売上の減少などで資金繰りが苦しい時に返済額を軽減させる返済条件変更(リスケ)。
返済条件変更(リスケ)をしていても別の銀行で融資を受けることはできるのでしょうか?
そのあたりの事業を銀行員が説明します。
返済条件変更(リスケ)は全銀行が行う
そもそも返済条件変更(リスケ)はすべての取引銀行にて対応するのが原則です。
例えば3つの銀行と融資取引がある場合、3つの取引銀行すべてで返済条件変更(リスケ)を行うが原則です。
この取引銀行では返済条件変更(リスケ)を行うが、別の取引銀行では返済条件変更(リスケ)を要請せず従来通りに返済を続けることはできません。
返済条件変更(リスケ)の痛みは取引銀行が平等に受ける
返済条件変更(リスケ)というのは融資をしている銀行にとっては正直なところ痛手です。
なぜ痛手かといいますと返済条件変更(リスケ)の融資は銀行内では管理債権としての扱いとなります。
返済条件変更(リスケ)というのは一般的には融資の回収に大きな懸念が生じる事態ですから、通常の融資債権としての扱いではなく、回収に注意を要する管理債権としての扱いに変更を行います。
そして銀行は融資には一定の貸倒コストを計上することになりますが、管理債権は通常の融資債権に比べて多い貸倒コストを計上する必要があり、銀行の財務上は痛手になるのです。
したがって痛みは取引銀行は平等に受けるというのが返済条件変更(リスケ)時の鉄則なのです。
返済条件変更(リスケ)中は新規融資は困難
今までの説明から返済条件変更(リスケ)はすべての取引銀行が対応します。
そして返済条件変更(リスケ)中は新規の融資は原則として停止されます。
そのため他の取引銀行でも返済条件変更(リスケ)を行っているわけですから、新規の融資はやはり難しいというのが一般的です。
新規の銀行では融資可能なのか
では今までの取引銀行とは別の銀行から新規融資を受けることは可能でしょうか?
この場合はその新規の銀行が他の取引銀行で返済条件変更(リスケ)対応をしていることに気づかなければ、新規融資が受けられる可能性はあります。
しかしながら現実には新規の融資を検討する際にはしっかりと細部まで銀行は審査を行うものです。
他の取引銀行との取引状況はその審査においても必ず検証が行われる項目です。
審査を通じて他の取引銀行で返済条件変更(リスケ)を行っていることが分かる可能性が高いですから、現実的には新規の銀行であっても新規融資が受けられる可能性は低いと考えます。
もっとも新規の銀行が他の取引銀行に直接聞くようなことはしません。
しかしながらやはり審査の過程で他の取引銀行で返済条件変更(リスケ)を行っていることはわかるものですから、新規の銀行であっても融資が受けられる可能性は低いのです。