支払条件が短期化したための融資相談は実際はそれほど多くはありません。
ただ支払条件が短期化すればそれは資金繰りが悪化し運転資金の融資が必要となることには間違いありません。
支払条件が短期化したことによる運転資金融資への銀行の考え方を説明します。
支払条件が短期化すると資金繰りが悪化する理由
まず支払条件が短期化した場合に資金繰りが悪化する理由を整理しておきます。
わかりやすく説明するために極端な例で説明をします。
今までは月末締めの翌月末払いが支払条件だったとします。
つまり今月中に仕入をしたものの代金は翌月末に支払えばよかったわけです。
支払の代金は1ヶ月程度、後に支払えばよかったわけです。
それが仕入と同時に支払をしなければならなくなったとします。
こうなると1ヶ月程度後に支払をすればよかったものが、すぐに支払いをしないと仕入が出来なくなります。
今までは1ヶ月程度の資金繰りの余裕があったものが完全になくなるわけですから資金繰りが悪化するわけです。
これは極端な例ですが、いずれにしても支払条件が短期化すると仕入代金の資金を用意しなければならない時期が早くなるわけですから資金繰りを圧迫するわけです。
支払条件短期化にともなう銀行融資の審査は厳しい
このように支払条件が短期化すると今まで以上に早く仕入資金の支払いなどが発生し、資金繰りが悪化します。
問題はなぜ早く仕入代金を支払うこととなったのかの理由です。
この理由ですが多くの場合は支払条件の短期化は融資先の信用力が低下したなど、マイナス面によるところが多いです。
つまり仕入先の相手方が「この先は危ない」などと感じて早期に代金を回収しようと考えているということです。
銀行融資の審査は非常に厳しいものとなります。
なお支払条件短期化に伴う所要運転資金は次の算式により計算することが出来ます。
所要運転資金=平均月商×仕入債務回転期間減少月数
銀行融資の審査目線
支払条件の短期化に伴う銀行融資の審査目線はつぎのようなものになります。
・信用力の低下により支払条件が短期化しているのではないか
・仕入先に早く仕入資金を払うことにより、実質的に仕入先を金融支援しているのではないか
銀行融資の審査においては過去の決算書や直近の試算表での仕入債務回転期間の推移を確認し、融資先からの「仕入条件が短くなった」などの申し出内容の裏づけが出来るかどうかを確認します。
過去の仕入債務回転期間の推移などで申し出内容の裏づけ確認が出来ない場合には、別の原因による資金需要が疑われるため、真の資金使途を見極めて融資是非の審査を行うことになります。