不動産業以外の会社が安定収入を得るために不動産投資を行うことがしばしばあります。
不動産投資で必要となる資金は銀行の融資の対象となります。
一般事業を行う会社が不動産投資の融資を銀行から受ける時、その融資期間はどれくらいだと思います。
融資担当の銀行員が説明をします。
目次
システム開発会社からの不動産投資の融資相談
最近、あるシステム開発を営む会社から不動産投資の融資相談を受けました。
収益物件として一棟のマンションを購入し、そこから家賃収入を得て会社の収入の安定に寄与させようとする目的です。
今回の相談案件を題材にして不動産投資融資の融資期間に対する銀行の考え方を説明していきます。
不動産投資の融資期間は最長10年が原則
結論から申し上げますと不動産投資の融資期間は最長で10年というのが原則です。
不動産投資は設備投資
システム開発会社のような不動産業ではなく一般事業法人が行う不動産投資は銀行ではあくまでも設備投資案件として考えます。
設備投資の融資期間は最長10年
そして設備投資の融資期間の最長は10年が原則です。
融資の返済に10年超を要する設備投資はその会社にとっては過大な投資と銀行は考えます。
長くても10年以内に設備投資に要した資金を回収できる、つまり融資が返済できることが妥当な水準の設備投資案件だと銀行は考えるのです。
この考え方は不動産投資でも同じです。
そのため不動産投資の融資期間は最長でも10年とするが銀行の基本的なスタンスです。
不動産投資の融資期間は最長でも10年とするが銀行の基本的なスタンス
不動産投資融資の返済原資
不動産投資の融資の返済は賃料収入など不動産投資から得られる収入となります。
不動産投資の収入で融資が無理なく返済できるかどうか
そのため不動産投資の融資案件においてはその不動産投資から得らえる収入により融資の返済が無理なく出来るかどうかが銀行の審査目線です。
10年以内で無理なく投資収入により返済することが難しいようであれば、銀行の不動産投資の融資は審査が通りません。
返済に20年を要するということであれば、それは過大な不動産投資と銀行は考え審査が通る可能性は極端に小さくなります。
不動産投資から得られる収入で融資が10年以内に無理なく返済できるかどうかが審査の最大のポイント
満室での収入は審査の前提とはしない
不動産投資の融資を銀行に相談を行うと、銀行から収益返済計画の提出を求められます。
賃料収入から必要経費を差し引いて残った資金にて返済が可能かどうかを計画して資料が収益返済計画です。
ところでお客さんからよく提出される収益返済計画は満室のケースでの収入をベースにしているケースです。
不動産投資で購入予定の一棟マンションが満室の時もあるかもしれませんが、常に満室であることは非現実的です。
必ず空き室の状態もあるはずです。
空き室の状態もあることを踏まえて収益返済計画を策定する必要があります。
満室時の7割から8割程度でも返済が可能かどうかは審査の分かれ目となります。
満室時の7割か8割程度でも融資の返済ができるかどうか
不動産投資の融資期間が10年超は危険
ところで金融機関の中には不動産投資の融資期間を10年超、例えば20年でも融資に応じるところがあります。
しかし不動産投資の融資期間を10年超で利用することは回避すべきです。
融資期間が長いほど不安定さが増加する
一棟マンションの購入で不動産投資の融資を融資期間20年で受けた場合を例にして説明をします。
融資期間が20年ということは今後20年間、融資の返済が続くということです。
20年というといろいろな変化が間違いなくあります。
20年間負担感なく融資の返済ができますか?
20年間の間には近隣に新築の賃貸マンションなどが建設されるでしょう。
新築の賃貸マンションができれば古い賃貸マンションよりも新しい賃貸マンションへの入居希望が増加するでしょう。
入居者を確保するには今までよりも安い家賃で我慢する必要も出て来るでしょう。
このようなことになれば不動産投資の融資の返済は大きな負担に感じることでしょう。
不動産投資の融資期間は何年ですか?のまとめ
以上、不動産投資の融資の融資期間についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・融資の返済に10年超を要することは過大投資と考えるべき
・不動産投資の融資期間が長いほど、この間の事業リスクや返済負担は高まると考えるべき