運転資金は仕入資金や人件費などの経費に使用する目的で銀行から融資をされているものです。
この運転資金の融資について運転資金以外の資金使途に流用し、さらに資金繰りが苦しくなって返済ができずに延滞してしまった事例です。
今後の銀行の対応について説明をします。
目次
資金使途違反と延滞に関する事例
内装工事の小さな会社を経営しているものです。
大きな受注工事が獲得できる見込みとなったことから、銀行にお願いをして3,000万円の運転資金の融資を受けました。
ところがその直後に受注予定であった工事が発注者さんの事情により半年ほど延びることとなりました。
そのため銀行から借りた運転資金の3,000万円の融資についてはすぐに必要ではなくなりました。
しかしいずれ必要となる運転資金のため、銀行には返さずに株を買ってしまい運用に使ってしまいました。
思うように株価が上がらずに逆に下がっている状態であり、売れずに売れない状態に陥り資金繰りが苦しくなりました。
そしてとうとう融資の返済ができなくなり延滞してしまっている状態です。
延滞直後から銀行から連絡を受けており、運転資金の融資の使い道を含めて説明に来るように言われています。
私がいけないのですがどうなってしまうのでしょうか。
このような場合に銀行からはどのような対応を受けるのでしょうか。
不安で仕方がありません。
これは最悪のケースです
運転資金の融資の資金使途違反に加えて返済ができずに延滞。
これは最悪のケースです。
資金使途違反に対する銀行の対応
融資直後から運転資金の資金使途の確認をこの銀行が怠っていたと考えられますが、しかし運転資金の融資は運転資金の目的に使用する義務がこの会社にはあります。
融資の資金使途違反が発覚した場合、銀行が取る対応で考えられることは次のとおりです。
資金使途違反に対する銀行の対応
2.全額ではないにしても少なくとも資金使途違反をした金額の返済を求める
3.資金使途違反した金額を預金口座に戻すように求められる
この3つの対応につき、どれを銀行が選択するかはケースバイケースです。
そのまま無罪放免になることはあり得ません。
今回は即時全額返済を求められる可能性
運転資金融資の資金使途違反に加えて延滞発生は最悪のケースです。
そのため銀行の対応としてはもっとも強硬なものである即時全額返済を求められることになると考えられます。
銀行としてはこの会社とは取引を解消し、融資を回収することに専念することになるでしょう。
銀行から内容証明郵便にて即時全額返済を求められ、返済がされないと法的対応を含めて強制回収への道に進むと考えられます。
資金使途違反に加えて延滞発生であり銀行の受け止め方としてはもっとも悪質との受け止めです。
運転資金融資の即時全額返済を求められる可能性が高い
資金使途違反の代償
銀行にとって融資の資金使途はとても重要な事項です。
銀行の融資は事業活動で必要となる資金を支援して事業の維持・拡大に役立ててもらうことを大前提にしています。
そしてその事業活動から得られる収益によって融資の返済がされることを銀行は想定しています。
事業者としても銀行からの融資を事業活動に投入することにより、事業が円滑に伸展し業績の維持拡大を図ることができるのです。
資金使途違反は銀行への裏切り
それにもかかわらず融資の資金使途違反を行う、今回は株式投資に運用するというケースは銀行に対する裏切りに他なりません。
このような取引先とは銀行は二度と取引をしたいとは考えません。
ただ単に融資の回収だけを銀行は考えるようになります。
そして融資を全額返済したとしても、少なくともその銀行とは二度と融資取引が行われることはありません。
資金使途違反が発生すれば銀行は融資の回収だけを考えるだけ。二度と銀行は取引をしない。
融資の資金使途違反と延滞に関するまとめ
以上、運転資金融資の資金使途違反が発覚しさらに延滞発生となった場合の銀行の対応についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・銀行は融資の即時全額返済を求める
・返済されない場合には法的対応を含めた強制回収も考えられる
・二度とその取引先とは取引をしないと銀行は考える