自己破産などの債務整理を行うといわゆるブラックリスト、つまり個人信用情報に事故情報が掲載されます。
このブラックリストに掲載されていても、新たに起業するための融資が利用できるかどうかが今回のテーマです。
ブラックリストの融資に関して融資担当の銀行員が説明をします。
目次
ブラックリストと起業融資に関する質問
私は個人事業主として2カ月前に起業した者です。
お恥ずかしながら、現在、任意整理し返済中なのですが、この度、事業資金の融資を利用して事業の幅を広げたく思っております。
しかし、私は俗に言うブラックリストに載っています。
何とか融資が受けられないものかと、色々調べている中で、そちらのホームページを見つけ、拝見させていただきました。
拝見させていただいた記事の中で、「起業融資で初めて保証協会を利用する場合は個人信用情報を調査する」とありました。
私の場合は、起業融資で初めて利用するので、個人信用情報を調査され、任意整理している事がわかり、保証はされないのでしょうか?
事業計画もしっかりつくり込み、やる気も十分なのですが、融資を受けずに実行するには途方もなく時間がかかるので、何とか融資を受けたいと希望してます。
申し込みをして融資が受けられる可能性はあるのでしょうか?
ブラックリストに関する銀行の考え方
銀行の融資業務においてもっとも大切なことは融資を融資のボリュームを増やすことではなく、融資を最後まで回収することです。
万が一、融資が回収されなければそれは銀行にとって損失が発生するということです。
銀行も株式会社ですから他の事業者と同様に利益の獲得を求めています。
そのため融資が回収されずに貸倒損失を被るということは何としても避けたいというのが銀行の本音です。
銀行の融資でもっとも大切なことは融資を最後まで回収すること
ブラックリストは融資が返済できなかったということ
破産や任意整理、一定期間以上の延滞が発生すると個人信用情報には事故情報として登録されます。
この個人信用情報の事故情報というのがいわゆるブラックリストと呼ばれているものです。
ブラックリストに掲載されるということは融資が返済できなかったということを客観的に示していることになります。
ブラックリストに掲載されるということは融資の返済ができないということ
銀行にとっては貸倒の危険が非常に高いということ
ブラックリストの掲載されてしまったという理由は個々に様々だと思います。
いろいろな異なる事情があることでしょう。
しかし繰り返しですがブラックリストに掲載されているということは融資をしてもそれが返済されない可能性が極めて高いという客観的な事実です。
融資の回収が融資業務においてもっとも大切なことである銀行としては返済されない可能性が極めて高いと客観的に考えられるブラックリスト掲載先には融資はできないのです。
例え十分な担保があるとしても銀行がブラックリスト掲載先に融資を行うことはありません。
ブラックリストに掲載されている人に銀行は融資はしない
起業融資は信用保証協会の保証制度を利用が前提
2ヶ月前に起業されたとありますので起業融資の対象となります。
起業融資は銀行にとってはリスクが高い融資
起業ということは過去の実績がないということになります。
銀行の融資は将来性に着目した融資の取扱いもありますが、銀行の融資姿勢の基本は今でも過去の実績重視です。
どれだけ起業にあたりしっかりとした事業計画を銀行は見せられても、事業計画通りに本当にいくのかどうか、過去の実績がないために判断することができません。
起業融資は信用保証協会保証付融資
繰り返しですが銀行としては融資はきちんと最後まで返済をしてもらわなければなりません。
もし返済されないとなるとそれは焦げ付きとなり銀行は損失を被ることとなります。
起業融資はきちんと返済がされるのかどうか、非常に不透明なところがありますから容易に銀行は融資に応じることはできません。
そのため起業融資は信用保証協会という公的機関の保証制度を利用したものとなります。
信用保証協会の保証制度を利用した起業融資であれば、将来返済がされなくなった場合でも銀行は信用保証協会から返済を受けることができますので安心です。
起業融資は信用保証協会の保証制度を利用することが前提
信用保証協会での個人信用情報の調査
信用保証協会は個人信用情報の取扱いをしている個人信用情報機関に加盟をしています。
そして信用保証協会は初めて利用される申込者の個人信用情報を調査します。
個人信用情報を調査した結果、事故情報が掲載されている、つまりブラックリストに掲載されていれば残念ながら信用保証協会の保証制度を利用することはできません。
信用保証協会の保証制度が利用できないということは起業融資を銀行から受けられないということです。
初めての利用者に対して信用保証協会は個人信用情報を調査する
ブラックリストの掲載されていると信用保証協会の保証制度は利用できない
ブラックリストは最長10年間掲載されている
ブラックリストに掲載されている期間ですが、延滞情報は5年間ブラックリストに掲載されています。
自己破産はブラックリストに10年間掲載されています。
掲載期間が経過すれば自動的にブラックリストからは削除されます。
したがって現実的には起業融資を受けるにはブラックリストから削除されてからの利用検討となります。
延滞は5年、自己破産は10年、ブラックリストに掲載される
ブラックリストと起業融資に関するまとめ
以上、ブラックリストと起業融資に関することをまとめますと次のようになります。
まとめ
・信用保証協会は少なくとも初めての利用者の個人信用情報を調査する
・延滞は5年間、自己破産は10年間ブラックリストに掲載されている
・ブラックリストに掲載されている間は信用保証協会の保証制度を利用することは不可能
・起業融資が利用できるようになるにはブラックリストから削除されてからが現実的