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銀行融資の基本 融資審査マンの見方 銀行の本音

3年間右肩上がりでないと銀行から融資は受けられないのか?

銀行から融資を受けるには「3年間右肩上がりでないと難しい」という話があるようなのですが、実際はどうなのでしょうか?
融資担当の銀行員が説明をします。

銀行の融資審査に関する質問

会社を設立して2年目になります。
1年目は赤字でした。
2年目は売上も増えてきて何とか黒字になりそうな状況です。
事業の拡大にあたり資金が必要で銀行から融資を受けたいと考えていますが、知り合いから銀行から融資を受けるには「3年間右肩上がり」でないと難しいと言われています。
本当にそうなのでしょうか。
3年間右肩上がりで売上も利益も増えないと銀行から融資を受けることは難しいのでしょうか?

3年間右肩上がりでなくとも融資は受けられる

業績が3年間右肩上がりでないと銀行が融資を一切しないということはありません。
3年間右肩上がりの融資先もあれば、そうでないはない融資先もたくさんあります。
業績が低下していても銀行が融資を行うケースは数えきれないほどあります。

融資審査のキーポイント

銀行の融資審査のキーポイントは売上が増えているとか、利益が増えているといった右肩上がりの業績ではありません。
融資審査のキーポイントは融資がきちんと返済できるかどうかの返済能力です。
返済能力は基本的には売上が増えて利益も増えていれば自然に向上することは確かです。
しかし売上が増えて利益も増えてという右肩上がりでないと返済能力が認められないということは決してありません。
右肩上がりでなくとも返済能力が認められれば銀行は融資を前向きに検討を行いますし、実際にそのような融資先はたくさんあります。

銀行の融資審査の最大のポイントは返済能力があるかどうか

銀行と安定的な取引関係を築くには

業績が右肩上がりとか安定することはどちらかというと珍しく、業績は常に変動するものです。
右肩上がりの時期もあれば、逆に右肩下がりといった業績が悪化する時期も必ずあります。
ただし業績が悪化して赤字に転落しても資金繰りが続く限り倒産するということはありません。
どれだけ業績が悪くとも資金繰りが続く限り事業は継続することができます。
つまり事業においてもっとも大切なことは資金繰りを維持することです。
この資金繰りを維持する上で銀行から融資は大きな役割を果たします。
そのために業績が悪い場合でも銀行から融資が受けられるように銀行との安定的な取引関係を構築することは大切なことです。
ここに銀行との安定的な取引関係を維持する上で1つの参考例をご紹介します。
ある中小企業の事例です。
銀行の本音もわかります。

全く銀行には来ない社長からの相談

今日、ある中小企業の社長さんから電話がかかってきた。
なにやら相談したいことがあるので、近いうちに会いたいというのだ。
社長:「課長。ちょっと相談したいことがあるんだ。来週くらいに来てくれないかな」
私:「わかりました。では来週の水曜日の午前10時はいかがですか?」
社長:「いいよ。じゃあその時間に待ってるよ」
この社長は全くと言っていいほど私の銀行には来ない。
たぶん他の取引銀行にも行っていないと思う。
用があるときは私たち銀行はその会社に出向く。

銀行内でのやり取り

以下銀行内での私と支店長との会話。
私:「今日、A社の社長さんから相談があるので、来いと言われました。相談内容ははっきりとはわかりせんが、たいぶ会社の業績が苦しいと思いますので、借入の相談かもしれません」
支店長:「ああ、あの社長とは随分会ってないな。時々来られるの?」
私:「いえ、全く来てないですね。用があるときはいつも呼び出されます」
支店長:「たまには来ればいいのに。忙しいとは思うけど。まあ適当に対応しておけばいいよ。用があるときくらい」
中小企業の社長は忙しい。
それは十分にわかる。
ただ年に1回や2回くらいはノーアポでもいいから、銀行に出向いてほしい。
ましてや、相談があるなら、相談がある方から出向くのが世間のマナーだ。

融資における定性面の審査

銀行は融資先には必ず信用格付を算出している。
その算出の基本となるのは、決算書の数字です。
いわゆる定量審査です。
それに加えて銀行は信用格付を決定する上で、会社の事業内容や代表者の資質を勘案している。
定性面の審査である。
銀行という組織も所詮は人で成り立っている。
よく銀行にくる社長とまったく来ない社長では、おのずと違ってくる。
よく銀行に来てくれる社長に対しては、何か相談を受けた場合、「何とかしたい」と銀行員は考える。
逆にまったく来ない社長に対しては「無理はしない」と銀行は考える。
所詮は人ですから、人の感情はどうしても入ってしまいます。

いい会社ほど銀行に出向く

意外に思われるかもしれませんが、大企業や中堅企業は年に1回や2回は先方から銀行に足を運んできます。
特段相談事がなくても、「決算が出たから」「中間決算が出たから決算説明に伺いたい」というのです。
いい会社ほど、銀行のそれほど必要としない会社ほど、私たち銀行にはよく足を運ばれます。
一方で私の感覚では中小企業の社長はまず銀行に来ない。
もっと来ればいいのにと思う。
そうすれば何か今後あった場合に、何とかしようと考えて銀行内で動くのに。
別に仕事の話をしなくてもいいのです。
世間話でもいいのです。
中小企業の社長さん、年に数回程度でいいですからちょっと暇をつぶすつもりで十分ですから、銀行に足を運んでください。
将来何かあったときの銀行の対応は全く異なってきます。
現に私もよく来る社長にはその会社が困ったときでも何とかできないか、銀行内の根回しを一生懸命行います。
まったく来ない社長には、相談事をされても形式的な対応しか取りません。
繰り返します。
別に用事がなくてもいいですから、銀行には時折足を運んだ方が得策です。 会社に何かあったとき、足を運んでいる分、銀行は熱い対応をしてくれると思いますよ。

3年間右肩上がりでないと銀行から融資は受けられないのか?のまとめ

以上、3年間右肩上がりでないと銀行から融資が受けられないのかどうかについてまとめますと次のようになります。

まとめ

・3年間右肩上がりでないと銀行から融資が受けられないことは決してない
・右肩下がりであっても銀行が融資を行っている事例はいくらでもある
・銀行の融資審査の最大のポイントは右肩上がりの業績ではなく返済能力があるかどうか

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