グループ会社の中核企業から運転資金融資の申し出があります。
中核企業を含めてこのグループには計3社のグループ会社があります。
3社のそれぞれの業務は異なりますが、社長は同一人物です。
銀行の着目点について説明をします。
グループ会社間の資金の貸借
グループ会社間の資金の貸借自体はこのグループ会社の自由ですから銀行がとやかく言う立場にはありません。
しかしグループ会社間で資金の貸借を行っているところから融資の申し出がある場合には銀行は要警戒態勢となります。
本当に運転資金に使うの?
例えば運転資金として融資の相談があった場合には本当に運転資金として融資した資金が仕入資金や人件費などの運転資金に使用されているかどうか、疑問を持ってしまいます。
今、私たち銀行員は従来以上に資金使途に神経をとがらせています。
銀行融資の代表的な資金使途には運転資金、設備資金、決算資金、賞与資金の4つがありますが、この融資の使途どおりに使われているかどうかを注意しているのです。
というのは、融資した使途以外に資金が使われた場合、経験則上、その会社の業績が悪くなる、また資金繰り破綻に至るケースが多いためです。
他の会社への転貸資金に使われるのでは?
今回のようにグループ会社間で資金の貸借が行われているところから運転資金としての融資相談があった場合、銀行員がまず考えるのはまた他のグループ会社への転貸に使われるのではないかという懸念です。
もしグループ会社への転貸に融資が使用されてしまえば資金使途違反であることを当然のこととして、何よりも融資を受けた会社には何らプラスにはなりません。
融資の返済原資は最終的には事業活動によって得られる利益です。
しかしながらグループの他の会社への転貸資金に融資が使用されてしまえば、融資先には何らプラスにはならず利益を生み出すものではありませんから銀行としては融資の回収に懸念を持ってしまうのです。
資金繰りの悪化
また銀行から受けた融資を他のグループ会社に転貸してしまえば、融資の受けた会社の資金繰りには何らプラスにはなりません。
プラスになるどころかその後の融資の返済を考えれば資金繰りを悪化させることになります。
実際に融資実務でも多いことなのですが、転貸した融資先は資金繰りが悪化し返済に窮する実例が少なくありません。
銀行の融資姿勢
結論から申し上げてグループ会社間で資金の貸借がある先からの融資申し出に対しては基本的に銀行は融資謝絶を念頭にした対応を取ります。
グループ会社間で資金の貸借が多く行われている場合、そのグループ会社全体で資金繰りが苦しい場合が少なくありません。
資金繰りが苦しく銀行からの融資もスムーズに受けられないためにグループ会社間で資金の貸借・融通を行い資金繰りを回しているのです。
このようにグループ会社間で資金を回している場合にはどこかの会社の資金繰りがショートした場合、その影響はグループ会社全体に連鎖します。
銀行としては怖くて融資などできません。