建設業では、工事を受注しても、工事代金が入金される前に材料費や外注費、人件費などの支払いが発生することがあります。
そのため、工事の受注が増えて売上が伸びているにもかかわらず、手元の資金が不足することは決して珍しくありません。
このような建設業の資金繰りを支えるのが、銀行からの運転資金融資です。
ただし、建設業の運転資金には、卸売業や製造業などとは異なる特徴があります。
特に、個別の工事に必要な資金を借りる場合には、銀行は工事の内容、工事原価、工事代金の入金時期、融資の返済原資などを詳しく確認します。
結論として、建設業が銀行から運転資金を借りる際には、「どの工事で、いつ、いくら資金が不足し、その資金をどの入金で返済するのか」を明確にすることが重要です。
この記事では、長年にわたり法人融資の審査や稟議に携わってきた銀行員の立場から、建設業の運転資金が必要になる理由、必要額の計算方法、銀行融資の借り方、審査で重視されるポイントを具体的に説明します。
建設業に運転資金が必要な理由
建設業に運転資金が必要となる大きな理由は、工事代金の入金時期と工事に必要な費用の支払時期にズレがあるためです。
工事代金の入金より先に支払いが発生する
建設工事では、工事の契約条件によって代金の支払方法が異なります。
例えば、次のような支払条件があります。
- 工事完成後に代金が一括で支払われる
- 着工時、中間時、完成時などに分けて支払われる
- 工事の進捗状況に応じて出来高払いが行われる
- 工事完成後、一定期間を経過してから入金される
このように工事代金の入金方法はさまざまですが、いずれの場合も、実際の入金より先に費用の支払いが発生することがあります。
主な支払いは次のとおりです。
- 工事に使用する材料の仕入代金
- 下請業者への外注費
- 従業員や職人への給与
- 現場で使用する機械や資材の賃借料
- 工事現場への運搬費やその他の経費
工事代金が入金されるまで、これらの支払いを会社が立て替える必要があります。
この立替資金が、建設業で必要となる運転資金の代表的なものです。
建設業の運転資金の仕組み
次の図は、建設業で運転資金が必要となる仕組みを示したものです。

例えば、工事代金が1,000万円の建設工事を受注したとします。
この工事に必要な材料費や外注費、人件費などの合計が800万円で、工事完成後に代金1,000万円が入金される契約だとします。
工事代金が入金されるまでに800万円を支払わなければならない場合、会社にはその支払いに対応する資金が必要です。
手元資金で対応できなければ、銀行から運転資金を借りることが考えられます。
このような融資は、一般に工事立替資金と呼ばれます。
建設業の運転資金には2つの種類がある
建設業の運転資金を考える際には、資金需要を大きく2つに分けることが重要です。
1.個別工事のための工事立替資金
1つ目は、特定の工事を受注したことによって必要になる運転資金です。
例えば、受注した工事の材料費や外注費を先に支払い、工事代金の入金後に借入金を返済するような資金です。
この場合、銀行は対象となる工事を特定し、その工事に必要な資金を融資する方法を検討します。
工事代金の回収時期が明確であれば、その回収予定日に合わせた短期融資が検討しやすくなります。
2.会社全体で継続的に必要となる運転資金
2つ目は、複数の工事を継続的に受注している会社で、日常的に必要となる運転資金です。
建設会社では、ある工事が完成する前に次の工事が始まることがあります。
そのため、1つの工事代金が入金されても、別の工事の材料費や外注費の支払いが発生します。
このような会社では、個別工事の立替資金だけでなく、会社全体として一定の運転資金を確保する必要があります。
銀行では、会社の業績や資金繰り、借入状況などを確認したうえで、継続的な運転資金に対応する融資を検討する場合があります。
| 項目 | 工事立替資金 | 継続的な運転資金 |
|---|---|---|
| 資金が必要な理由 | 特定工事の支払いが先行する | 複数工事の支払いが継続する |
| 銀行の確認事項 | 工事内容・原価・入金予定 | 会社全体の資金繰り・返済能力 |
| 主な融資方法 | 工事代金回収時に返済する短期融資など | 証書貸付や継続的な短期融資など |
| 主な返済原資 | 対象工事の代金回収金 | 事業全体から生じる返済可能資金 |
※実際の融資方法や返済条件は、銀行の審査や取引状況によって異なります。
建設業の運転資金融資が、必ず工事ごとになるわけではありません。資金不足の原因が個別工事にあるのか、会社全体の継続的な資金需要にあるのかを区別することが大切です。
建設業の運転資金はいくら必要?計算方法を具体例で解説
建設業の運転資金について銀行に相談する場合、最初に整理したいのは必要金額です。
ここで重要なのは、工事の受注金額がそのまま運転資金の必要額になるわけではないということです。
工事原価と資金不足額は異なる
例えば、工事代金が2,000万円、工事原価が1,600万円の工事を受注したとします。
工事原価が1,600万円だからといって、必ず1,600万円の融資が必要になるわけではありません。
工事代金の一部を着工時に受け取れる場合や、材料費の支払いが後払いになる場合には、実際の資金不足額は小さくなることがあります。
また、会社が利用できる手元資金があれば、その分も考慮する必要があります。
工事立替資金の計算例
次のような工事を例に考えてみます。
工事立替資金の計算例
- 工事請負金額:2,000万円
- 工事原価の総額:1,600万円
- 工事代金の着工時入金:500万円
- 工事完成時の残代金入金:1,500万円
- 完成時までに支払う工事原価:1,200万円
- 今回の工事に充当できる自己資金:200万円
完成時までの資金不足額
1,200万円-500万円-200万円=500万円
この例では、工事完成時までに500万円の資金不足が発生する計算になります。
したがって、銀行に相談する運転資金の必要額は、工事原価1,600万円ではなく、資金不足額500万円を基礎に考えることになります。
ただし、これは単純化した例です。
実際には、工事の進捗に応じて入金と支払いが複数回発生するため、月別または週別の資金繰り表で確認する必要があります。
最も資金が不足する時点を把握する
建設業の運転資金を計算する際に重要なのは、工事期間中に最も資金が不足する時点です。
例えば、次のような資金繰りを想定します。
| 時期 | 入金 | 支払い | 累計収支 |
|---|---|---|---|
| 1か月目 | 500万円 | 400万円 | +100万円 |
| 2か月目 | 0円 | 500万円 | -400万円 |
| 3か月目 | 0円 | 300万円 | -700万円 |
| 4か月目 | 1,500万円 | 400万円 | +400万円 |
※累計収支は当該工事だけの入出金を累計したものであり、会社全体の預金残高ではありません。
この例では、3か月目に累計収支がマイナス700万円となり、工事期間中の資金不足が最大になります。
ここに充当できる自己資金が200万円あれば、外部から調達する必要額は500万円となります。
つまり、工事立替資金は工事原価の総額ではなく、工事期間中の入出金を踏まえた最大資金不足額を基礎に計算することが重要です。
なお、会社全体の資金繰りでは、他の工事の入出金や既存借入金の返済なども含めて確認する必要があります。
建設業の運転資金を銀行が工事ごとに融資する理由
建設業の運転資金について、銀行が個別工事ごとの融資を検討することには理由があります。
主な理由は、返済原資の確認と資金使途の管理です。
理由1.工事代金の回収金を返済原資として確認できる
工事立替資金は、工事代金が入金されるまでの一時的な資金不足に対応する融資です。
したがって、銀行にとって重要なのは、工事代金が予定どおり回収されるかどうかです。
例えば、工事代金1,000万円が3か月後に入金される契約で、工事立替資金として500万円を融資する場合を考えます。
銀行は、3か月後の工事代金回収によって融資を返済できるかを確認します。
そのため、工事代金の入金時期や発注者の支払能力が重要な審査項目になります。
理由2.融資金の使い道を確認できる
銀行は、融資金が申し込み時に説明された目的に使用されるかを確認します。
工事立替資金として融資した資金が、別の事業や設備投資などに使用されると、予定していた返済計画に影響する可能性があります。
そのため、銀行は工事請負契約書や工事原価の内訳、支払予定などを確認し、資金使途を把握しようとします。
理由3.工事ごとの収支を把握できる
建設業では、受注金額が大きくても、工事原価が膨らむと十分な利益が残らないことがあります。
銀行は、工事代金の回収だけでなく、工事が予定どおりの原価で完成するかにも関心を持ちます。
工事ごとの収支を確認することで、融資した資金の返済見通しを判断しやすくなります。
建設業の運転資金融資を申し込む方法
ここからは、建設業が銀行に工事立替資金を申し込む際の具体的な方法を説明します。
1.工事請負契約書や注文書を提出する
銀行は、まず対象となる工事が実際に存在するかを確認します。
そのため、工事請負契約書や注文書、注文請書など、工事の受注を確認できる資料を準備します。
契約書がまだ締結されていない場合には、工事の概要や受注見込みを説明して事前相談することは可能です。
ただし、正式な融資審査では、受注内容を確認できる資料が求められる場合があります。
2.工事原価の内訳を説明する
銀行は、工事を施工するためにどれくらいの費用が必要なのかを確認します。
例えば、次のような内訳です。
- 材料費:300万円
- 外注費:500万円
- 労務費:200万円
- その他工事経費:100万円
この場合、工事原価の合計は1,100万円です。
ただし、工事原価の合計額がそのまま融資希望額になるわけではありません。
工事代金の入金予定や支払時期、自己資金を踏まえて、必要な融資額を説明することが重要です。
3.工事代金の入金時期を説明する
銀行が工事立替資金を審査する際に、特に重視するのが工事代金の入金時期です。
例えば、次のような内容を説明します。
- 着工予定日
- 工事完成予定日
- 工事代金の請求予定日
- 工事代金の入金予定日
- 前受金や中間金の有無
工事代金がいつ入金されるかによって、融資の返済期日を検討しやすくなります。
4.材料費や外注費の支払予定を説明する
工事代金の入金予定だけでは、必要な運転資金の金額はわかりません。
材料費や外注費、人件費などがいつ発生し、いつ支払われるのかを確認する必要があります。
例えば、外注費の支払いが工事代金の入金後であれば、その部分については事前の立替資金が不要になる場合があります。
反対に、工事代金の入金より先に外注費を支払う必要があれば、運転資金が必要になります。
5.資金繰り表を作成する
工事立替資金の融資申し込みでは、工事代金の入金予定と工事費用の支払予定を整理した資金繰り表が有効です。
特に、工事期間中に最も資金が不足する時期と金額を明確にすることが重要です。
また、複数の工事を施工している場合には、個別工事の資金繰りだけでなく、会社全体の資金繰りも確認する必要があります。
工事代金は融資を受ける銀行の口座に入金する必要がある?
建設業の運転資金融資では、銀行から工事代金の入金口座について確認されることがあります。
これは、工事立替資金の返済原資が工事代金の回収金となる場合が多いためです。
銀行が工事代金の入金口座を重視する理由
例えば、銀行が工事立替資金として500万円を融資し、工事完成後に1,000万円の工事代金が入金される予定だとします。
銀行としては、その工事代金が予定どおり回収され、融資の返済に充てられることを確認したいと考えます。
そのため、銀行が工事代金の入金口座を融資銀行の預金口座に指定するよう求める場合があります。
必ず融資銀行の口座に入金しなければならないわけではない
ただし、すべての建設業向け運転資金融資で、工事代金を融資銀行の口座に入金しなければならないという一律のルールがあるわけではありません。
銀行の融資方針や取引状況、返済方法などによって取り扱いは異なります。
他の銀行の口座に工事代金が入金される場合でも、返済原資を確認できれば融資を検討するケースはあります。
一方で、工事代金の入金口座の指定が融資条件となる場合もあります。
したがって、工事代金の入金口座を変更できない事情がある場合には、融資申し込みの段階で銀行担当者に説明することが重要です。
銀行が工事代金の入金指定を重視する理由
建設業の運転資金融資では、銀行が工事代金の入金口座を重視することがあります。
その理由は、融資の返済原資となる工事代金の入金を確認し、予定どおり返済できるかを管理するためです。
例えば、建設会社A社が1億円の工事を受注し、工事原価として8,000万円を見込んでいるとします。
工事代金は完成後に一括して入金される契約ですが、A社は工事代金を受け取る前に材料費や外注費などを支払わなければなりません。
そこで銀行から5,000万円の運転資金を借り入れ、工事代金の回収時に返済する計画を立てました。
銀行がこの融資を検討する際に重要なのは、工事代金1億円が予定どおり回収され、そこから5,000万円を返済できるかという点です。
ところが、工事代金が別の銀行口座に入金される場合には、融資を行った銀行が入金状況を直接確認しにくくなります。
さらに、その入金資金が他の工事の支払いや別の借入金の返済に使用されると、当初予定していた融資の返済に支障が生じる可能性があります。
このようなリスクを抑えるため、銀行は工事代金の入金口座を自らの銀行に指定するよう求めることがあるのです。
工事代金の入金指定は、銀行にとって返済原資を確認するための重要な融資管理手段です。
工事代金が他行口座に入金される場合は融資を受けられない?
工事代金の入金先が他の銀行口座になっているからといって、必ず融資を受けられないわけではありません。
ただし、特定の工事代金を返済原資とする短期の運転資金融資では、銀行が自行口座への入金指定を融資条件とする場合があります。
その場合、入金口座を変更できないと、融資が難しくなる可能性があります。
一方、会社全体の業績や返済能力を踏まえた運転資金融資などでは、工事代金の入金口座だけで融資可否が決まるとは限りません。
銀行によっても融資方針や管理方法が異なります。
工事代金の入金口座を変更できない場合には、次のような対応を検討しましょう。
- 発注者との契約上、入金口座を変更できるか確認する
- 融資を申し込む銀行に、他行口座への入金となる理由を説明する
- 工事代金の入金予定表や入金確認資料を提出する
- 入金後の返済方法について銀行と事前に協議する
- 必要に応じて、工事代金の入金先となっている銀行にも融資を相談する
なお、他行口座に入金された工事代金を融資返済に充てる方法については、銀行が認める条件や契約内容を確認する必要があります。
また、工事代金の入金口座を融資銀行に指定したとしても、それだけで返済が確実になるわけではありません。
工事の完成、発注者からの代金回収、他の支払予定なども含めて、銀行は返済可能性を判断します。
工事代金の入金指定を求められた場合には、銀行が何を懸念しているのかを理解し、返済原資をどのように確保するかを具体的に説明することが重要です。
建設業の運転資金はどのような方法で借りる?
建設業の運転資金には、資金需要に応じていくつかの融資方法があります。
工事代金の回収時に一括返済する短期融資
個別工事の立替資金では、工事代金の回収予定日に合わせて一括返済する短期融資が検討されることがあります。
例えば、3か月後に工事代金が入金される場合、その入金を返済原資とする短期融資です。
この方法では、工事代金の入金予定が明確であることが重要です。
ただし、工事の遅延や発注者からの入金遅れが発生すると、予定どおり返済できなくなる可能性があります。
毎月返済する証書貸付
会社全体で継続的に必要となる運転資金については、毎月返済する証書貸付が利用されることもあります。
この場合、銀行は会社全体の収益力や資金繰りを確認し、毎月の返済が可能かを審査します。
個別工事の入金だけでなく、事業全体の返済能力が重要になります。
継続的な短期融資や融資枠
複数の工事を継続的に受注している建設会社では、一定の資金需要が繰り返し発生します。
このような場合、銀行が継続的な短期融資や融資枠の設定を検討することもあります。
ただし、融資枠の設定には銀行所定の審査が必要であり、すべての会社が利用できるわけではありません。
建設業の運転資金融資で銀行が重視する5つの審査ポイント
建設業向けの運転資金融資では、銀行は単に工事を受注しているという事実だけで融資を判断するわけではありません。
主に次の5つのポイントを確認します。
1.工事の受注が確実か
銀行は、工事請負契約書や注文書などによって、受注内容を確認します。
受注が確定していない案件では、工事代金の回収見込みも不確実になるため、慎重な審査となる場合があります。
2.発注者から工事代金を回収できるか
工事立替資金の返済原資は、対象工事の代金回収金となることが多いため、銀行は発注者の信用状況にも関心を持ちます。
工事代金が予定どおり入金される見込みがあるかは、重要な審査項目です。
3.工事原価が適切に見積もられているか
工事の採算が悪化すると、工事代金が入金されても十分な資金が残らない可能性があります。
そのため、銀行は工事原価の見積もりや利益率を確認します。
特に、材料費の上昇や外注費の増加が見込まれる場合には、採算への影響を説明することが重要です。
4.工事代金の入金と借入金の返済時期が合っているか
例えば、工事代金の入金が6か月後なのに、借入金の返済期日が3か月後では、返済資金が不足する可能性があります。
銀行は、工事代金の回収予定と融資の返済条件が整合しているかを確認します。
5.会社全体の返済能力に問題がないか
工事立替資金であっても、銀行は会社全体の業績や借入状況を確認します。
対象工事の採算が良好でも、他の工事で大きな損失が発生していたり、既存借入金の返済負担が重かったりすれば、融資審査に影響する可能性があります。
銀行は個別工事の資金繰りと会社全体の返済能力の両方を確認して、運転資金融資の可否を判断します。
他の受注工事の進捗状況も確認される
建設業の運転資金融資では、今回融資を申し込む工事だけでなく、他の受注工事の進捗状況についても銀行から確認されることがあります。
なぜなら、銀行は今回の工事に必要な運転資金が、別の工事の資金不足に使用される可能性を気にするからです。
例えば、A工事の材料費や外注費を支払うために銀行から500万円の運転資金を借りるとします。
ところが、別に施工しているB工事で工期の遅延や原価の増加が発生し、資金不足が生じている場合にはどうでしょうか。
A工事のために借りた500万円の一部が、B工事の支払いに使用される可能性があります。
銀行としては、A工事のために融資した資金が別の工事に使用されると、当初予定していた返済計画に影響することを懸念します。
また、B工事で大きな損失が発生していれば、会社全体の資金繰りや返済能力にも影響します。
そのため、複数の工事を施工している建設会社では、次の内容を整理しておくことが重要です。
- 現在施工している工事の一覧
- 各工事の受注金額と予定工事原価
- 各工事の進捗状況と完成予定日
- 工事代金の入金予定
- 工事原価の増加や工期遅延の有無
- 各工事の資金繰りへの影響
特に、他の工事で工期の遅延や原価の増加が発生している場合には、その原因と今後の対応策を銀行に説明できるようにしておきましょう。
銀行が確認したいのは、今回の工事の採算だけではありません。他の工事も含めて、会社全体の資金繰りが正常に維持できるかどうかです。
建設業の運転資金の借り方に関するメール相談
銀行融資・資金繰りのメール相談
「工事を受注したが、材料費や外注費の支払いが先行して資金が不足する」「工事代金の入金までのつなぎ資金を銀行から借りたい」「銀行に提出する工事別の資金繰り表をどう作ればよいかわからない」といったお悩みはありませんか。
銀行の法人融資・審査実務の経験を踏まえ、建設業の運転資金の考え方や必要額の整理、銀行への説明方法についてメールでご相談いただけます。
※融資の承認や銀行の対応結果を保証するものではありません。※現在はメールによるご相談を受け付けています。
建設業の運転資金で銀行に提出したい資料
建設業の運転資金融資を申し込む際には、次のような資料を準備しておくと、銀行に資金需要を説明しやすくなります。
| 資料 | 銀行が確認する内容 |
|---|---|
| 工事請負契約書・注文書 | 工事内容、受注金額、工期、支払条件 |
| 工事原価の内訳表 | 材料費、外注費、人件費など |
| 工事別資金繰り表 | 入金と支払いの時期、最大資金不足額 |
| 会社全体の資金繰り表 | 他の工事も含めた資金状況 |
| 決算書・試算表 | 会社の業績や財務状況 |
| 借入金一覧表 | 既存借入金の残高と返済負担 |
※実際に必要となる書類は、銀行や融資の種類によって異なります。
建設業の運転資金を借りる際の注意点
工事代金の入金が遅れる可能性を考える
建設工事では、天候や資材調達の遅れ、設計変更などによって工期が延びることがあります。
工事完成が遅れれば、工事代金の入金も遅れる可能性があります。
そのため、工事代金の入金予定日を返済期日とする短期融資では、工期遅延による返済への影響を考慮する必要があります。
工事原価の増加に注意する
工事を受注した時点では十分な利益が見込まれていても、材料費や外注費が増加すると、予定していた利益が減少することがあります。
場合によっては、工事代金が入金されても、借入金の返済に必要な資金が不足する可能性があります。
そのため、工事の進捗に合わせて原価管理を行うことが重要です。
工事代金を別の用途に使用しない
工事立替資金の返済原資として予定している工事代金を、別の支払いに使用してしまうと、借入金の返済ができなくなる可能性があります。
特に、複数の工事を施工している会社では、ある工事の入金を別の工事の支払いに使用することがあります。
会社全体の資金繰りを管理しながら、借入金の返済予定を守れるようにすることが重要です。
受注が増えても資金繰りが楽になるとは限らない
建設業では、受注が増えるほど材料費や外注費などの先行支払いが増えることがあります。
そのため、売上が伸びているにもかかわらず、資金繰りが苦しくなる場合があります。
受注増加は必ずしも手元資金の増加を意味しません。受注の増加に合わせて、必要な運転資金も見直すことが重要です。
建設業の運転資金融資に関するチェックリスト
銀行に運転資金を申し込む前に、次の8項目を確認してください。
建設業の運転資金融資・事前確認8項目
チェック数:0 / 8
建設業の運転資金融資に関するよくある質問
建設業の運転資金は工事ごとに借りる必要がありますか?
必ずしも工事ごとに借りる必要はありません。
個別工事の立替資金であれば、工事ごとの短期融資が検討されることがあります。
一方、複数の工事を継続的に施工する会社では、会社全体の運転資金として融資を受ける場合もあります。
建設業の運転資金は工事原価の全額を借りられますか?
工事原価の全額を必ず借りられるわけではありません。
工事代金の入金予定、材料費や外注費の支払予定、自己資金などを踏まえて、実際に必要となる金額を確認します。
融資金額は銀行の審査によって判断されます。
工事請負契約書がなくても運転資金を相談できますか?
工事請負契約書がまだない場合でも、工事の概要や受注見込みを説明して事前相談することは可能です。
ただし、正式な融資審査では、受注内容を確認できる資料が必要になる場合があります。
工事代金の入金口座が他行でも融資を受けられますか?
融資を受ける銀行以外の口座に工事代金が入金される場合でも、融資を検討するケースはあります。
ただし、銀行が返済原資を確認するために、工事代金の入金口座の指定を求めることもあります。
入金口座を変更できない事情がある場合には、事前に銀行へ説明してください。
建設業で赤字でも運転資金を借りられますか?
赤字だからといって、必ず運転資金融資が受けられないわけではありません。
ただし、銀行は赤字の原因や今後の収益改善、借入金の返済能力を慎重に確認します。
個別工事の採算が良好でも、会社全体の資金繰りに問題がある場合には、融資審査に影響することがあります。
工事代金の入金が遅れたら短期融資はどうなりますか?
工事代金の入金が遅れ、予定どおり返済できない可能性が生じた場合には、早めに銀行へ相談することが重要です。
返済期日の変更などを相談できる場合もありますが、銀行の審査や承認が必要であり、必ず認められるわけではありません。
返済期日まで放置せず、工事の進捗状況や入金予定の変更内容を説明してください。
建設業の運転資金のまとめ
建設業では、工事代金が入金される前に材料費や外注費、人件費などの支払いが発生するため、運転資金が必要になります。
特に、個別工事の立替資金を銀行から借りる場合には、工事内容や資金繰りを明確にすることが重要です。
- 建設業の運転資金は、工事代金の入金と工事費用の支払いの時間差によって発生する
- 建設業の運転資金には、個別工事の立替資金と継続的な運転資金がある
- 工事立替資金は、工事期間中の最大資金不足額を基礎に考える
- 銀行は工事の受注内容、原価、入金予定、返済原資を重視する
- 工事代金の入金口座について銀行が条件を求める場合がある
- 工事代金の入金遅れや原価増加に備えた資金繰り管理が重要
建設業の運転資金融資で重要なのは、工事を受注した事実だけでなく、工事期間中にどれくらい資金が不足し、いつどのように返済できるかを銀行に説明することです。
また、建設業では工事ごとの資金繰りだけでなく、会社全体の資金繰りを継続的に管理することが欠かせません。
受注が増えるほど資金需要が大きくなる場合もあるため、銀行には資金が不足してから相談するのではなく、受注状況と資金繰りの見通しを踏まえて早めに相談することをおすすめします。
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※融資の承認や銀行の対応結果を保証するものではありません。※現在はメールによるご相談を受け付けています。