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融資審査マンの見方

入出金取引は融資審査のポイントです

銀行の融資審査は主に取引先がきちんと融資を返済できるかに多くの時間が費やされます。
基本的に返済能力が乏しいと融資審査には通りづらくなるのですが、入出金取引がある融資審査に通りやすい効果があります。
入出金取引が融資審査のポイントとなるケースについて説明をします。

融資審査のポイント

次の図は実際に銀行で行われている融資審査の項目や手順を示したものです。
融資審査の流れ
この図は示されている審査項目はどれもが融資審査のポイントです。

融資審査の最大のポイント

融資審査の項目は全部で9項目ありますが、このうち最後の8と9を除いた7項目はある融資審査のポイントに関連するものです。
その融資審査のポイントとは何かといえば返済能力の有無の検証です。
銀行にとって融資業務は大きな収益を生み出す大黒柱の業務です。
融資取引を通じて取引先との関係を強化する大きなツールとしての役割もあります。
しかし融資は最後まで返済されることを前提にしています。
万が一、融資が返済されなければそれは貸倒につながります。
貸倒とは銀行にとっては損失です。
一たび貸倒による損失が発生すれば、それまでの利息収入は一挙に吹き飛んでしまい残るのは大きな損失だけです。
銀行も営利企業ですから損失は何としても回避したいところです。
そのため銀行の融資審査においてもっとも時間をかけて検証している項目は融資の返済能力です。
この融資の返済能力を判断するためにさきほどの審査項目のなかに1~7があると考えてください。
返済能力は融資審査の最大のポイントなのです。

銀行の融資審査の最大のポイントは融資先の返済能力有無の検証

入出金取引と融資審査との関係

では入出金取引は融資審査とどのような関係にあると思いますか?

入出金取引とは

入出金取引とは事業に伴う売上の入金や支払などのことです。
この入出金取引が自行で行われているかどうかは融資審査に少ながらず影響を与えます。
具体的な事例で説明します。

1億円の無担保融資相談

年商10億円ほどの警備業の会社の事例です。
当行は主力行であり業績は無難に推移していました。
当行以外に3つの銀行と取引があり、他行も当社に対しては積極的に融資提案を行っていました。
そのような当社よりある日、同業他社を買収する話があり、買収資金として1億円ほど必要なこと、出来たらその1億円を無担保にて借入したいとの相談がありました。
当行以外の3つの銀行にも同じような相談をするとのことでした。
当行はすでに当社に対しては無担保融資が1億円強実施しており、正直簡単には進められない融資案件でした。
数日後、その会社より連絡があり3つの銀行からはいずれも今回の融資は難しそうだということでした。
日頃より積極的に融資提案を行っていた他行ですが、それぞれの銀行も相応の無担保融資を実行しており、さらなる無担保融資はいくら業績が無難とはいえ、無理があるという判断だったと考えられます。

入出金取引に付随する預金平残が拠り所

当行はさきほど説明しましたようにすでに無担保融資が1億円強実施しており、更なる無担保融資へのハードルが高い状況でした。
しかし当行には他行にはない強みがありました。
それは当社の入出金取引はほぼすべて当行に集約されており、それがために当社の当行にある預金口座の預金平残は2億円以上ありました。
すでに実施している1億円強の無担保融資に今回の1億円を加えた2億円強の融資はこの預金平残の範囲に収まります。
預金を正式担保として取っている状態ではありませんので、いつ引き出されるかはわかりません。
しかし長年の当社の取引歴から少なくとも現状程度の業績が維持される限りはこの2億円強の預金平残は今後も期待出来ます。
この預金平残は銀行は広義の担保として考えており、融資判断の大きな拠り所となるのです。
結論として当行はこの預金量を拠り所として今回の1億円の無担保融資に最終的に実行しました。

入出金取引があると銀行の責任感も強くなる

上記の例の他に銀行の融資審査においてよく議論されるのが入出金取引があると銀行はその事業者に対して一定の資金繰り支援の役割を持つということです。
特に業績に苦しんでいる融資先に対する融資案件でしばしば出て来る考え方です。
業績に苦しんでいるということは融資の返済能力が乏しいことが想定されます。
したがって本来であれば融資を断りたいところです。
しかし入出金取引があることにより銀行は一定の社会的責任を感じます。
このため必ずというわけではないのですが、資金繰りの維持のために最低限の融資を対応するということは銀行の判断でありうることなのです。

入出金取引は融資審査のポイントですのまとめ

以上、入出金取引と融資審査のポイントの関係についてまとめますと次のようになります。

まとめ

・銀行の融資審査の最大のポイントはきちんと返済能力があるかどうかという点
・入出金取引があると銀行はその事業者に対して資金繰りを支援するという社会的役割を感じることとなる
・業績が良くなく返済能力が懸念される場合に入出金取引があると融資審査にとってはプラスとなる

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