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銀行融資の基本 融資審査マンの見方

個人事業の建設業ですが担保があれば融資してくれるのでしょうか?

ある建設業の個人事業主の方からの融資相談事例です。
毎年赤字が続いていますが、ご自宅を担保に運転資金の融資が受けられるかどうかというものです。
銀行の考え方などを説明します。

建設業の運転資金融資の原則

建設業向けの銀行の運転資金融資は原則として受注した工事の紐付き融資となります。
紐付き融資とは受注した工事に必要な費用を融資し、返済はその工事代金の回収金により行っていただくというものです。
受注した工事の原価を説明してもらい、その原価の範囲内にて運転資金の融資を行うというものです。
返済は一般的には工事代金回収時の一括返済ですが、工事代金を分割して回収する場合にはその回収に合わせて融資の分割返済の形態をとります。
工事毎の紐付きではなく包括的に建設業向けの運転資金の融資を行うこともあります。
しかしそのようなケースは限られた優良の建設業向けです。
工事毎の紐付きで融資を行う、これが建設業向けの融資に関する銀行の基本スタンスです。

担保の前に返済能力の審査

建設業向けの融資に限った話ではありませんが、銀行の融資審査はまず事業から生み出される収益によって融資の返済が可能なのかどうかを判断しています。
あくまでも事業から生み出される収益によって返済ができるかどうかが重要であり、返済が難しいと判断される場合には基本的にその融資はお断りすることになります。

担保は二の次

今回の個人事業主の方からは「担保があるからスムーズに貸してくれるのでしょう?」といった質問を受けましたが、そうではありません。
まず事業から生み出される収益によって返済ができるかどうかが審査の中心であり担保は二の次なのです。
確かに担保があれば銀行は最終的にその担保を処分することで融資を回収することが出来ます。
しかし担保は万が一の場合の備えという考え方です。
事業から生み出される収益によって融資の返済が可能だと判断しても、その後の状況、例えば業績の悪化などにより融資の返済が難しくなってしまう場合も当然あり得ます。
担保はあくまでもその万が一の備えとしての位置づけなのです。
この事業収入からの返済が難しい場合には、どれだけ担保があっても融資をしないのが銀行の基本スタンスなのです。
事業収入から返済出来なくても担保の処分にて融資は全額回収出来るかもしれませんが、それは銀行融資の本来の姿ではありませんし、また担保の処分には実務的にも多大な時間と労力を要します。
今回相談に来られた個人事業主の建設業の方は毎年赤字が続いており、事業収入からの返済が見込めず、融資をお断りしました。

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