自己破産すると破産時に抱えていた融資(借金)についてもう返済する義務はなくなります。
しかしその一方で自己破産するとその後の融資が受けられないという実質的なペナルティもあります。
破産後の融資について説明をします。
目次
破産後の融資に関する質問
約6年前に自己破産して免責もおりました。
銀行の信用保証協会の融資制度を利用してたと思うんですけど、あと何年かしたらお店をしたいと思うんで、その際借入などは難しいでしょうか?
国民金融公庫や信用金庫などの融資も難しいでしょうか?
宜しくお願いします。
自己破産のペナルティ
冒頭でも説明をしましたが自己破産の制度は借金の債務から個人を再生するために設けられた私たち社会の制度です。
実際に多くの個人の方が自己破産制度を利用してそれまで借金の債務から解放されて、新しい生活に向けて再生を成し遂げています。
金融機関にとっては損失
その一方で自己破産していた個人に融資をしていた銀行などの金融機関やカード会社、消費者金融会社にとっては自己破産によりもう融資の回収ができなくなります。
融資の回収ができないということはそれは金融機関にとっては損失です。
自己破産により個人に再生ができる道を開くとともに、その裏返しで金融機関には損失が発生しているのも事実です。
自己破産により個人は借金から解放される一方で金融機関等は損失を被っている
一定期間は融資が受けられない
このようなこともあり自己破産には一定のペナルティがあります。
そのもっとも大きいペナルティというのは破産後は一定期間は事実上融資が受けられないということです。
自己破産の事実は個人信用情報として登録されています。
登録されている機関は個人信用情報を取り扱っている情報機関によって多少異なりますが、もっとも長いところでは10年です。
個人が融資やクレジットカードを作成する際には必ず個人信用情報が調査されます。
そして個人信用情報に自己破産の情報が掲載されていれば、現実にはその個人は融資を受けたりクレジットカードを作ったりすることはできません。
したがって自己破産後は10年間は新規融資を受けたりクレジットカードを作ったりすることはできません。
自己破産後10年間は新規融資を受けたりクレジットカードを作ったりすることはできない
破産後の融資について
ただし破産後、永久に新規融資を受けたりクレジットカードを作ったりすることができないわけではありません。
ポイントは自己破産の情報は最長で10年間登録されているという点です。
逆に言えば破産後10年を経過すれば自己破産情報が抹消されるということです。
自己破産情報が抹消されるということは金融機関やカード会社には自己破産の事実がわからないということです。
したがって破産後10年が経過すれば新規融資を受けたりクレジットカードを作れる可能性が出てきます。
破産後10年が経過すれば破産情報が抹消されるため融資を受けたりクレジットカードを作ったりできる可能性が出て来る
破産後に永久に融資等が受けられないことも
ただし自己破産によって損失を受けた金融機関等では内部情報として過去に損失を受けた顧客リストの類の情報を保存しています。
これらの顧客リストの掲載されている個人がたとえ破産後10年が経過したからといって、過去の損失を受けた金融機関等で再び融資等を受けることは現実にはできません。
「過去の借金を棒引きしておいて、また融資などするわけがない」というのが金融機関の本音です。
したがって破産後に新規融資を受けたりクレジットカードを作る場合には、別の金融機関等に申し込みを行うことが現実です。
自己破産で損失を受けた金融機関では永久的に融資を受けたりクレジットカードを作ったりすることは困難
事業資金の場合
今回の質問のケースは個人事業主として破産後に融資が受けられるかどうかという内容です。
個人事業主が銀行等から融資を受ける場合には公的機関である信用保証協会の保証制度を利用した融資であることが大半です。
信用保証協会においても破産により損失を被った顧客リストは保存されています。
そのため個人事業主であっても破産後は信用保証協会の保証制度を再び利用することは現実には困難であり、そのため事実上個人事業主は破産後は事業資金の融資が受けられないという現実があります。
破産後の融資についてのまとめ
以上、破産後の融資についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・したがって破産後10年は新規融資を受けたりクレジットカードを作ったりすることは困難
・破産後10年が経過すれば破産情報が抹消されるため、新規融資を受けたりクレジットカードを作ったりできる可能性がある
・破産により損失を受けた金融機関等は破産後10年が経過しても現実には利用は困難