中小企業の場合、法人税や消費税、源泉税、社会保険料などを滞納しているケースに時々遭遇します。
管理者が勤務している銀行でも融資先にもこれらを滞納しているところは、現にあります。
税金滞納などの状況に対して銀行がどのように考えているかを説明します。
税金滞納でも融資が受けられるケース
税金を滞納しているからといって、銀行融資が受けられないかというと、決してそんなことはありません。
現に私のところでも税金滞納を承知の上で、融資をしたケースは結構あります。
では、どのような場合、銀行融資が受けられるのかを説明します。
銀行融資といってもその銀行のプロパー融資が受けられません。
ではどういった融資かというと、それは信用保証協会保証付の融資です。
信用保証協会は公的な機関ですから、われわれ民間銀行とは異なり、税金滞納があるからといって、一律に断るようなことはありません。
ただ税金滞納の有無にかかわらず応じるということではないですが。
一年以内に完納出来るか
税金の滞納が何年も累積している場合はさずかに融資を受けることは無理になります。
融資が受けられるケースとしては、比較的滞納額が少額で、かつ原則向こう1年以内に滞納している税金が完納できると認められる場合になります。
税金などを滞納している場合は、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、税務署や社会保険事務所に申請して分割納付をすることが認められています。
月々いくらずつ納付するという約束を書面でするわけです。
信用保証協会保証付融資が受けられる場合としては、この分割納付しておおよそ1年以内に滞納分が完納可能な場合です。
融資を受けるために実現不可能な分割計画は認められません。
その会社の財務内容、資金繰り状況から分割納付に実現可能性が認められる場合、融資を受けられる可能性が高くなります。
もし社長さん個人で一時的にせよこの滞納を肩代わりする余力があれば、それを条件に融資を申し込むことも可能です。
審査が通れば、社長さんが肩代わりして税金等を完納し、納税証明書を提出すれば、信用保証協会保証付融資が受けられるケースが多くなります。
税金を滞納しているからといって、銀行融資が受けられないと諦める必要はありません。
現に今日滞納している企業へ融資決定が私のところでありました。
融資の実例
実例を紹介します。
その会社は法人税、消費税、源泉税、それと社会保険料とすべてにわたって滞納している状態でした。
それもざっと3年分。
私のところにその社長さんが相談に来られて、とりあえず税務署や社会保険事務所に出向いて、分割納付の申請をしてきて下さいと私がお願いしました。
後日その社長が来られて、分割納付の計画書を持参されました。
その計画書には毎月300万円つづ納付して、およそ半年間で完納するという計画書でした。
この会社の規模や利益状況、資金繰り状況から月々300万円の納付はとても無理な計画でした。
架空の計画書で実現可能性がないのです。
私は社長に対して、こんな無理な計画書ではだめです。
月々の納付が本当に可能な範囲で税務署などに申請して下さいと再度お願いしました。
そしてその後その社長さんがまた来られて、今度は月々50万円ずつ分割納付し、向こう3年間で完納するという計画書でした。
これを受けて私は信用保証協会の課長さんのところに出向き、保証可能かどうかの事前相談をしてきました。
保証協会の見解としては、月々50万円の分割納付がこの会社の規模や利益状況から見て可能だと思う。
ただし完納まで3年かかるというのはちょっと長すぎる。
したがって今すぐには保証をすることはできない。
しばらく分割納付の実績を見たいという結論でした。
私はそのことを社長にお伝えしました。
そしてそれから半年が経過した先日、その社長が来られて、ここ半年間の納付済み領収書を持参されました。
私はそれを受けて再度保証協会側と事前相談を試みました。
そしたら今度は完納まで1年以上というのは長すぎるが、きちんと分割納付していることが実績として認められることや、会社の業績が堅調に推移していること、社長自身の誠実な人柄が評価されて、見事、本日保証決定となり、私のところからの銀行融資が可能になりました。
税金を滞納していると、その後の資金調達に大きな障害となります。
税金を滞納しないことが大前提ですが、滞納しているからといって、はじめから無理だと諦める必要はありません。
分割納付して、今後はきちんと滞納しないように納付をしていくという誠実な姿勢を見せてもらえれば、銀行は相談に乗ってくれますよ。
もし滞納している状態にあるならば、一度銀行やあるいは直接信用保証協会へ相談に行かれたらいかでしょうか。