赤字決算になると、銀行の融資審査は厳しくなるのが一般的です。
しかし、赤字決算の企業であっても、銀行が融資を検討する場合があります。
その際、銀行が確認する項目の一つが、経営者に支払われている役員報酬です。
特に、会社が赤字であるにもかかわらず、経営者が高額な役員報酬を受け取っている場合、銀行はその状況をどのように評価するのでしょうか。
この記事では、赤字決算と役員報酬の関係について、銀行融資の審査で確認されるポイントを解説します。
赤字企業への融資で銀行が確認する基本的なポイントについては、赤字でも銀行融資を受けるには?銀行員が見る5つのポイントと面談対策で詳しく解説しています。
赤字決算に対して銀行が慎重になる理由
銀行融資の審査では、融資した資金が約束どおり返済されるかどうかが重要です。
赤字決算が続いている企業では、事業活動によって十分な利益を確保できていない可能性があるため、銀行は返済能力を慎重に確認します。
ただし、会計上の赤字が直ちに返済不能を意味するわけではありません。
銀行は、赤字の原因、減価償却費などの非資金費用、資金繰り、既存借入金の返済状況などを確認し、実際の返済可能性を検討します。
そして、赤字企業の融資審査では、経営者自身が業績改善に向けてどのような取り組みを行っているかも重要な判断材料になります。
赤字決算でも高額な役員報酬を受け取っている場合
中小企業では、経営者が会社の役員報酬を決定している場合が少なくありません。
そのため、会社が赤字であるにもかかわらず、経営者が高額な役員報酬を受け取っている場合には、銀行がその理由を確認することがあります。
例えば、次のような会社を考えてみましょう。
年間の最終損益は500万円の赤字である一方、社長の年間役員報酬が3,000万円となっているケースです。
これは説明のための仮定の例ですが、このような場合、銀行は役員報酬の水準が会社の収益力に見合っているかどうかを確認することがあります。
役員報酬を一定程度減額することで、会社の利益や資金繰りが改善する余地があるかもしれないからです。
ただし、役員報酬3,000万円をそのまま会社の利益に加算して、実質的に黒字であると判断することは適切ではありません。
経営者にも生活費や税負担などがあり、役員報酬の全額を減額できるとは限りません。
銀行は、会社の収益力や経営者の事情を踏まえて、現実的にどの程度の改善が可能なのかを確認します。
銀行は役員報酬の金額だけで判断するわけではない
役員報酬が高額だからといって、それだけで銀行融資の審査に不利になるとは限りません。
会社の規模や収益力、経営者の役割などによって、適切な役員報酬の水準は異なります。
銀行が注目するのは、役員報酬の金額そのものだけではなく、会社の業績や資金繰りとのバランスです。
例えば、赤字が一時的なもので、今後の業績回復が具体的に見込める場合と、赤字が何年も続いている場合とでは、評価が異なります。
また、会社の資金繰りが厳しくなっているにもかかわらず、役員報酬について何も見直しを検討していない場合には、銀行が経営改善への姿勢を確認することもあります。
社長個人の資金は会社の返済能力に含まれるのか
中小企業の融資審査では、経営者個人の資産状況が参考情報となる場合があります。
しかし、会社の借入金は原則として会社自身の事業活動や資金繰りから返済することが基本です。
社長個人に預金があるからといって、その資金を当然に会社の返済原資として見込めるわけではありません。
経営者が会社へ資金を拠出する意思や能力があるかどうかも含め、具体的な状況を確認する必要があります。
したがって、銀行融資の審査では、まず会社単独での返済可能性を確認することが重要です。
赤字企業に求められる経営改善への取り組み
銀行が赤字企業への融資を検討する際には、経営者が赤字からの回復に向けて具体的な行動を取っているかどうかも確認します。
例えば、売上回復のための営業活動、採算の悪い取引の見直し、経費削減、資金繰り管理の強化などです。
そして、役員報酬が会社の業績に対して過大と考えられる場合には、報酬水準の見直しも経営改善策の一つとなります。
ただし、役員報酬を減額すれば必ず銀行融資を受けられるというものではありません。
役員報酬の見直しによる改善効果だけでなく、本業の収益力や今後の資金繰り、返済可能性を総合的に確認する必要があります。
銀行に説明する際に準備しておきたい資料
赤字決算の企業が銀行へ融資を相談する際には、経営改善への取り組みを具体的な数字で説明することが大切です。
特に、次のような資料が役立ちます。
- 直近の決算書と試算表
- 今後の売上・利益の見通し
- 資金繰り表
- 経費削減などの経営改善策
- 役員報酬を見直す場合の改善効果を示した資料
銀行が知りたいのは、経営者が改善に取り組む意思を持っているかどうかだけではありません。
その取り組みによって、会社の利益や資金繰りがどの程度改善し、借入金の返済を続けられる見通しが立つのかという点です。
まとめ|赤字決算では役員報酬と経営改善への姿勢も確認される
赤字決算だからという理由だけで、銀行融資を受けられなくなるわけではありません。
銀行は赤字の原因や返済可能性を確認するとともに、経営者が業績改善に向けてどのような取り組みを行っているかを重視します。
赤字決算にもかかわらず役員報酬が高額な場合には、その水準が会社の業績や資金繰りに見合っているかどうかも確認されることがあります。
ただし、役員報酬の減額は経営改善策の一つにすぎません。
重要なのは、本業の収益力を改善し、将来の資金繰りと返済可能性について、具体的な数字や資料で説明できるようにすることです。