多くの会社には借入金がありますが、銀行融資の審査担当は借入金についてどのような見方をしているのかを説明します。
借入金の推移
まずは借入金の残高の推移を検証しています。
減っているのか、増えているのかです。
借入金が減っている場合には融資審査担当は気にしません。
借入金が増えている場合には融資審査担当はその増加理由を検証します。
借入金が急増していないか
売上が減少しているにもかかわらず、借入金が増加している場合は要注意です。
本来、売上が減少すれば資金は余剰となるはずです。
それは売上が減少することにより、仕入量が減少したり経費の変動費が減少したりするからです。
それにもかかわらず借入金が増加しているということは、明らかに資金繰りが逼迫していることを示しています。
借入金の増加分は何に使用したのか
借入金の増加、つまり新規借入により何に使ったのかということです。
設備を購入したのであればまだ良いのですが、資金赤字の補填であったりする場合には借入金の返済可能性が危険なことを示しています。
銀行毎の借入金残高の推移
多くの会社は複数の銀行から借入をしています。
このような場合にはその銀行毎の借入金の残高推移を融資審査担当はチェックをしています。
特に主力銀行の借入金残高の推移には特に注意を払っています。
主力銀行というのはその会社の業況などを他の銀行に比べてもっとも詳しく把握しています。
その主力銀行の借入金残高が増えていればそれほど問題はないのですが、問題なのは減っている場合です。
特に他の取引銀行の借入金残高は増えている、あるいは横ばいであるにもかかわらず、主力銀行の借入金残高だけが減っている場合は要注意です。
主力銀行と会社との間で何か取引上のトラブルが発生したのかもしれませんが、そうでない場合には主力銀行がその会社の信用状態に危険を感じているかもしれません。
そのために追加融資を行わずに借入金残高が減っているのかもしれません。
支払利息と釣り合いは取れているか
借入金は当然ながら支払利息が発生します。
したがって借入金が増加すれば支払利息も増加するはずです。
時々支払利息は増加しているにもかかわらず、借入金はほとんど変わらない、あるいは減少している場合が見受けられます。
このような場合、銀行融資の審査担当は決算書には計上されていない債務、つまり簿外債務があるのではないかと考えます。
決算期の途中で有利子負債が増加したが、期末時点では返済したのであれば、その事実をきちんと審査担当に伝えてください。