銀行から手形割引枠を廃止を検討していると伝えられた中小企業の事例です。
銀行が手形割引ができないと言ってくる背景や理由について説明をします。
目次
手形割引ができないと言われた質問
中小企業を経営しています。
前期の決算が最悪でした。
銀行にその決算書を提出した後にその銀行から手形割引枠を廃止することを検討していると伝えられました。
うちの会社は手形取引を多く、手形割引ができないとなると運転資金が足らなくなり資金繰りがひっ迫してしまいます。
なぜ突然、銀行から手形割引ができないと言われたのでしょうか。
決算が悪いからでしょうか。
手形割引は融資と同じ
手形割引というと販売先から受け取った手形を銀行に買い取ってもらうということですが、実は手形割引は融資そのものです。
不渡の場合は買戻し義務がある
なぜ手形割引が融資かといいますと、確かに銀行が手形を買い取るのですが、もし手形が不渡となった場合には銀行は買い取った手形を買い戻すように請求をすることができます。
買い戻せないとなると銀行が手形を買い取った資金を回収することができません。
そのため手形割引は銀行では融資そのものとしての位置づけなのです。
手形割引は融資そのもの
手形割引の審査
手形割引における銀行での審査は主に2つの面から行われます。
手形割引を依頼する中小企業の業績
まずは手形割引を依頼する中小企業の業績です。
業績が悪いとなるとさきほども手形の買戻しができない可能性が出てきます。
そのため手形割引の審査ではまず手形割引を依頼する中小企業等の業績面の審査がまず行われます。
手形振出人の審査
手形が不渡になるかどうかは手形を決済する必要がある手形振出人の信用力にかかっています。
手形振出人の業績が悪いなど不渡となる危険性が高いとその手形は割引ができないということになります。
このように手形割引の審査は手形割引を依頼する事業者の業績面の審査と手形振出人の審査の2つの面で行われます。
手形割引の審査は割引依頼人と手形振出人の信用力をそれぞれ検証する
銀行が手形割引ができないとする理由
それでは今回の質問のケースを含めて銀行が手形割引ができないとする理由について説明をします。
事業者の業績が悪い
まずは事業者の業績が悪いために手形割引ができないとなってしまうことです。
万が一の手形の買戻し能力がないと銀行が判断した場合には手形割引ができないと判断することがあります。
手形振出人の信用面が悪い
手形割引を依頼する事業者の業績が悪くない場合でも、手形振出人の信用が悪い場合には手形割引ができないと判断することもあります。
この場合にはその特定の手形だけが手形割引ができないとなるだけであり、他の銘柄の手形は割引ができることが多いです。
手形割引を使っていない
手形割引ができる場合においても、しばらくその銀行で手形割引を利用していないと手形割引枠を閉鎖することがあります。
これはあくまでも銀行の管理上の問題です。
今回の手形割引ができない場合に対応
今回のケースはおそらくこの中小企業の業績が悪いことが原因だと思われます。
しかし手形割引が資金繰りの維持に欠かせないとなると手形割引ができないという銀行の方針にはいわかりましたとは言えないでしょう。
したがって銀行には手形割引が資金繰り上必要不可欠であることを明確に伝えるとともに、今後の業績や資金繰りの見通しについて銀行に伝えてください。
手形割引ができないとなると資金繰りが破綻し倒産してしまうという場合には、さすがに銀行も簡単には手形割引ができないとは言えなくなります。
手形割引ができないと銀行に言われた場合の対応方法まとめ
以上、手形割引ができないと言われた場合の対応方法をまとめますと次のようになります。
まとめ
・今後の業績や資金繰りの見通しについて銀行に説明をする
この2点に尽きます。