設備投資に必要となる資金を銀行は設備資金として融資対応をしています。
設備資金の資金使途管理を銀行は行っていますが、どこまで資金使途管理が厳格なのかを説明します。
目次
設備資金の資金使途違反に関する質問
飲食店を経営しています。
銀行の設備資金の資金使途違反はどこまで厳格なのかについての質問です。
以前、信用金庫から店舗の内装のための設備資金の融資を利用しました。
信用金庫に内装に関わる見積書を提出して設備資金の融資申し込みを行いました。
その後、見積書が少し安くなりました。
見積金額が小さくなったことを信用金庫に伝えたのですが、信用金庫から「もういいですよ。もともとの見積書の金額で融資を行いますよ」と言われました。
今度、2店舗目の飲食店を新規開店するにあたり今度は銀行に設備資金の融資を申し込む予定です。
銀行は信用金庫に比べて設備資金の資金使途管理が厳しいのでしょうか。
1円でも違いがあれば資金使途違反と指摘を受けるのでしょうか。
銀行の設備資金の資金使途管理の程度を押してください。
質問のまとめ
・今度、新規出店資金の設備資金の融資を銀行に申し込み予定
・銀行の設備資金融資の資金使途管理は信用金庫よりも厳しいのか
・銀行は1円でも違いがあれば設備資金の資金使途違反を指摘するのか
設備資金の資金使途管理の内容
設備資金の資金使途管理とは設備資金の融資はきちんと設備投資に使用されているかという点です。
そして銀行の融資現場での設備資金の資金使途管理の実務としては次の2点です。
設備資金の資金使途管理の実務
2.設備資金の融資資金がきちんと業者等に支払がされていること
1.設備資金の融資額が見積書の金額以下であること
これはある意味で当然のことですが設備資金の融資対象は設備投資で必要となる資金ですから、その融資金額は見積書に記載されている金額以下となります。
見積書の金額以上に設備資金の融資を行うということは、初めから設備資金以外に一部であっても使用することを銀行が認めることになりますからあり得ません。
銀行の設備資金の融資額は必ず見積書の金額以下となります。
2.設備資金の融資資金がきちんと業者等に支払がされていること
そして設備資金の融資資金が見積書通りに業者等に支払がされていることの管理も資金使途管理です。
設備投資とは関係がない、見積書とは違う業者等に融資資金が使用されることはあってはならないことです。
したがって設備資金の融資実務においては融資契約時に業者等への支払いのための振込伝票を一緒に銀行が預かるのが一般的です。
そして設備資金の融資実行後に銀行は事前に預かっている振込伝票に基づき、業者等への支払いを行うわけです。
設備資金の融資資金が他に流用されることを防ぐためです。
見積書の金額が当初より少なくなった
さて今回の質問の例では設備資金の見積書の金額が当初より少なくなったというものです。
設備資金の融資の資金使途管理において見積書の金額が当初より小さくなったことは重要な変更事実ですが、一番大切なことは新しい見積書の金額と今回の設備資金の融資の金額との比較です。
新しい見積書の金額が設備資金融資の金額よりも大きい場合には、設備資金の融資は当初どおり実行されます。
なぜなら新しい見積書の金額が当初より少なくなったとしてもなお設備資金の融資金額を上回っているのであれば、設備資金の融資は設備投資に使用されると考えられるからです。
新しい見積書の金額が当初より少なくなったが、設備資金融資の金額よりは多い → 設備資金融資は当初どおりに実行される
したがって今回の例では見積書の金額が当初より少なくなったことを銀行に伝えて新しい見積書の写しを提出すれば、設備資金の融資はそのまま実行されます。
質問にある信用金庫はそのまま設備資金の融資を実行したとありますが、これは今回のように新しい見積書の金額がなお設備資金の融資金額よりも多かったため問題にはならなかったのではないかと考えます。
設備資金融資の資金使途違反とはなりません。
設備資金融資の資金使途違反
さて参考までに設備資金の融資で資金使途違反が発生した場合の、銀行の対応は次のとおりです。
資金使途違反の場合の銀行の対応
・資金使途違反の該当金額の返済を求める
・金額の大小に関わらず原則として二度とその融資先には融資をしない
設備資金の資金使途違反が発覚した場合にはその設備資金の融資全額の一括返済を求めることがあります。
そこまで行かないとしても最低限として資金使途違反となった金額の返済を求めます。
そして資金使途違反の金額に関わらず、今後二度とその融資先には融資を行いません。
資金使途違反に対しては銀行は強い態度で対応をします。
設備資金の資金使途違反についてのまとめ
以上、設備資金の資金使途違反についてまとめますと次のようになります。
設備資金の資金使途違反のまとめ
・見積書の金額が当初より減額となっても、設備資金融資の金額以上であれば設備資金融資は当初通りに実行される
・設備資金の資金使途違反が発生した場合には設備資金融資全額の一括返済を求めることがある
・そして資金使途違反があった場合には、今後二度とその融資先には融資をしない