仕入債務とは支払手形とか買掛金のことです。
銀行融資の審査担当は仕入債務について、特に仕入債務回転期間の変化に着目しています。
買掛債務回転期間とは
買掛債務回転期間とは支払手形や買掛金を最終的に現金で支払うまでの期間を示しています。
算式はつぎのとおりです。
買掛債務回転期間=(支払手形+買掛金)÷平均月商
原材料や商品などを仕入する際に現金と引き換えで行うことは少数です。
一般的には例えば今月仕入をしたものは来月末に支払うなどいわゆる「ツケ」で仕入することが多いでしょう。
この「ツケ」で仕入を行いまだ現金で支払っていないものを買掛債務と呼ばれています。
そして買掛債務回転期間とは「ツケ」で仕入したものをどれくらい後に現金で支払っているのか、その平均値を示すものです。
例えば買掛債務回転期間が2ヶ月の場合、「ツケ」で仕入した代金は2ヶ月後に現金で支払っていることになります。
また買掛債務回転期間が1ヶ月の場合は、「ツケ」で仕入した代金は1ヶ月後に現金で支払っていることになります。
当然、資金繰りには買掛債務回転期間が長い方が楽になります。
買掛債務回転期間の短縮化
この買掛債務回転期間が短縮化しているということはどういうことでしょうか。
買掛債務回転期間が短縮化しているということは仕入発生から現金支払いまでの期間が従来より短くなっていることを示しています。
例えば今までは仕入してから2か月後の支払であったものが仕入してから1ヶ月後に現金で支払っているということです。
当然、資金繰りが苦しくなります。
問題はなぜ買掛債務回転期間が短くなっているのか、その理由です。
銀行融資の審査担当が心配している理由は融資先の信用力が低下し、仕入先から現金決済や前払いなど仕入条件を厳しくされているのではないかということです。
もし信用力に問題がなく、値引きが狙いで積極的に早期に支払うことにしたのであれば、そのことを銀行融資の審査担当に伝えてください。
買掛債務回転期間の長期化
一方で買掛債務回転期間が長期化しているということはどういうことでしょうか。
これは今までは仕入してから1ヶ月後に現金で支払っているものが今では2ヶ月後に支払っているということです。
資金繰りには買掛債務回転期間が長期化すると楽になります。
ここでも問題は買掛債務回転期間がなぜ長期化しているのかということです。
銀行融資の審査担当が心配している理由は資金不足で支払が出来ていないのではないかということです。
支払が出来なければ買掛債務が減りません。
買掛債務が減らなければそれは買掛債務回転期間が長くなる原因となります。
買掛債務回転期間が短縮化するよりも長期化している方が資金繰りが深刻な状況であることが多く、融資の審査担当が心配している事象です。
なぜ買掛債務回転期間が長期化しているのか、その理由をしっかりと具体的に説明することが大切です。