銀行融資の基本 資金繰り

口座が差し押さえになると銀行融資はどうなる?

先日、融資先の口座に都税事務所から差し押さえがありました。
口座に差し押さえが入ると銀行の融資はどうなるのかを説明します。

口座の差し押さえは期限の利益の喪失

口座に対して差し押さえが入るということは尋常なことではありません。
どのようないきさつで口座に差し押さええが入ったかはわかりませんが、融資先の口座に差し押さえが入るということは銀行にとっても非常事態です。

口座差し押さえと銀行取引約定書

銀行と融資取引を開始する際には基本約定書として必ず銀行取引約定書を締結します。
その銀行取引約定書の中に次の条項があります。

①甲について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、乙からの通知催告等がなくても、甲は乙に対するいっさいの債務について当然期限の利益を失い、直ちに債務を弁済するものとします。
1.破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始もしくは特別清算開始の申立があったとき。
2.手形交換所または電子債権記録機関の取引停止処分を受けたとき。
3.前2号の他、甲が債務整理に関して裁判所の関与する手続を申立てたとき、もしくは弁護士等へ債務整理を委任したとき、または自ら営業の廃止を表明したとき等、支払を停止したと認められる事実が発生したとき。
4.甲または甲の保証人の預金その他の乙に対する債権について仮差押、保全差押または差押の命令、通知が発送されたとき。
なお、保証人の預金その他の乙に対する債権の差押等については、乙の承認する担保を差し入れる等の旨を甲が遅滞なく乙に書面にて通知したことにより、乙が従来通り期限の利益を認める場合には、乙は書面にてその旨を甲に通知するものとします。
ただし、期限の利益を喪失したことに基づき既になされた乙の行為については、その効力を妨げないものとします。
②甲について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、乙からの請求によって、甲は乙に対するいっさいの債務について期限の利益を失い、直ちに債務を弁済するものとします。
1.甲が乙に対する債務の一部でも履行を遅滞したとき。
2.担保の目的物について差押、または競売手続の開始があったとき。
3.甲が乙との取引約定に違反したとき、または第14条に基づく乙への報告もしくは乙へ提出する財務状況を示す書類に重大な虚偽の内容がある等の事由が生じたとき。
4.甲の責めに帰すべき事由によって、乙に甲の所在が不明となったとき。
5.甲が暴力団員等もしくは第15条第1項各号のいずれかに該当し、もしくは同条第2項各号のいずれかに該当する行為をし、または同条第1項の規定に基づく表明・確約に関して虚偽の申告をしたことが判明したとき。
6.甲が振り出した手形の不渡りがあり、かつ、甲が発生記録をした電子記録債権が支払不能となったとき(不渡りおよび支払不能が6か月以内に生じた場合に限る)。
7.保証人が前項または本項の各号の一つにでも該当したとき。
8.前各号に準じるような債権保全を必要とする相当の事由が生じたと客観的に認められるとき。

この銀行取引約定書の条項は期限の利益の喪失の部分です。

期限の利益とは

期限の利益というのは融資の期限までは融資を返済しなくても良いという借り手側の権利です。
契約条件通りに借り手側が毎月の分割返済を行っている限りにおいては、借り手側が期限前に銀行からすべて返済するように求められることはないという権利です。

期限の利益の喪失

しかし一定の事態となれば、借り手側はこの期限の利益を喪失しますよというのがさきほどの銀行取引約定書の条項です。
この条項の中に4.甲または甲の保証人の預金その他の乙に対する債権について仮差押、保全差押または差押の命令、通知が発送されたとき。というのがあります。
ちなみに甲というのは借り手側のことです。
つまり借り手側、つまり債務者とその融資の保証人の口座に差し押さえが入ると期限の利益を喪失しますよということです。
銀行から期限前にただちに融資の全額返済を請求される事態です。
特にこの口座への差し押さえの場合には、自動的に期限の利益を喪失するという強い内容です。

口座に差し押さえが入ったら

口座に差し押さえが入ったら、銀行から間違いなく連絡が入ることと思います。
これに対してはなぜ口座に差し押さえが入ったのか、その経緯を説明するようにしてください。
そして口座の差し押さえが取り下げられる可能性があるのかどうか、また口座の差し押さえが取り下げられるように差し押さえをした相手側と交渉をしてください。
今回のケースでは滞納している税金を納付すれば口座の差し押さえが取り下げられる内容です。

期限の利益の復活もある

さきほども説明しましたように口座への差し押さえは非常事態です。
口座に差し押さえが入れば自動的に期限の利益を喪失し、ただちに銀行に融資の全額返済をしなければならない事態です。
しかし口座に差し押さえが入った経緯を銀行に説明し、短期間のうちに口座の差し押さえが取り下げられる事態であれば、銀行が再び期限の利益を復活することもあります。
今回のケースは都税事務所からの口座への差し押さえでしたが、取引先とのトラブルにより取引先が口座に差し押さえを入れてくることもあります。
いずれにしても口座に差し押さえが入れば、銀行にただちに融資の全額返済をしなければならない事態です。
口座に差し押さえが入った経緯を説明するともに、口座に差し押さえが入った原因を解決して口座への差し押さえを解除されるように動いてください。
そうでないと銀行に融資の全額返済をしなければならなくなります。

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