工事を受注しその工事代金が回収されるまでの間に必要となる資金は銀行は工事つなぎ資金などとして融資を行っています。
返済は工事代金によって行うわけですが、この工事代金の回収が遅れることになると融資の返済資金がないことになります。
工事代金の回収の遅れで融資の返済が難しい場合の対応方法について融資担当の銀行員が説明をします。
目次
工事つなぎ資金融資とは
最初に工事つなぎ資金の融資について整理をしておきます。
があります。
多くの工事では工事案件を受注したものの、工事代金の回収は工事が完了してからというのが一般的です。
工事の途中で何回に分けて工事代金が回収されることもありますが、工事代金を前もって回収できることは稀です。
工事中に資金が必要となる
工事完了までには人件費の支払や材料費の支払、外注費の支払など資金が先に出てしまうものが少なくありません。
工事代金を前もって回収することができるのであれば、上記の資金はこの前もって受け取った工事代金を充当すれば良いでしょう。
しかし実際は工事代金は後から支払を受けますから工事の途中で必要となる資金を別途手配する必要が出てきます。
手元資金は十分であればそれを使えば良いのですが、手元資金が十分でなければ資金繰りが工事完了まで持ちこたえず、怖くて工事を受注できなくなってしまいます。
工事つなぎ資金融資とはこの工事代金回収までの資金需要に応える銀行融資の一つです。
図で示すと次のようになります。
工事つなぎ資金融資の返済
工事つなぎ資金融資の返済は回収された工事代金となります。
工事代金の回収時期に合わせて工事つなぎ資金融資の返済日を設定することが一般的です。
工事代金を分割して回収するケースでは工事つなぎ資金融資の返済も分割して行うことがやはり一般的です。
工事代金の回収が遅れるため融資の返済ができない
工事代金の回収が遅れる事態となった場合、まずはなぜ工事代金の回収が遅れることになったのかその理由の説明が欠かせません。
工事代金の回収が遅れる理由としては主に以下のことがあります。
工事代金の回収が遅れる主な理由
2.工事に不備があり工事完成が遅れている
3.発注者が工事代金を支払えない
実際には工事代金の回収が遅れるケースは個々に色々な理由がありますが、その理由は大きくさきほどの3つのケースに集約することができます。
1.工事の進捗が遅れている
工事代金の回収の遅れが工事の進捗の遅れである場合、なぜ工事の進捗が遅れているかを銀行に説明してください。
資材の不足などで工事全体の進捗が遅れることもあるでしょう。
自社の工事の前段階の工事が遅れているために自社の工事着手が遅れている場合もあるでしょう。
このケースでもポイントは工事の遅れは自社に原因があるのではなく、他のところに遅れの原因があるということです。
この点をしっかりと銀行に伝えてください。
・工事の進捗が遅れている理由を銀行に説明をする
・ポイントは自社の原因ではなく他の原因で工事の進捗が遅れていること
2.工事に不備があり工事完成が遅れている
このケースでは工事の不備が修正・補完されればきちんと工事代金が回収できるのかどうかがポイントとなります。
工事の不備の内容によっては当初予定していた工事代金から割引を余儀なくされることもあるかもしれません。
このあたりの状況について銀行に説明をしてください。
ポイントしては、
工事の不備が修正・補完されれば工事代金が回収されるのかどうか
という点です。
3.発注者が工事代金を支払ない
発注者が工事代金を支払えない事態は悩ましい状況ですが、工事つなぎ資金融資の返済は行わなければなりません。
手元資金などで別途返済資金を調達して工事つなぎ資金融資の返済は行う必要があります。
銀行が事情を斟酌して工事つなぎ資金融資の返済を長期間待ってくれるということはありません。
せいぜい工事つなぎ資金融資を長期分割返済に切り替えて返済負担を軽減させることぐらいです。
工事代金の回収遅れに対する銀行の対応
もう一度先ほどの工事代金の回収が遅れる主な理由を記載します。
工事代金の回収が遅れる主な理由
2.工事に不備があり工事完成が遅れている
3.発注者が工事代金を支払えない
理由が1及び2の場合には銀行は返済期日を延ばして返済を待ってくれる可能性があります。
一方で理由が3の場合には返済期日を延ばすような対応を銀行は行いません。
長期分割返済に切り替えることがせいぜいだと考えてください。
工事代金の回収の遅れで融資が返済できないのまとめ
以上、工事代金の回収の遅れが原因で工事つなぎ資金融資の返済が難しい場合についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・工事の遅れが工事全体の遅れなど他の要因であるなら返済期日を待ってくれる可能性がある