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銀行融資の基本 融資審査マンの見方

2期連続赤字で融資はどうなる

2期連続赤字となる銀行からは融資はどうなるのか。
実際の事例で2期連続赤字となった場合の銀行の融資がどうなるのかを説明します。

担当先には業況が順調な先もあれば、業況不振に陥っているところもあります。
業況が順調な担当先には一般的には積極的に融資の提案を行うことが出来ます。
業況が順調であれば融資稟議も特に問題なく決裁してもらえるものです。
ところが業況が不振な先への融資は簡単には行きません。
業況が不振ということは返済能力が乏しいということです。
返済能力が乏しいということは融資が焦げ付いてしまう可能性もあるということですから、当然融資稟議は簡単には通りません。
信用保証協会の保証付融資にて対応する、あるいは担保を取って保全を固めて融資を行うのがよくある事例ではないでしょうか。

2期連続大幅赤字

そのような中で2期連続赤字の取引先に無担保にて1億円の融資を実行した事例をご紹介します。
私が以前に担当していた取引先にU社があります。
U社は監視カメラシステムの開発や機器の卸売りをしている中小企業で売上は7億円程度でした。
U社のシステムは高品質で官公庁など公的機関から高い評価を受けており、これまでは業況も安定していました。
ところが私が担当したころから他社との競合が厳しくなり、U社より安価な他社システムに受注を奪われてしまうという事態が続きました。
U社としても受注を失うことは回避したいところでしたから、やむを得ずU社も価格競争に対抗した結果、採算割れが生じ決算は大幅な赤字に転落してしまいました。
他社との価格競争はその後も続き、U社を取り巻く環境は厳しい状態が続き、大幅な赤字に転落した翌期もさらに赤字幅が拡大する業績に陥ってしまいました。
U社の経営陣は資金繰りには特に慎重な体制を取っていたため、2期連続して大幅な赤字に転落したものの、今すぐ資金繰りに支障をきたすような状況ではありませんでした。
しかし事業環境の厳しさはまだまだ続くとの見方から、U社から手元資金を積み増し資金繰りに万全を期す意味から1億円の融資の申し込みを受けたのです。

こんな先に融資など出来るのか

2期連続赤字でかつ赤字幅は数千万円の規模でしたから簡単に融資を検討することは出来ません。
当行は他行とともにU社の並行主力行の位置付けでしたが、大赤字を前に私は「1億円の融資などとても無理」というのが正直な気持ちでした。
信用保証協会の追加保証が得られる見込みはありませんでしたから、プロパー融資で検討するしかありません。
しかし大幅赤字の状態ですから無担保融資などとても取り上げられる状態ではありません。
かといって保全となる担保もない状態です。

業況改善の見込みはあるか

しかしU社からの申し出をそのまま放置することは出来ませんから、今期の見込みと今後の事業計画の説明を私は求めました。
業況改善の可能性を私は探ったのです。
U社からは価格競争は今後も続くことを前提にして、U社の監視カメラシステムを他分野に応用して従来とは異なる納入先を確保すること、すでに具体的な受注獲得営業を開始しており、複数の新規契約の獲得が見込まれることの説明がありました。
U社から受注獲得営業に関する社内資料の提示もあり、新規契約の獲得の実現が相当煮詰まっている状態であることを私は確認することが出来ました。
そしてこれら新規契約が実現した際には業況の改善に一定の効果があることを確認することが出来ました。

被振込の集中を交渉

次は保全をどう組み立てるかです。
さきほども触れたように担保はありません。
担保となる代替手段として私は被振込を当行に集中してもらうことを考えました。
つまりU社の売上金の回収をすべて当行口座に指定してもらうということです。
被振込が当行に集中すれば一定の預金の滞留が期待出来ます。
滞留している預金は一次的にせよ広義の保全と捉えることが出来ます。
また被振込金額の推移や滞留している預金額の推移を見ることによってU社の業況改善のトレンドや資金繰り状況をリアルに把握することが出来ます。
私はU社の売上金の回収口座は当行に指定されているのかどうかを調べました。
しかし残念ながら当行にすべて被振込が集中している状況ではありませんでした。
私はU社に順次振込の指定口座を当行に代えるよう要請をしました。
ただU社側はすべて当行に被振込を集中させることに消極的です。
「すべて御行に牛耳られてしまう」という危惧をU社が抱いたからです。

私もこの被振込の集中は融資の組み立てにおいて必須の事柄でしたから譲ることは出来ません。
当社の今後1年程度の資金繰り予想を検証すると、今回の融資だけでは不十分で、また1年以内に一定の資金調達が必要であることが判明しました。
U社にもこのことを説明したところ、U社の同様の認識を持っていました。
またU社は当行に融資の相談をする一方で他行にも同様の申し入れを行ったのですが、どうも断れたような状況です。
何度かU社と被振込の集中の交渉を重ねる中で、U社の態度も少しずつ軟化の兆しが見えてきました。
私は被振込の集中が今回の融資ののみならず1年以内に予想される再度の融資にも大きな好材料になることを丁寧にかつ繰り返し説明をしました。
そして結局のところ順次振込指定を当行に集中することの了解を得たのです。
被振込が当行に集中し、かつ当社の資金繰りが計画通りに推移すれば今回の融資額1億円に匹敵する預金の滞留が見込めることを見出しました。

赤字先の融資検討の前提条件

これで赤字先への融資が検討出来る環境が整いました。
つまり①業況が改善トレンドにあること ②被振込が集中され広義の保全が確保できることの2条件が整ったのです。
融資稟議はスムーズには進みませんでしたが最終的には無担保融資1億円の決裁を得ることが出来ました。
当社がその後順調に業況が回復すればきっと今回の融資に大きな感謝を抱いてもらうことを私は期待しています。

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