銀行の不動産融資は融資期間において法定耐用年数の範囲内という原則があります。
不動産融資と法定耐用年数との関係について説明をします。
目次
ある不動産融資の相談事例
先日、ある不動産賃貸を営む会社から不動産融資の相談を受けました。
内容としては、以前、別の銀行から賃貸ビルの不動産取得資金の融資を受けて現在返済中であるが、これを借換したいという相談でした。
金額は3億円でした。
物件の調査
不動産融資の受けた銀行ではまずはその不動産はどのようなものなのかを調べます。
具体的にはまずはその不動産の謄本を取得します。
今回の不動産においてその建物がすでに新築してから55年が経過している物件でした。
法定耐用年数をすでに超過している建物物件でありました。
不動産融資の期間は残存法定耐用年数の範囲内
原則として銀行の不動産融資の期間は最長で残存の法定耐用年数の範囲内です。
例えば鉄骨鉄筋コンクリート造で事務所用の建物の法定耐用年数は50年です。
そして新築から40年が経過している建物であれば残存の法定耐用年数は10年となります。
したがって銀行の融資期間は最長で10年ということになります。
これが原則です。
法定耐用年数を超えて融資をするときもある
もっとも法定耐用年数を超えたらその建物は崩壊してしまうのかと言えば、そうとは限りません。
現実には法定耐用年数を超えても利用されている建物はいくらでもあります。
そのような事情も考慮して、銀行では独自に「経済耐用年数」を調査して法定耐用年数を超えて融資を行う場合もあります。
ただし経済耐用年数といっても実務的には法定耐用年数を5年ほど超える程度です。
10年も20年も法定耐用年数を超えるということはありません。
残存の法定耐用年数の融資期間で返済できるかどうか
残存の法定耐用年数が10年とした場合、その10年で不動産融資が完済できるかどうかが審査のポイントとなります。
もちろん担保があるなどその他の審査上の条件がありますが、まずは返済できるかどうかが審査のスタートです。
残存の法定耐用年数で不動産融資の返済に十分な余力が認められなければ審査は難しくなります。
銀行によって融資期間は異なる
さきほど不動産融資の最長期間は原則として残存する法定耐用年数の範囲内だと説明をしました。
実際に多くの銀行がそのような考え方で不動産融資に対応をしています。
ただしすべての銀行がそうではありません。
銀行によっては法定耐用年数を超えて不動産融資に対応しているところもあります。
今回の相談案件の結果
今回の相談案件についてはすでに残存の法定耐用年数がなく、融資の検討が不能の案件でした。
そのため相談いただいた不動産融資の借換はお断りをしました。