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銀行融資の基本 融資審査マンの見方

上場企業は個人保証が不要なのに中小企業は必要な理由

銀行から融資を受けるにあたって上場企業は代表取締役の個人保証が不要なのに中小企業は代表取締役の個人保証を原則としています。
なぜ上場企業は個人保証が不要なのに中小企業は個人保証が必要なのかを説明します。

個人保証の意義

まず最初に銀行が個人保証を求める意義について簡単に整理をしておきます。
銀行にとって融資は必ず返済をしてもらわなければなりません。
もう融資が返済されない、つまり融資が焦げ付いてしまえばそれは銀行の損失となります。
銀行も収益を獲得しなければなりませんから損失は当然に避けたいところです。

個人保証は融資回収の保全

融資を返済する義務を負うのは借りた会社や人、つまり債務者です。
しかし債務者が返済できない場合にも備えておく必要があります。
個人保証はこのように債務者が返済できない場合に備えた融資回収の保全策というのが個人保証の意義です。

個人保証は融資回収の保全策

上場企業と中小企業の違い

個人保証の意義を整理した上で、次に上場企業と中小企業の違いについて説明をします。
融資という面から上場企業と中小企業の違いをつけるとすると大きく次の3つの違いがあります。

事業基盤の違い

すべての上場企業と中小企業に該当するということではありませんが、一般的に上場企業はその事業基盤が強く中小企業は弱い特徴があります。
簡単な言葉で言えば上場企業は体力があり、中小企業は体力が弱いということです。
これは融資の面で考えると上場企業は返済能力が高く中小企業は弱いということとなります。

中小企業は上場企業に比べて事業基盤が脆弱

企業と個人の分離

上場企業の場合には内部管理制度がしっかりとしており、たとえ代表取締役であろうとも勝手なことはできません。
企業の資金を代表取締役が自分のもののように使用することはできませんし、代表取締役がほしいものを企業が購入したりすることはできません。
つまり企業と個人がしっかりと分離をしているのです。
これに対して中小企業の場合はどうでしょうか。
中小企業の代表取締役は会社そのものといえる特徴が多いと思います。
中小企業の代表取締役は会社を自分の会社だと考えている人も少なくありません。
このような背景もあり中小企業の場合には企業と個人が分離をしていません。
資産や資金面において企業と個人が明確に分離されていないのです。
企業の資金を個人が勝手に使う危険もあります。

中小企業は企業と個人が分離されておらず実質一体の側面が強い

情報開示の違い

上場企業は内部組織がしっかりとしていますから、決算情報などの情報開示もしっかりとしています。
そのため上場企業の財務状況を銀行はしっかりと把握することができます。
これに対して中小企業の場合には人数にも余裕がありませんから、どうしても内部管理がしっかりとしておらず情報開示の大切が脆弱です。
そのため銀行は中小企業の財務状況をしっかりと把握することが難しい側面があります。

中小企業は情報開示が脆弱

中小企業には個人保証を求める理由

上記のような上場企業と中小企業においては違いがあるわけですが、それでは銀行が上場企業には個人保証を求めないので中小企業には個人保証を求める理由は何でしょうか。
それは個人保証の意義である融資回収の保全策という目的の他に実はもう1つの理由があるのです。
それは中小企業の経営者は経営の責任をしっかりと持ってもらうということにあります。
さきほども説明をしましたように中小企業の場合には企業と経営者個人は実質一体といえる側面が色濃くあります。
そのため中小企業の経営者は会社の自分のものにして好き勝手できる危険があります。
もちろんすべての中小企業がそうではありませんが、実際に好き勝手に会社を資金を個人の目的に流用している経営者が存在することも事実です。

個人保証を求めることによって会社の経営に責任をもってもらう

中小企業の経営者が会社の資金を勝手に使ってしまえば、おそらく会社の経営は傾くでしょう。
そして融資の返済も困難となるでしょう。
そうなった場合、銀行は連帯保証人である経営者に融資の返済を求めることができます。
つまり中小企業の経営者には個人保証の責任を持ってもらうことで中小企業の経営に責任をもってもらい、公私混同などせずにしっかりと会社の経営を行ってもらうというプレッシャーの意味があるのです。
そのため銀行は中小企業には個人保証を求めるのです。

上場企業と中小企業の個人保証のまとめ

以上、上場企業には個人保証を求めないのに中小企業には銀行が個人保証を求める理由をまとめますと次のようになります。

まとめ

・中小企業は上場企業に比べて事業基盤が脆弱で返済能力が乏しい
・中小企業は上場企業に比べて情報開示が不十分
・中小企業は企業と経営者個人が実質一体の関係あり、分離が不十分

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