融資金利の決定要因
中小企業向けに銀行が融資を行う際、融資金利は何によって決まっているのでしょうか?
基本は信用格付の水準
一部の例外を除いては銀行が取引先ごとに行う信用格付の水準によって決まります。
信用格付とは要するに会社の財務内容をはじめ、銀行が融資先の会社の実力をランク付けしているものです。
この信用格付が高い(良い)ということは銀行にとって貸倒リスクが低いということですから、会社向けの融資金利は低くなります。
逆に信用格付が低い(悪い)ということは銀行にとって貸倒リスクが高いということですから、会社向けの融資金利は高くなります。
銀行にとって金利が貸倒リスクに対する対価であることが原則です。
したがって貸倒リスクが高い、つまり返済してもらえない可能性が高い取引先には高い金利で融資を行うことになります。
逆に貸倒リスクが低い、つまり返済してもらえる可能性が高い取引先には低い金利で融資を行うことになります。
取引先との採算状況
もっとも信用格付にのみで最終的に適用される融資金利が決まるわけではありません。
さきほど融資金利は貸倒リスクに対する対価だと説明しましたが、それと同時に銀行にとっては大切な収益源でもあります。
融資以外の取引、例えば振込や外国為替などの取引があり取引採算が良好な場合には、多少は融資金利を低くしてでもその取引先との取引を続けたいと銀行は考えます。
一方で融資取引以外の取引がない、あるいは脆弱な場合には融資金利が唯一の収益源となります。
このような場合には融資金利を引き下げる余地は乏しく、金利水準に了解が得られない場合には与信判断以前の問題として適正な取引採算が確保出来ないとして融資を断ることすらあります。
他の金融機関との競合
多くの会社ではある1つの銀行と取引があるだけではなく、他の複数の金融機関と取引があることが通常です。
そうすると金融機関同士の競争は自ずと発生します。
どうしても融資をしてシェアを伸ばしたいと考えれば他の金融機関よりも低金利にてその融資を取りに行きます。
一方でその逆もありで、融資取引を拡大しないのであれば他の金融機関との金利競争はせず、結果として他の金融機関に融資が流れてもやむを得ないと考えます。
信用保証協会保証付融資の利率
なお信用保証協会保証付融資は銀行のプロパー融資に比べて金利は低くなります。
これは信用保証協会が銀行に保証をすることで、万が一融資先の会社が融資を返済できなくなった場合は、信用保証協会が銀行に代位弁済をしてくれますから、それだけ銀行の貸倒リスクは低くなるからです。
さらに信用保証協会保証付融資の中には、各地公体の制度融資が含まれます。
制度融資は中小企業支援が狙いですから、金利も低利の固定金利など政策的な配慮がなされています。
中小企業の資金調達には必ず使いたい融資形態の1つです。