赤字決算でも銀行から融資を受ける方法

赤字決算であると銀行の融資スタンスが厳しくなることは事実です。
しかしその一方で赤字でも銀行から融資を受けている事業者は少なくありません。
赤字でも銀行から融資を受ける方法について融資担当の銀行員が説明をします。

赤字決算に対して銀行が抱くこと

まず赤字決算に対して銀行がどのような心象を持つのかを説明します。

赤字決算は融資の返済が出来ないということ

上の図は赤字決算を見たときの一般的な銀行員の思考です。
銀行の融資業務においてもっとも大切なことは融資を最後まで回収することです。
もし融資が最後まで回収されなければ、それは貸倒という損失が銀行に発生することとなります。
銀行も民間の株式会社である以上は利益を追求しています。
そのため融資が最後まで回収されずに貸倒という損失が発生することは銀行としては何としても避けたいところです。

銀行の融資審査の中心は返済能力

このため銀行で行われる融資の審査は融資先の返済能力の有無の検証が中心となります。
融資先の返済能力の有無を検証するために様々な切り口で銀行では融資の審査が行われています。
この点、赤字ということは融資の返済能力に大きな懸念が持たれる状態です。
返済能力に懸念が持たれる状態では銀行は融資はできません。
なぜなら将来の貸倒損失を増やしてしまう可能性があるかです。
しかし銀行は赤字であっても融資を行うことが少なくありません。
銀行は赤字を理由に融資を断ることもあれば、赤字であっても融資を行うこともあります。
ではその分岐点はどこにあるのでしょうか？

赤字でも銀行から融資を受ける方法

よく赤字決算の社長から「赤字だからこそお金が必要なんだ。銀行は晴れているときは傘は貸すけど、雨の時は傘を貸してくれないから」と言われます。
つい数日前も同じようなことを言われました。
銀行に対して愚痴を言いたくなる気持ちは分かります。
しかしどれだけ愚痴や文句を言っていても銀行の態度は変わりません。
赤字だから融資が必要だとどれだけ訴えてもそれを理由に銀行が融資に応じることはありません。
それでは赤字でも銀行が融資を受けるにはどのようにすれば良いのでしょうか。

赤字決算でも銀行から融資を受ける方法その１　赤字となった原因を説明する

まずは赤字となってしまった理由をきちんと銀行に説明をすることです。
これがスタートです。
売上の減少、コストの増加、予定していた受注がずれ込んだなど赤字になってしまった理由は必ずあるはずです。
その理由をきちんと銀行に説明をしてください。
この説明がなくただ単に「赤字だから資金が必要なんだ」といっても銀行が融資に応じることはありません。

赤字決算でも銀行から融資を受ける方法その２　黒字回復に向けた具体的な説明

銀行として一番困ることは赤字のままで業績の回復見込みがない場合です。
業績の回復見込みがなく赤字が続ければ融資は貸倒れとなってしまうことが間違いありません。
銀行が知りたいのは足元は赤字であっても、今後は業績が回復し黒字になる可能性があるのかどうかということです。
ただ今後の業績回復の見通しを説明するにあたり、V字回復のようなバラ色の計画であってはいけません。
銀行は急激に業績が回復するとはそもそも考えてはいません。
それよりは具体的で着実な業績回復の見通しを聞きたいと考えています。
そのため黒字回復には1年や2年程度、少し時間がかかっても良いのです。
具体性のある着実な保守的な見通しの説明を銀行に行うことが肝要です。

赤字決算でも銀行から融資を受ける方法その３　黒字回復に向けた自助努力

景気が悪いから売上が落ち込んだためだから仕方がないではダメです。
販売先を増やす努力など自社でも売上の回復に向けて努力をしているという姿勢を示すことが必要です。
また経費削減に代表されるようにコストを少しでも減らして黒字に向けた努力を示すことも必要です。
外部のせいだけにするのではなく、自身でも努力をしていることを示すことが大切です。

赤字決算でも銀行から融資を受ける方法その４　融資後の資金繰り見通しの説明

融資を行うにしても銀行が困るのはその後短期間のうちに再び融資を受けないと資金繰りが回らないような状態になることです。
銀行が望んでいることは今回の融資により、当面の資金繰りが安定することです。
当面とは少なくとも1年と考えてください。
そのため融資前に銀行と資金繰りの状況についてしっかりと相談をしてください。
当面の資金繰りが安定するには今回いくらの融資が必要であるのかを銀行と相談をするのです。

融資を相談する銀行は主力銀行

なお赤字の状態で融資を相談する銀行は主力銀行に行ってください。
主力銀行は融資先の資金繰りを支えて事業を継続してもらう社会的な責任を負っています。
主力銀行以外の取引銀行に融資の相談を行っても赤字を理由に断られる可能性が高いです。

赤字決算でも銀行から融資を受ける方法のまとめ

以上、赤字でも銀行から融資を受ける方法についてまとめますと次のようになります。