資金繰りは事業を行う上でもっとも重要なことです。
なぜならどれだけ売上が増えても資金繰りがショートすればその時点で事業は破綻するからです。
今回は資金繰りが悪化する要因について説明をします。
目次
資金繰りの重要性
世の中にはいろいろな経営者の方がいらっしゃいます。
私の肌感覚としてもっとも多い経営者のパターンはとにかく売上の確保、売上の増加に大きな関心がある経営者の方々です。
事業を行う理由は売上を獲得することといっても過言ではありませんから、売上の確保や売上の増加に力を注ぐことは決して間違ってはいません。
売上がなければ事業は成り立たないわけですから。
黒字倒産
しかし実は売上よりももっと大切なことがあります。
それは資金繰りを維持して安定させることです。
黒字倒産ということを耳にされたことがあります。
黒字ということですから売上もありかつ利益もきちんと獲得をしている状態です。
しかし倒産なのです。
この黒字倒産の要因は資金繰りの破綻です。
つまりどれだけ売上を獲得し利益を獲得しても資金繰りがショートしてしまえば、その時点で事業は破綻してしまうのです。
資金繰りがショートしてしまえば仕入代金を支払えなくなるでしょう。
こうなるともう材料や商品を今まで通りに仕入をすることはできません。
また従業員への給与の支払いもできなくなります。
当然、従業員は辞めていくことでしょう。
事業を継続することができなくなるのです。
そのために資金繰りを維持して安定させることはとても重要なことなのです。
では資金繰りが悪化する要因とはどのようなものがあるのでしょうか。
資金繰りが悪化する要因を把握して資金繰り悪化を防ぐ予防策としてお考え下さい。
資金繰りが悪化する要因 売上の減少
さきほど売上よりも資金繰りが重要と説明をしたのですが、売上が一定以上減少すると資金繰りが悪化する要因となります。
売上は資金繰りの収入源であることには間違いはありませんから、売上の減少→収入の減少→資金繰りの悪化の連鎖となります。
売上減少で資金繰りが楽になることもある
しかし実は売上の減少は基本的に資金繰りを悪化させるのではなく資金繰りを楽にする側面を持っています。
不思議に感じられるかもしれませんが、実際にそうなのです。
売上が減少すれば仕入も減少するはずです。
また売上と連動する経費も売上が減少すれば経費支払いも減少します。
このことから売上の減少が直ちに資金繰りを悪化させることにはならないのです。
売上の一定以上の減少で資金繰りが悪化する
仕入などは売上に連動して変動する支払のものですが、売上の変動に関わらず常に支払が一定のものがあります。
代表的なものは給与支払いです。
売上の変動に関わらず常に支払が一定のものを固定費と呼んでいますが、売上の減少が一定以上になるとこの固定費の支払が苦しくなってきます。
こうなると資金繰りが悪化するわけです。
固定費削減が必要になる場合も
ただし売上を回復させようとしても決して容易ではないはずです。
当面、売上の回復が見込めない場合にはそのまま放置すれば固定費支払が資金繰りを圧迫し、資金繰りが回らなくなる事態も想定されます。
このような事態を避けるためには固定費にメスを入れることも必要になってくるでしょう。
事業を継続し従業員の雇用を維持するためにやむを得ない選択をしなければならない事態もありえます。
資金繰りが悪化する要因 売上代金の回収期間が長期化
売上代金は仕入資金の支払や従業員への給与の支払いなどに必要な資金です。
ところで飲食業などの現金商売であれば売上代金は売上の発生と同時に手元の資金が入ってきます。
しかし世の中で圧倒的に多い売上の形態は掛売りです。
掛売りということは売上の発生時点では売上代金は手元に入っては来ずに後日、販売先と取り決めな日になって初めて売上代金が手元に入ってきます。
売上代金がなかなか手元に入ってこない
売上代金をいつ販売先が支払ってくれるかは販売先との取り決めによって決まっているはずです。
1つの例として「月末締めの翌月末回収」で考えてみましょう。
現在が5月だとします。
5月中の売上は月末である5月31日で締めて、その売上代金は翌月末、つまり6月末に販売先が支払ってくれることで初めて手元に売上代金が入ってきます。
もし販売先との取り決めが「月末締めの翌月末回収」ではなく「月末締めの翌々月末回収」であればどうでしょうか。
翌々月末回収ですから5月の翌々月末、つまり7月末になって初めて販売先から売上代金を回収できることになります。
1ヶ月、売上代金が手元に入ってくる時期が延びました。
当然、1ヶ月分の資金繰りが悪化することになります。
売上代金の回収管理の徹底
このように売上代金が手元に入ってくるのが遅ければ遅いほど資金繰りが悪化します。
ただし販売先との取り決めを変更することは容易ではありません。
そのためできることを確実に行いましょう。
そのできることというのは売上代金の回収管理の徹底です。
販売先の中には約束した日に支払いをしてこない先があるでしょう。
このような事態になった場合には当日、遅くとも翌日にはその販売先に連絡を躊躇なく入れましょう。
販売先との関係を悪化する懸念を抱くこともあるかとは思いますが、約束した日にきちんと支払ってこない販売先は本当に大切は販売先なのでしょうか。
こちらから連絡をしないと相手側はなかなか支払ってはこないものです。
また甘い対応をしていると今回ばかりではなく今後も約束した日に支払をしてこない可能性があります。
販売先から支払をしれくれなければ、それだけ資金繰りが悪化するだけです。
売上代金がきちんと決まった日に回収されているのかどうかを管理することが資金繰りの悪化を防ぐうえで大切なことです。
在庫の管理
事業を行う上では一定の商品や原材料を在庫として持つことは必要です。
ただし在庫は在庫であるままでは一向に資金にはなりません。
在庫はそれが売れて初めて資金として使えるようになります。
在庫は必要なものではあるのですが、多すぎるとそれは在庫を準備するための資金負担が増して資金繰りを間違いなく悪化させます。
どの程度が在庫の適正な水準なのかは1ヶ月の売上量や季節要因によっても異なってくると思いますが、それを予測して在庫量を適正な水準に保つことが資金繰りを悪化させない処方箋となります。
在庫管理は難しいです。
売上の予測が外れて在庫が大量に余ってしまうこともあるでしょう。
難しいのですが在庫が現在どの程度あるのかを管理から初めて適正な在庫水準への精度を高めてください。
資金繰りが悪化する要因 借入金の件数が多い
事業を行う上で運転資金の確保や設備の購入などで銀行から借入金を受けることはあるはずです。
借入金は返済があります。
そして返済負担は借入金の口数が多いほど返済額が増加しますから返済負担が重くなり資金繰りを悪化させます。
複数の借入金がある場合には、借入をしている銀行に相談をして借入金の件数を集約させることの話をしてください。
借入金の資金使途の関係から集約することが難しいものもありますが、集約ができる借入金もあります。
借入金の件数が少なくなれば、それに応じて返済額も少なくなりますから資金繰りの悪化を防ぐことが可能となります。