銀行に設備資金の融資相談に行ったら運転資金での融資ではどうかと言われたという相談を時々受けます。
銀行が設備資金ではなく運転資金で貸したがる理由を説明します。
目次
運転資金で貸したがるに関する質問
小さな中小企業を経営しています。
設備投資をすることになり銀行に設備資金の融資相談に行ってきました。
こちらとしては設備資金であろうと運転資金であろうと融資が受けられれば良いのでどちらでも良いのですが、なぜ銀行は設備資金ではなく運転資金で貸したがるのでしょうか。
銀行からは運転資金の方が早く融資が可能と言われているのですが、設備投資はもう少し後の計画ですのでこちらとしてはそれほど早く融資を必要とはしていません。
設備資金より運転資金の方が手続きが簡単
銀行が設備資金ではなく運転資金で貸したがる一番の理由は銀行内の融資手続きが運転資金方が簡単だからです。
運転資金の融資手続き
運転資金の融資においては決算書と直近の試算表、そしてケースによっては資金繰り表の3つの資料があれば一般的には銀行内の融資審査手続きを進めることができます。
もちろん業績次第によってはその他の資料が必要となることもあるのですが、基本はこれら3つの資料でもって融資審査手続きを進めることができます。
そして融資審査が決定となればすぐに運転資金の融資は受けられます。
設備資金の融資手続き
一方で設備資金の融資手続きがこちらは決算書と直近の試算表の他に設備投資の見積書、設備投資後の収益返済計画表など運転資金に比べると多い資料が必要となります。
さらに銀行内では設備投資の妥当性や効果などを検証する必要があり、運転資金の融資に比べると審査手順が多くなります。
そして融資審査が決定となってもその融資実行時期は設備投資を実行する時と同時になります。
設備投資を実際に行う前に設備資金の融資を実行するということはありません。
このように運転資金の場合に比べると設備資金の融資は手数が多くかかるという特徴があります。
設備資金の融資の方が運転資金の融資に比べて銀行内の手数が多くかかる
早く融資をしたいという銀行の事情
このように銀行内の手数においては設備資金よりも運転資金の方が簡単なため、これが運転資金で銀行が貸したがる1つの大きな理由です。
そしてもう1つ銀行が運転資金で貸したがる理由としては早く融資を実行したいという銀行の営業上の思いからでしょう。
銀行の支店などの現場では高い融資目標が課せられています。
そのため融資ができるのであれば一日でも早く融資をしたいという気持ちを銀行の現場では持っています。
設備資金の融資であると融資実行時期は設備投資の時期に合わせてということになります。
設備投資が少し後ということであれば、すぐに融資をすることができません。
これに対して運転資金の融資の場合にはすぐに融資をすることができます。
これが運転資金で貸したがるもう1つの大きな理由です。
運転資金はすぐに融資実行ができるため融資実績がほしい銀行は運転資金で貸したがる
銀行が運転資金で貸したがる理由のまとめ
以上、銀行が設備資金ではなく運転資金で貸したがる理由をまとめますと次のようになります。
まとめ
・運転資金に対して設備資金は銀行内の審査手順が煩雑
・さらに運転資金は審査が決定となればすぐに融資実行が可能
・設備資金は審査が決定となっても融資実行時期は設備投資の時期と同一