銀行融資の基本 融資審査マンの見方 資金繰り

預金差押は融資の期限の利益の喪失です

預金差押を受けた場合に、銀行からの融資はどうなるのかというテーマです。
結論として預金差押は銀行からの融資に重大な影響を与えます。
いわゆる期限の利益の喪失です。

質問

今、自営業での融資を銀行へお願いしたくて、動いているのですが、消費税滞納の問題があり、門前払いと思っていましたが、相談に行った銀行員が良心的な方で親身に相談にのっていただき、消費税は国税で、市税ではないから、一端置いといて、必要書類を提出すれば、保証協会へかけ合ってくれるとのことでした。
必要書類を準備してる最中ですが、とんでもない事を思い出しました。
借主予定者(旦那)が、銀行口座の預金差押を時々されています。
お恥ずかしい話ですが、10年くらい前、仕事の関係で数台の車を所有していた時の自動車税が、利息が膨らみ、ますます払えず、ほっておいたままです。
今は、住所も変わり、督促も書類も来ませんが、3年ぐらい前に預金差押を受けた事実があります。
どこの銀行にも預金らしい預金は入っていませんので、金額的に数十万預金差押さえたという事はありません。が、何も解決していません。
どう考えても、県内の銀行全てに、預金差押の連絡は出しているでしょうから、生年月日、氏名から、ばれると思います。
そうなると、それが原因で破談の可能性は大いにあるのでしょうか。

融資の期限の利益

預金差押は融資の期限の利益に重大な影響があります。
まず融資の期限の利益というものについて整理をしておきます。
融資の期限の利益というのは融資の期限までは借りていられる、返さなくても良いという借り手側の権利です。
例えば融資金額3,000万円を期間5年の毎月分割返済で融資を受けているとします。
融資を受けてから2年が経過し、毎月元金を50万円ずつ返済しています。
融資の期限までは残り3年です。
ここで融資の期限の利益とは残り3年は毎月元金50万円ずつ返済していけば、期限をまたずに銀行から一括返済を求められることはないということです。
残り3年間は借りていられるというのが融資の期限の利益です。

融資の期限の利益の喪失

しかし一定の出来事がおこるとこの期限までは借りていられるという融資の期限の利益が喪失してしまうことがあります。

融資の期限の利益喪失条項

ではどのような出来事が起こると融資の期限の利益が喪失されるのでしょうか?
それは銀行との融資取引の基本約定書である銀行取引約定書に明記されています。
それが以下です。


①甲について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、乙からの通知催告等がなくても、甲は乙に対するいっさいの債務について当然期限の利益を失い、直ちに債務を弁済するものとします。
1.破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始もしくは特別清算開始の申立があったとき。
2.手形交換所または電子債権記録機関の取引停止処分を受けたとき。
3.前2号の他、甲が債務整理に関して裁判所の関与する手続を申立てたとき、もしくは弁護士等へ債務整理を委任したとき、または自ら営業の廃止を表明したとき等、支払を停止したと認められる事実が発生したとき。
4.甲または甲の保証人の預金その他の乙に対する債権について仮差押、保全差押または差押の命令、通知が発送されたとき。
なお、保証人の預金その他の乙に対する債権の差押等については、乙の承認する担保を差し入れる等の旨を甲が遅滞なく乙に書面にて通知したことにより、乙が従来通り期限の利益を認める場合には、乙は書面にてその旨を甲に通知するものとします。
ただし、期限の利益を喪失したことに基づき既になされた乙の行為については、その効力を妨げないものとします。
②甲について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、乙からの請求によって、甲は乙に対するいっさいの債務について期限の利益を失い、直ちに債務を弁済するものとします。
1.甲が乙に対する債務の一部でも履行を遅滞したとき。
2.担保の目的物について差押、または競売手続の開始があったとき。
3.甲が乙との取引約定に違反したとき、または第14条に基づく乙への報告もしくは乙へ提出する財務状況を示す書類に重大な虚偽の内容がある等の事由が生じたとき。
4.甲の責めに帰すべき事由によって、乙に甲の所在が不明となったとき。
5.甲が暴力団員等もしくは第15条第1項各号のいずれかに該当し、もしくは同条第2項各号のいずれかに該当する行為をし、または同条第1項の規定に基づく表明・確約に関して虚偽の申告をしたことが判明したとき。
6.甲が振り出した手形の不渡りがあり、かつ、甲が発生記録をした電子記録債権が支払不能となったとき(不渡りおよび支払不能が6か月以内に生じた場合に限る)。
7.保証人が前項または本項の各号の一つにでも該当したとき。
8.前各号に準じるような債権保全を必要とする相当の事由が生じたと客観的に認められるとき。

預金差押は期限の利益喪失に該当

上記の銀行取引約定書の中の赤字の部分をよくご覧ください。
4.甲または甲の保証人の預金その他の乙に対する債権について仮差押、保全差押または差押の命令、通知が発送されたとき。
甲というのは借り手側、つまり債務者のことです。
預金差押というのはその瞬間に銀行が債務者に通知をしなくても、自動的に、当然に期限の利益を喪失することとなります。
つまり融資の期限がまだ先であっても債務者はただちに全額の銀行に返済しなければならないというものです。
預金差押という事実は客観的にみればその差押られた人の資金繰りが大きな懸念があることを示すことです。
今回の質問のケースで税金を長期にわたって延滞していたために税務当局から預金差押を受けたものでした。
税金を滞納しているということは資金繰りの余裕がない何よりも証拠です。
融資をしている銀行からすれば今後の返済に重大な懸念をもつ非常事態に相当します。
そのため期限の利益を喪失させてただちに融資の回収に走る事態となるのです。

預金差押と今後の融資

預金差押を受けたら現在の融資は期限の利益を喪失に全額をただちに一括返済をしなければならない事態でした。
ではその後の融資や現在申し込みをしている融資はどうなるのでしょうか。
預金差押は融資の期限の利益を喪失する重大事態でした。
そのため、当然、今後の融資や現在申し込みをしている融資は受けることはできません。
融資を受けるためにはまずはこの預金差押が解除されることが絶対条件です。
預金差押が解除されれば再び融資が受けられるというわけではありませんが、とにかく預金差押が解除されることが前提条件です。


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