銀行融資の基本 融資審査マンの見方

運転資金の増加はどのような時に発生しますか?

事業を行うには飲食業などの現金商売のケースを除いては必ず運転資金が必要となります。
運転資金の増減は資金繰りに大きな影響を与えますが運転資金の増加は資金繰りを苦しめる原因となります。
今回は運転資金が増加する場合はどのようなケースなのかを説明します。

運転資金が発生する理由

最初になぜ運転資金が発生するのか、なぜ運転資金が必要となるのかを整理しておきます。
次の図をご覧ください。
運転資金の仕組み
この図は運転資金が必要となる理由を示したものです。
そして運転資金が必要となる理由はとにかく売上代金がすぐに手元に入ってこないことです。

掛売りが運転資金が必要となる大きな理由

売上代金は仕入資金の支払や従業員への給与などの経費の支払いに必要なものです。
飲食業などの現金商売であれば売上の発生と同時に売上代金を現金で回収することができますから、仕入資金の支払や従業員への給与などの経費の支払いには売上代金をそのまま使用することができます。
しかし多くの事業では現金商売ではなく掛売りの形態です。
掛売りとはツケで販売することであり、そのため売上が発生してもその時点では売上代金は回収されずに後日になってようやく売上代金が手元に入ってきます。
売上代金が手元に入ってくる間に発生する仕入資金の支払や従業員への給与などの経費の支払いは売上代金を充てることはできませんから、別途資金が必要となってきます。
この別途必要となる資金こそが運転資金そのものです。

運転資金の考え方

それでは運転資金が増加するケースはどのようなものがあるのかを説明します。
運転資金が増加するケースは1つだけではなく複数あります。
運転資金の増加理由を理解するには運転資金の計算式を見るとよくわかります。

運転資金の計算式

所要運転資金算出式
運転資金の計算式はいくつかありますが、この図で示した運転資金の計算式は運転資金の増加を理解する上で一番適してものです。
運転資金の計算式に示されている各項目を簡単に説明します。

売掛債権回転期間

売掛債権回転期間とは売上が発生してから売上代金が現金で回収されるまでの期間のことです。
売掛債権回転期間の間は売上代金が手元に入ってきませんから運転資金が必要となります。

棚卸資産回転期間

棚卸資産回転期間とは棚卸資産、つまり在庫は月商の何ヶ月分あるかということです。
棚卸資産はそれが販売されて初めて現金化します。
そのため棚卸資産回転期間の間はやはり運転資金が必要となります。

買掛債務回転期間

買掛債務回転期間は売掛債権回転期間の反対側のことで、仕入をしてその代金を支払うまでの期間のことです。
売上と同じく仕入も現金仕入れではなく、ツケで仕入をすることが一般的です。
仕入をしてまだその代金を支払っておらず、後日支払うもののことを買掛債務と呼んでいます。
買掛債務はすぐには代金を支払わなくても良い内容のものですから、必要となる運転資金を少なくすることとなります。
買掛債務回転期間の間は運転資金が不要となります。

立替期間

以上の売掛債権回転期間と棚卸資産回転期間は運転資金が必要となる期間、一方で買掛債務回転期間は運転資金が不要となる期間です。
立替期間とはこの3つの期間を図のとおりに加算と減算をした後の、運転資金が必要となる期間のことです。
そしてこの立替期間に月商をかけたものが必要となる運転資金となります。

運転資金の増加となるケース

それでは運転資金の増加となるケースを説明します。

売掛債権回転期間が長期化する

売掛債権回転期間の長期化するということは売上代金が手元に入ってくるまでの期間が長くなるということです。
当然、長くなった分だけ資金の立替が必要となりますから運転資金の増加の要因となります。

棚卸資産回転期間が長期化する

棚卸資産回転期間が長期化するとは棚卸資産が売れるまでの期間が長くなるということです。
棚卸資産は売れて初めて現金化しますから、売れるまでの期間が長くなればそれだけ資金の立替が増加し運転資金の増加の要因となります。

買掛債務回転期間の短期化

買掛債務回転期間が短期化するということは仕入代金を今までよりも早く支払う必要があるということです。
早く支払う必要があるわけですから、それだけ早く資金を手配する必要が出てきます。
このため買掛債務回転期間の短期化は運転資金の増加をもたらすのです。

月商の増加

月商が増加すればそれだけ仕入高も増加しますし経費も増加することでしょう。
このため月商の増加は運転資金の増加の要因となります。
以上4つのケースが運転資金の増加をもたらす要因となります。

運転資金の増加となるケースのまとめ

以上、運転資金の増加となるケースをまとめますと次のようになります。

まとめ

・売掛債権回転期間の長期化は運転資金の増加をもたらす
・棚卸資産回転期間の長期化は運転資金の増加をもたらす
・買掛債務回転期間の短期化は運転資金の増加をもたらす
・月商の増加は運転資金の増加をもたらす

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