銀行では税金の納税資金も融資対象としています。
しかしどのような税金でも融資対象になるわけではありません。
融資対象にならない税金に消費税があります。
消費税の納付分が融資対象にはならない理由を説明します。
法人税は融資対象
銀行が行う税金の納税資金融資においてその対象は法人税といっても過言ではありません。
法人税とは決算申告に伴いその所得に対して納付義務が発生するものです。
つまり会社の利益に対して税金が発生するということです。
納税は一時的に支出が増加する
一般的に法人税の納付は決算申告時と中間納付時の年2回にわけて行います。
言い方を変えると法人税の納付は半年分の利益に対する税金は一度に支払うということで事業者にとっては一時的に支出が増加します。
法人税は誰かから預かった資金を納付するわけではなく、事業者自身の資金から納付を行います。
そのため一時的にせよ資金繰りを圧迫することになりますから、資金繰りの安定の観点から銀行は法人税の納付は融資対象としています。
法人税は事業者自身の資金が納付を行う
消費税はそもそも預り金
法人税は事業者自身の資金から納付するのに対して、消費税というのはそもそも販売先から預かった消費税を納付する性質のものです。
事業者自身の資金から消費税を納付するのではなく、販売先から預かった消費税を納付するのです。
販売先からの預かった消費税を納付できないということは、事業者が販売先から預かった資金を運転資金などに流用したということです。
運転資金などの消費税預かり分を流用したから、消費税の納税資金に窮することになったため、それを銀行が融資するというのは道理に合いません。
このようなことから銀行が消費税の納税資金を融資対象とはしていません。
消費税は販売先から預かった資金であり、消費税納付分は手元にあるはずというのが銀行の理屈
運転資金として総合的に融資
このように消費税は銀行の融資対象ではありません。
しかし現実には販売先から預かった消費税分を別に取っておくということはなかなか難しいところがあります。
売上代金として回収した現金に色の区別はありません。
純粋に売上代金としての現金と消費税の現金として色が異なっているわけではありません。
そのため事業者の中には消費税を運転資金などに使ってしまい、いざ消費税の納付時に資金が足りないということは現実にはよくあることです。
このような場合には銀行は消費税納付分を直接に融資対象とすることはできませんが、全体の運転資金として別途融資対応することは少なくありません。
したがって消費税の納付を含めて資金繰り状況を銀行に説明することにより、運転資金として実質的に消費税の納付資金の融資が受けられることはあります。
消費税納付資金は融資対象ではないが、全体的な運転資金として融資が受けられることはある
消費税納付分が融資対象にならないことについてのまとめ
以上、消費税の納付資金が銀行の融資対象とはならないことについてまとめますと次のようになります。
まとめ
・したがってその販売先から一時的に預かった資金で消費税は納付できるというのが銀行の考え方
・消費税の納付資金が不足するということは販売先から一時的に預かった資金を運転資金などの流用したということ
・銀行としては流用の補填となってしまう消費税の納付資金を融資対象にすることはできない
・ただし消費税の納付資金としてではなく全体の運転資金として融資が受けられる可能性はある