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融資審査マンの見方 銀行の本音 中小企業社長との面談日誌

繰り返し運転資金の申し込みがある取引先

運転資金は事業の行う上で必ず必要となる資金であり資金繰りの安定にとって重要な意味があります。
そのため銀行は取引先に対して運転資金の融資を数多く行っています。
今回は繰り返し運転資金の融資申し込みを受けているある取引先の実例です。

ある解体業者の融資先の実例

ある解体業者の融資先があります。
当行がいわゆる主力銀行であり頻繁に運転資金の申し込みがあります。
正直、「いくら主力銀行といってもこう度々運転資金の申し込みがあると厳しいな」と考えている融資先です。
3ヶ月ほど前にこの融資先は政府系の金融機関から総額1億円の運転資金借入を行いました。
このことを融資先の社長から聞いたときは「当面はこれで融資の相談は受けなくて済むな」というホッとした感想を持ちました。
ところがこれから1ヶ月後にまたもや運転資金の申し込みを受けました。

別の銀行から融資を受けて短期間に運転資金の申し込みがあった

一体この前の1億円はどこに行ったのか

どうして3ヶ月前に1億円の運転資金の借入を行なったのに、なぜまた融資が必要なのか…。
これは当然に感じる思いです。
今回ばかりは社長から相談があるがままに運転資金の申し込みには簡単に応じることは出来ません。
一体資金繰りはどうなっているのか。

資金繰りの検証が必須

今回の様に他行とは言え融資を受けて間もない時期に運転資金の申し込みがあるとなると、この会社の資金繰りはどうなっているのか、資金は何に使っているのか、どうして融資が必要になるのかを調査しないと検討は出来ません。
運転資金は確かに銀行融資の多くを占めるものですし、銀行としても融資がしやすい使途です。
しかし度々の運転資金の申し込みとなるとなぜ資金が必要なのかを検証しないとさすがに融資に応じることは出来ません。

銀行の考え方

銀行が運転資金の融資を行う際、この融資で当面の資金繰りは安定することを前提に行っています。
当面というのは1年程度です。
今回のように1年以内の時期に繰り返し運転資金の申し込みがあると一体資金繰りはどうなっているのか、この前の融資の資金はどこに行ったのかを疑わざるを得ません。

実は運転資金ではなく設備投資に使っていた

今回の場合には他行から借入した1億円にてトラックの購入や老朽化した建機の買い替えなどの設備投資に融資資金を使ったため、運転資金が必要になったとのことでした。
他行からは運転資金として融資を受けたものですから、これを設備投資に使ったということは資金使途違反です。
他行の融資ですから自行の融資のように目くじらを立てることはないですが、そうであれば他行から運転資金ではなく堂々と設備資金として融資を受ければ良かったのです。
もし仮にこれが自行の融資であれば資金使途違反の状態ではいくら主力銀行と言えども融資には容易に応じることは出来ません。

今回の運転資金の申し込み案件

他行の融資で設備投資を行っていたということですから、その設備投資の効果や他行の設備資金借入の返済面を含めて資金繰りの動向を慎重に見極める必要があります。
設備投資直後の運転資金の申し込みということもあり、設備投資への追加の資金投入や他行の設備資金借入の返済への流用が懸念されます。
今後の資金繰りの状況を徹底的に検証し、純粋な運転資金の必要性がなければ今回の運転資金の申し込みはお断りせざるを得ません。

繰り返し運転資金の申し込みがあるケースのまとめ

以上、繰り返し運転資金の申し込みがある場合の銀行の受け止め方についてまとめますと次のようになります。

まとめ

・銀行は運転資金の融資にて最低でも1年間の資金繰りの安定を期待している
・しかし1年以内にたびたび運転資金の申し込みがあるということは資金繰り面に大きな懸念材料があるはずと考える
・今後の業績見込みや資金繰りの状況を詳細に検証しないと繰り返し運転資金の申し込みには応じられない
・場合によっては新規融資ではなくリスケ対応も視野

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