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融資審査マンの見方 銀行の本音

銀行員の融資判断

銀行の融資審査は決してコンピューターが行っているわけではありません。
銀行員が融資の判断を行っています。
今回は実際にあった銀行員の融資判断の一例をご紹介します。

ある書店に対する銀行員の融資判断

先日、取引先である近隣の書店に最新の決算書を受け取りに行きました。
その際、社長から「向こう1年間で3,000万円ほど資金が不足します。今すぐということではないが融資をお願いしたい」との相談を受けました。
私の直感は「これは融資するしかない」でした。
なぜそのように考えたかをお話しする前に、すでに融資取引のある取引先から新たな融資相談を受けた場合、金融機関の選択肢は次の3つに大別出来ます。

融資の3つの選択肢


1.融資を断る
2.融資はせず、現在の融資の返済額を見直す
3.融資する

1の場合は融資をしないわけですから、取引先は他の資金調達が出来ない場合、融資返済の延滞のみならず、最悪資金繰り破綻に至ってしまいます。
したがって金融機関としても慎重な判断が求められます。
ましてや主力銀行の立場である場合には、融資の謝絶は延滞や資金繰り破綻に至る可能性が高く、より慎重な判断が求められます。
2はいわゆるリスケです。
返済負担軽減で手許に残る資金にて資金繰りを維持していただくことになります。
ただリスケは今後の資金調達に支障が出るなど、取引先にとってはデメリットも多く、やはり慎重な判断が求められます。
そして私はこの書店からの融資相談に対して最後の3を直感的に選択しました。

長い取引歴から簡単には引けない

一番の理由はこの書店との取引歴が50年を超える長さであり、当行は主力銀行であるということです。
これらの事実は簡単にはこの取引先からは手を引けないという有形無形のプレッシャーを感じます。
融資を断ったり、あるいはリスケ対応により長年の取引先を追い込む結果となるような選択を私は行うことが出来ませんでした。

将来性が乏しく稟議の組み立てに苦慮

ではどのようにして融資を組み立てて稟議を起案するのか、ここが肝心です。
足元の業況が順調で今後も期待出来るものであれば稟議にさほど苦労は要りません。
しかしみなさんもご存じのとおり活字離れ傾向の影響が大きく、書店を取り巻く環境は決して良好ではありません。
この書店社長も「数年前までこの地区にはうちのほかに3つの書店があったが、今残っているのはうちだけ」などと環境の厳しさを認めています。
つまり外部環境は厳しく、取引先の業績も楽観視出来ないということです。
現にこの取引先の売上高は年々低下しています。
このような状態で稟議を起案しても上席から「ジリ貧の先なのに返済出来るのか?」という指摘を受けるだけです。
この点を踏まえて書店社長に今後の事業計画の展望を伺いました。
書店社長からは「今後売上が回復していく期待は持てない。このことは前々から抱いていたから、数年前に仕入先を抜本的に見直し、利益率の改善を断行した」との話を伺いました。
現にこの書店の業績は売上低下傾向の一方で利益はきちんと毎年確保されています。
つまりこの社長の数年前からの努力はきちんと数字にて結果が示されているわけです。
この点は稟議において融資の返済能力を補強する材料となります。

柔軟な事業計画

また稟議の材料として私が採用したのが面談時の社長のあるつぶやきです。
そのつぶやきとは「良い本は売れない。良くない本が売れる。いやだけど良くない本を中心にした品揃えをしている」というものでした。
この社長はとにかく読書家で、こよなく本に愛情を持っているからこそ「良い本」つまり人生の糧になるものとか、教養を高める本を本当はこの社長は売りたいのです。
しかし良い本がよく売れるとはなりません。
この点を踏まえてこの書店では売上を維持するために品揃えをまったく白紙の状態から検討し、ある意味、ビジネスに特化した戦略を採用したことです。
社長の内心は不本意なのですが、時代に合わせた弾力的な事業展開を持ち合わせているのです。
この弾力的柔軟的な経営戦略は今後の業界環境に対してもうまく乗り切ってくれるのではないかという期待を持たせてくれました。
この社長のつぶやきから私は稟議書上で「柔軟な経営戦略を持ち合わせており業績の維持、返済能力の維持が期待出来る」という趣旨の文章を示すことが出来ました。

やはり避けられない保全確保

ではこれだけで稟議が通るかと言えば、そう簡単なものではありません。
業界環境のますますの厳しさや売上が年々低下している事実から逃げることは出来ません。
ここはやはり万が一に備えた保全を固める必要があります。
幸いにも当行は先代社長の自宅不動産に根抵当権の設定を行っていました。
担保価値としての余力はまだ認められましたから、社長に根抵当権の極度増額を打診しました。
しかし社長の表情はさえません。
理由をよく尋ねてみると、先代社長が亡くなり、その後の相続により所有者は社長の弟名義となっています。
どうも兄弟仲が良くないらしく、その弟に根抵当権の極度増額を言い出しづらいようなのです。
余計なことかもしれないと考えつつも、保全を確保しなければ最終的に融資が組み立てられないと感じていた私は所有者、つまり社長の弟に直接説明してみることを意見具申しました。
社長の反応は私に申し訳なさそうに「悪いけれどお願いしても良いかな」。
数日後、この弟に私は連絡を取り、世間話から始まって約3時間にわたり担保の増額を説得しました。
最初は懸念を示されていた弟も最終的には「親父が作った会社を子供が潰すわけにもいかない」と同意を得ることに成功しました。

このようにして保全を固めることも出来、社長からの申し出通りの融資を実行出来ました。
実行にあたり書店の奥にある事務所で融資の契約を行った後、帰り際に事務所入り口近くの書棚に「店長がすすめる『良い本』です」というキャッチフレーズの下、30冊程度の本が並べられていたのを今でも鮮明に記憶しています。

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