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銀行融資の基本

自己破産後、個人事業主になれるか?

自己破産後に個人事業主として再起を図ることができるのかどうか・・・。
今回は自己破産後に個人事業主として活躍するにあたって、その資金面の問題についてです。
融資担当の銀行員が説明をします。

自己破産をしても個人事業主にはなれる

自己破産をしてももちろん個人事業主として活躍することに制限はありません。
自己破産をしたからといって個人事業主として活躍することが禁止されているようなことは一切ありません。

個人事業主としての資金面が壁

しかし個人事業主として事業を行うにあたっては当初の開業資金や運転資金、設備資金が必要となることが多いはずです。
自己破産をしたということは資金面に窮したことが原因のはずです。
したがって自己破産後に個人事業主として活躍するにあたり、大きな壁となるのが資金面の問題です。

自己破産後に個人事業主として活躍が可能だが資金調達が大きな課題

自己破産後の資金面への影響

それでは自己破産後に個人事業主として活躍するにあたりなぜ資金面が大きな壁となるのか、その理由を説明します。

自己破産と個人信用情報

自己破産を行うと個人信用情報に自己破産の事実が登録されます。
自己破産とは金融事故であり、個人信用情報には事故情報として破産情報が登録されることになっています。

自己破産は事故情報として個人信用情報に登録される

新規の借入等では必ず個人信用情報が調査される

個人事業主が個人としてカードローンを申し込む、クレジットカードを申し込む、そして個人事業主として事業資金を申し込む場合には必ずその個人事業主の個人信用情報が審査の過程で調査されます。
そして個人信用情報を調査した結果、事故情報が登録されていれば、カードローンの審査は通りません。
クレジットカードの申し込みも通りません。
そして個人事業主としての事業資金の申し込みも通りません。

事故情報は返済ができないということ

個人信用情報に自己破産などの事故情報が登録されているということは、その個人の人はローンなどの返済ができなかったということを示しています。
ローンや事業資金の融資を行う銀行等から見れば返済ができなかった過去がある個人に融資などを行うことはしません。
返済ができないということはローンや事業資金の融資が焦げ付くということです。
ローンや事業資金の融資の焦げ付きとは銀行等が貸倒という損失を被ることとなります。
到底、銀行等が新規の融資に応じられる状況ではありません。

自己破産後に個人事業主は資金調達ができない

以上をまとめますと自己破産後に個人事業主として活躍をすることは可能です。
自己破産をしたからといって個人事業主として事業を行うことは禁止されていません。
自己破産後に個人事業主として活躍するにはどうしても資金が必要となります。
通常は個人事業主として事業をスタートするにあたっては多くの個人事業主が必要となる資金を銀行などから開業資金として融資を利用しています。
しかし自己破産後の個人事業主は開業資金の融資の審査が通りません。
つまり自己破産後の個人事業主は事業で必要となる資金を借入することが不可能だということです。

自己破産後の個人事業主は事業資金の融資を受けることができない

自己破産後の個人事業主の資金調達

では自己破産後は一切、個人事業主は事業のための資金の融資が利用できないのかと言えば決してそうでもありません。
以下では自己破産後の個人事業主が銀行等から融資を受ける際の参考情報を案内します。

自己破産情報の登録期間は有限

自己破産を行うとその情報が個人信用情報に必ず登録されます。
そして自己破産情報が個人信用情報に登録されている間は個人事業主は事業資金の融資を利用することはできません。
ではこの個人信用情報に登録されている自己破産の情報は永久的に登録され続けるのかと言えばそうではありません。
自己破産情報の登録期間は個人信用情報機関によって異なりますが最長は10年間です。

自己破産の情報が個人信用情報に登録されている期間は最長で10年

自己破産してから10年後

このように自己破産の情報は個人信用情報に最長で10年間登録がされています。
そして10年が経過すると自己破産の情報は個人信用情報から自動的に削除されます。
したがって10年後に個人信用情報を銀行が調査をしても自己破産の事実を知ることはありません。
そのため自己破産してから10年が経過すれば銀行に事業資金融資の申込を行ったとしても、自己破産が原因で審査が進まないということにはなりません。
つまり自己破産をしてから10年が経過すれば、自己破産がなかったことになるのです。

自己破産後10年が経過すれば自己破産はなかったことと同じになる

自己破産後10年が経過しても気をつけたいこと

では自己破産から10年が経過すればどこでも事業資金融資が受けられる可能性があるのかと言えば、必ずしもそうではありません。
自己破産後10年が経過した場合でも注意をすべきことを説明します。

自己破産で免責を受けたところは永久に無理

自己破産した場合には免責といって借入の返済義務から免れる手続きも一緒に行います。
裁判所から免責の許可が下りると確かに返済義務からは一切免れます。
もう返済しなくても誰からも何も言われないということです。
しかし自己破産で免責が受けるということは銀行などの貸し手側からすれば融資が貸倒れになったということです。
貸倒というのは銀行などからすると損失です。
現実問題として貸倒が発生するとそこから得ていた利息収入をはるかに上回る損失を銀行などは被ることになります。
この損失を被ったという事実は銀行などでは半永久的に記録がされています。
自己破産情報は最長10年で消滅がしますが、銀行などで保存されている損失を被ったという事実はずっと記録として残されます。
過去に貸倒に会ったお客に銀行はその後に融資を再び行うことはまずありません。
過去に損失を受けた先にまた融資を行うということは現実的にはありません。
したがって自己破産をして免責を受けた銀行などには個人信用情報で自己破産情報が削除されたとしても、同じ銀行などから融資を申込んでも審査が通ることはありません。

過去の自己破産で借入を踏み倒した銀行等からは10年後であっても融資は無理

信用保証協会も同じ考え方

中小企業や個人事業主が銀行から事業資金融資を受ける際には多く場合に、信用保証協会という公的機関の保証制度が利用されています。
銀行への融資の返済が困難になった場合に信用保証協会は債務者に代わって銀行に融資の返済をしてくれる公的機関です。
確かに信用保証協会が銀行に融資の返済を行うと債務者はもう銀行には返済する必要はなくなります。
しかし一切返済義務がなくなったというわけではなく、今度は代わりに銀行に返済をしてくれた信用保証協会に返済する義務を負うこととなります。
この信用保証協会に対する返済義務ですがこれも自己破産して免責の許可を受けるとその返済義務から免れることができます。
ただし信用保証協会側ではこの事実は銀行と同じで半永久的に記録として残されます。
したがって自己破産後10年が経過したからといって再び信用保証協会の保証制度を利用した銀行融資を受けようとしても、信用保証協会を利用することは現実的には困難です。
信用保証協会が利用できないということは事実上は銀行から融資が受けられないということです。

自己破産後、個人事業主になれるか?のまとめ

以上、自己破産後、個人事業主になれるか?についてまとめますと次のようになります。

まとめ

・自己破産をしても個人事業主にはなれる
・ただし自己破産後少なくとも10年以内は個人事業主は銀行等から融資を受けることは不可能
・自己破産後10年が経過すれば個人事業主は銀行等から融資が受けられる可能性が出てくる

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