融資審査マンの見方 銀行融資の基本

運転資金は運転資金として使って下さい

運転資金とは

銀行が行う融資の多くは資金使途が運転資金です。
運転資金に含まれるものの代表例としては、

仕入資金・材料費・外注費・人件費・家賃・水道光熱費


などです。
つまり事業を行うにあたって日々必要な資金です。
私たち個人で言えば食費や家賃、電気代、交際費、交通費など日常の生活において必要となる資金です。
運転資金は事業を行うにあたって欠くことが出来ません。
仕入が出来なければ商品を販売することが出来ません。
人件費を支払うことが出来なければ社員がいなくなってしまいます。
このような事業継続にあたって必要な資金が運転資金です。
そしてこの運転資金こそ銀行が行う融資の多くを占めるものです。

資金使途違反の悪事例

資金使途違反事例
上の図は資金使途違反のよくある悪事例です。
運転資金として融資を受けた資金を社長個人の口座に振り込んでいる、関連会社の口座に振り込んでいる、他の借入金の返済に充てるなどはいずれも資金使途違反です。
銀行は運転資金の融資を実行した後に、その資金が何に使われているのか口座の動きをウォッチしています。
具体的な例としては会社が運転資金として融資を受けたけれどもすぐに使う予定もなかったので、社長の個人に口座に移してそこで株を購入して儲けようとしたというのがあります。
まさに資金使途違反です。

なお会社が運転資金として受けた資金を融資を受けた銀行とは別の銀行の会社口座に移した場合、融資を実行した銀行では他の銀行での資金の動きを独自に知ることは出来ません。
例えばA銀行で融資を受けた資金をB銀行に移して、そこから社長の口座に移動させた場合、A銀行ではB銀行から社長口座への資金移動はわかりません。
しかしA銀行では事後的に資金使途違反を知ることが出来るのです。
次の貸借対照表をご覧ください。
貸借対照表
まず長期借入金の項目をご覧ください。
3年前の長期借入金残高は36,655千円であるのに対して、2年前の長期借入金残高は65,781千円です。
およそ3,000万円が増加しています。
実はこの3,000万円はこの会社のある取引銀行から運転資金として融資を受けたものです。
次に短期貸付金の項目をご覧ください。
3年前の短期貸付金残高は1,500千円であるのに対して、2年前の短期貸付金残高は31,500千円となっています。
3,000万円が増加しています。
つまりこの会社は2年前に取引銀行から運転資金として受けた3,000万円の資金を社長への貸付金に回しているのです。
もちろん融資した資金が直接、社長への貸付金に行ったかどうかはわかりません。
しかしながら少なくとも銀行は直接、間接を問わず運転資金の融資資金が回りまわって社長への貸付金に流用されていると見做すのです。

資金使途違反の代償

資金使途違反が明確な場合、銀行は融資先に対して融資の全額一括返済を求めます。
資金使途違反は融資の契約違反です。
また資金使途違反とは明確に断定はできないが、かといって明確に使途通りに例えば運転資金として使用されたかどうか疑わしい場合には、融資の全額一括返済までは求めないとしても少なくともその融資が完済にならない限り、新規の融資には応じません。
その後も資金使途違反をする可能性がある取引先としてネガティブな見方をして、その取引先とは取引解消を前提として対応をすることになります。
資金使途違反は絶対にしないてください。

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