赤字に対する銀行員の印象
銀行にとって融資は必ず返済してもらわないといけません。
万が一融資が焦げ付いてしまえば、焦げ付いてしまった分が損失になってしまうからです。
銀行も経営維持のためには利益を獲得しなければならないわけですから、融資の焦げ付きは絶対に避けたいところです。
上の図は銀行での融資審査の大きな流れを示したものですが、一番最初に審査をする項目は利益で返済が出来るかどうかです。
融資が焦げ付く恐れはないかどうか、そのために利益できちんと返済出来るかどうかを最初にかつ重点的に審査を行います。
この点において赤字は利益で返済が出来ないことを示すものですから、原則として赤字に対して銀行員は融資審査上はネガティブな印象を持ちます。
在庫処分で赤字になった
さて本題の在庫処分で赤字になったということですが、念のため整理をしておきます。
シンプルな例で説明します。
当たり前のことですが1個100円の在庫の場合、100円以上で売れれば利益が発生します。
逆に1個100円未満でしか売れないとなると赤字が発生します。
もちろん1個100円以上で販売しようとするわけですが、時代遅れなどの要因でもう1個100円以上で売れる見込みがない在庫も現実にはあります。
在庫処分というのは決算書上は1個100円で資産として計上しているが、実際は1個50円でしか販売が見込めない場合に1個100円ではなく1個50円で再評価を行うというものです。
そしてこの再評価を行う際に今まで1個100円で見ていたものが実際には1個50円の価値しかないということですから、差額の50円は損失として計上することになります。
在庫処分で赤字になったというのはこの再評価による在庫の損失額により赤字決算になってしまったということです。
銀行融資審査に与える影響
在庫処分で赤字になった場合、銀行の融資審査ではマイナスにならない場合とマイナスになってしまう場合があります。
マイナスにならない場合ですが、これは、
・いつまでも価値のない価格で在庫計上していてもしょうがない
・どこかでその膿を出さなければならないのであってやむを得ない
・その期だけの一過性の要因による赤字であって来期以降は黒字決算が見込める
というような場合というか考え方です。
一方でマイナスになる場合は、
・在庫処分による赤字により債務超過になってしまった
・今まで在庫処分をせずに赤字を隠してきた
という考え方です。
難しいところなのですが、大きく2つの審査上の考え方があります。
しかしどちらかというと在庫処分をマイナスには考えない方が多いです。
在庫処分をすることで過去の膿を出して来期以降はしっかりと黒字回復が出来るという期待感が大きいからです。
決算が赤字になった場合には銀行に赤字の原因を伝えることが求められますが、その際には在庫処分をしたことをきちんと伝えましょう。
銀行も少なくとも在庫の中には不良化しているものが含まれていることはある程度は織り込み済みです。
在庫処分をしたら実際はどれくらいの価値になってしまうのだろうと銀行に潜在的な疑問を持たれるよりははっきりとさせて方が良いでしょう。