複数店舗を営業している飲食業や美容業などの会社に対して銀行が新たな融資を検討する際には必ず銀行が確認することがあります。
それが店舗別の収支状況です。
なぜ銀行が店舗別の収支状況を確認するのか、その目的などを説明します。
店舗別収支の把握は大切です
飲食店や衣服店など複数の店舗を経営している中小企業は少なくありません。
ところで全社ベースの収支は決算書などを見れば把握できますが、店舗ごとの収支を経営者のみなさんは把握していますか?
意外に店舗ごとの収支、つまり儲かっているのか儲かっていないのかを把握されている経営者の方は少ないように感じます。
店舗ごとの収支の把握は経営管理面からも重要なことです。
複数の店舗を運営している場合、どうしても経営者の目が行き届かなくなります。
複数の店舗の中には好調な店舗もあれば、不調な店舗もあるはずです。
店舗ごとの収支を把握していれば、好不調の店舗がどれなのかを常に認識することができ、
不調の店舗へのテコ入れなどで全社ベースの業績を底上げすることが可能となります。
銀行融資の判断にも重要
銀行融資の審査では複数の店舗を運営している企業には、必ず店舗ごとの収支をヒアリングさせていただいています。
こちらからの質問にすぐに答えられる経営者もいれば、ほとんど把握されていない経営者もいらっしゃいます。
当然、銀行の評価はきちんと店舗ごとの収支を把握されている経営者が高くなります。
店舗ごとの収支を把握していないということは、切り捨てた言い方をすれば「どんぶり勘定」で会社を経営しているということです。
このような会社には安心して銀行融資を実施することは出来ません。
新規出店融資時には必ず店舗別の収支状況が必要
複数店舗を運営している会社から新たな店舗の出店資金の融資相談があった際、銀行は新店舗の収支計画資料の提出を求めるとともに、既存の店舗の収支状況の報告を必ず求めます。
しばしば実際に銀行の融資現場に持ち込まれる融資相談事例において既存店舗の売上不振をカバーするために新規出店資金の融資相談があります。
銀行からすれば新規出店よりもまずは既存店舗のテコ入れが優先ではないかという考えを持ちます。
既存店舗の不振を新規出店によりカバーしようとしても、その新規出店が計画通りに行かなかった場合にはますますその会社の財務内容は悪化するだけです。
せめて既存店舗の中で不振店舗の具体的なテコ入れ策を明示した上での新規出店資金融資の相談を銀行は望んでいます。
既存店舗の状況が不明のままで新規出店資金に銀行が積極的に対応することはありません。