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銀行融資の基本 融資審査マンの見方

銀行から一括返済を求められるケースとは?

原則として銀行から融資を受けている事業者などの債務者は期限まで融資を借りられるという期限の利益があります。
しかしケースによっては銀行から融資の一括返済を求められることがあります。
銀行から融資の一括返済を求められるケースについて融資担当の銀行員が説明をします。

銀行から融資の一括返済を求められることに関する質問

中小企業が銀行から融資の一括返済を求められる場合はどのような時でしょうか?
現在、銀行から短期で借入金があります。
期間は半年で毎回期限に継続をしてもらっており、今まで融資の一括返済を求められたことはありません。
しかし今後も借入金を期限に継続してもらえるのか不安です。
期限に継続してもらえずに融資の一括返済を求められることはあるのでしょうか。
また銀行から融資の一括返済を求められる場合とはどのような時でしょうか?

融資を受けている債務者の期限の利益

最初に銀行から融資を受けている債務者の期限の利益について整理をします。

融資の期限まで借りられるというのが期限の利益

期限の利益とは銀行から融資を受けている債務者が持つ権利です。
例えば銀行から期間1年で融資を受けた場合、融資を受けた債務者は期限の1年後までは融資を借りられるというのが期限の利益です。
期限までの途中で銀行から融資の一括返済を求められることはないですし、仮に一括返済を求められるとしても債務者は期限の利益がありますから拒絶することができます。

期限の利益とは融資の期限までは融資を借りられることであり、途中で一括返済を求められることはない債務者側の権利のこと

銀行から融資の一括返済を求められるケース

では銀行から融資の一括返済を求められるケースについて説明をします。
銀行から融資の一括返済を求められるケースとしては大きく2つのケースがあります。

融資の期限が到来した場合

最初のケースは融資の期限が到来した場合です。
上記の質問のケースが該当します。

短期の期限一括返済の融資

融資期間を半年として返済方法は期限一括返済とする短期借入金はよくあります。
ほとんどのケースでは運転資金の借入金でしょう。
手形貸付の形態で融資期間を半年として、返済方法は期限一括返済。
利息だけをこの間は支払う融資形態です。
冒頭の質問はまさにこのケースです。

期限が来たら融資は返済しなければならない

融資期間6ヶ月で期限一括返済で融資を利用している場合、確かに6ヶ月後の融資期限までは融資を借り続けられるという期限の利益があります。
したがって融資を受けてから3ヶ月後の銀行から一括返済を求められることはないということです。
しかし6ヶ月後に融資の期限が来たら融資は返済しなければなりません。
融資期限の到来により債務者の期限の利益はなくなるからです。

当たり前のことであるが融資は期限が来たら返済しなければならない

融資の継続

ただし今回の質問のように運転資金を短期融資の一括返済で利用している場合、期限に融資の継続が行われることはよくあることです。
6ヶ月後の融資の期限到来時にその期限をさらに6ヶ月延長して融資を継続する取扱です。
この場合には期限の利益がさらに6ヶ月間延長されることになります。

融資を継続するかどうかは銀行の判断

この期限に融資を継続するというやり方ですが、もちろん自動的に継続されるわけではありません。
銀行は融資の期限到来前に継続するかどうかをきちんと審査をしています。
そして審査の結果、継続に応じるということになれば融資の一括返済を求めることはなく、継続されます。

審査の結果で銀行は融資の継続に応じる

融資の継続に銀行が応じない場合

銀行が期限に融資の継続を認めないという審査結果となれば、現在の融資は期限時に一括返済をしなければならなくなります。
つまり融資の一括返済を求められるということです。
当初の契約通りに期限到来に伴い融資は一括返済をしなければならないということです。
ではどのような時に銀行は融資の継続を認めずに一括返済を求めるのかと言えば、それは一言でいうならば業績の悪化で早く融資を回収しないと貸倒になると考えた時です。
貸倒は銀行の損失となりますから、それを回避するために融資の一括返済を求めるわけです。

業績が悪化すると銀行は融資の継続に応じない可能性が高くなる

銀行の現実的な対応

しかし業績が悪化しているわけですから融資の一括返済が難しいことは当然に考えられることです。
銀行もそのような事情はよくわかっています。
そのため現実的な対応で多いのは、融資の一部の返済を受けて融資を減額して継続するという方法です。
この対応は現実にはもっとも多いと言えます。
融資を受けている債務者の状況にも異なりますが、融資を一括返済ではなく毎月の分割返済として対応することもよくあることです。

銀行との取引約定に違反した場合

もう1つ、銀行から融資の一括返済を求められるケースとしては銀行との取引約定に違反した場合です。
銀行との取引約定に違反した場合の代表的なケースは次のとおりです。

取引約定違反の代表的なケース

・融資の元金や利息の支払いを延滞した場合
・債務者や連帯保証人の預金口座に差押が入った場合
・融資の資金使途に違反した場合

取引約定に違反すれば期限の利益はなくなる

融資を受けている債務者が持つ期限の利益は銀行との取引約定を遵守していることが前提です。
この取引約定に違反すれば期限の利益は喪失されてしまいます。
期限の利益がなくなれば債務者は融資の一括返済をしなければなりません。
つまり銀行から一括返済を求められるということです。
取引約定に実際に違反して一括返済を求めるかどうかは銀行側の判断によります。
取引約定に違反しても一括返済を銀行が求めないこともありますが、それは銀行による個別判断です。
取引約定に違反したら銀行から一括返済を求められるとしてもそれはやむを得ないことなのです。

銀行との取引約定、つまり約束に違反したら一括返済を求められる可能性がある

銀行から一括返済を求められるケースとは?のまとめ

以上、銀行から融資の一括返済を求められるケースについてまとめますと次のようになります。

まとめ

・債務者には期限の利益があり融資の期限までは一括返済を求められることは原則としてない
・融資の期限が到来し銀行が継続を認めなければ一括返済を求められる
・延滞など銀行との取引約定に違反すれば一括返済を求められる

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