断はあり得ます。
さきほどの業績の回復見込みが絡んできます。

長い取引で潰せない

銀行というところは社会の評価をとても気にするところです。
融資をストップしてその会社が倒産した場合、「あの銀行が融資をストップしたから倒産した」と世間から言われることをとても嫌がる特徴があります。
したがって融資をもうしないという判断は銀行の本音としては避けたいのです。
特に融資先との取引が長いとか、メイン銀行としての立場にある場合にはなおさらです。
逆に取引の歴史が短いと銀行は融資打ち切りという判断をしやすくなる側面があります。
ですからそこに付け込んでというのは適切な表現ではありませんが、取引がない銀行とかメイン銀行に融資の相談をされると赤字でも融資が受けやすくなるのは事実です。
取引歴が短く借入金もそれほど多くない取引銀行に相談に行ってもあまり良い返事は期待できません。

赤字でも融資を銀行が行う理由のまとめ

以上、銀行が赤字でも融資を行う理由についてまとめますと次のようになります。