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融資審査マンの見方

設備資金の融資後に運転資金の追加融資申し込みはできますか?

設備資金の融資を受けた後に運転資金の追加融資の申し込みができるかどうかというテーマです。
運転資金の追加融資はよくある話ですが、設備資金の融資後の追加融資には銀行が慎重になる面があります。
設備資金の融資後の運転資金の追加融資に銀行が慎重な姿勢になる理由を説明します。

設備資金の融資後に運転資金の追加融資の申し込みに関する質問

中小企業の経営者です。
10ヶ月くらい前に設備投資の資金として銀行から保証協会保証付きの設備資金融資を受けました。
もちろん返済はきちんと遅れずに行っています。
今度は運転資金の融資を申し込みたいと考えていますが、何か注意点などはありますでしょうか?

設備資金融資後の運転資金融資に対する銀行の考え方

今回の質問のケースのように設備資金の融資を実行した後に運転資金の融資申し込みを受けた場合、銀行が考えることは次のとおりです。

銀行が考えること

・設備投資後の業績が計画通りに行っておらず、設備資金融資の返済が資金繰りを悪化させているのではないか
・そのため運転資金とはいえ、実質は設備資金の返済資金の補填ではないのか

設備投資後の業績が計画通りに行っていないのではないか

設備資金の融資後に運転資金の申し込みがあった場合、銀行が真っ先に考えることは設備投資後の業績が計画通りに行っていないのではないかということです。

設備資金融資の返済原資

設備投資の目的は増産のための設備投資や合理化のための設備投資、単なる機械の買い替え投資などいろいろな目的があります。
ただし設備資金の融資において共通していることは設備投資によって生み出される収益が返済原資だということです。
設備投資の目的が増産であれば売上が増加し収益が増加することを計画しているはずです。
設備投資の目的が合理化であれば売上は横ばいだとしても利益率が向上し収益の増加を計画しているはずです。
設備投資の目的が単なる機械の買い替えであっても、やはり売上は横ばいだとしても新式の機械にすることで効率性などが改善し収益の増加を計画しているはずです。
このように設備投資の効果は収益の増加です。
そして銀行の設備資金の融資はこの増加が期待される収益にて返済が無難に行われることを期待して実行しています。

設備資金の融資の返済原資は収益

設備投資後の実績が良くなる返済が苦しいのではないか

しかし設備投資後の業績が計画を下回っているため十分な収益を上げることができず、設備資金の融資の返済が苦しいのではないかと銀行は考えます。
設備資金の返済が苦しく資金繰りを圧迫しているために運転資金の申し込みが行われているのではないかと銀行は考えるのです。

設備資金の返済が苦しいために運転資金の申し込みが行われたのではないかと銀行は考える

設備資金の融資後の運転資金の申し込みポイント

では設備資金の融資後に運転資金の申し込みを行う際にはどのようなことに気をつければ良いのかを説明します。

設備投資後の実績を示す

まず必ず行わなければならないことは設備投資後の業績の実績を説明することです。
可能であれば設備投資時の計画との比較がわかるようにすると良いでしょう。
設備投資後の業績が計画通りとか計画を上回っている場合には運転資金の追加融資について銀行は前向きに対応をします。

設備投資の効果が計画を下回っている場合

設備投資後の業績が計画を下回っている場合には、やはりそのために資金繰りが苦しくなり運転資金の申し込みに至ったと銀行は考えます。
この場合、銀行への説明において必ず次の2点は明確に説明をしてください。

銀行に伝える2点

1.当面の資金繰りの見通し
2.今後の業績の改善見通し

銀行は度重なる運転資金の融資を嫌う傾向があります。
そのため運転資金の融資により当面、すなわち少なくとも向こう1年間程度は返済を含めて資金繰りが安定することが望まれます。
運転資金の融資を受けたものの、また3ヶ月後や6ヶ月後くらいには資金繰りが危なくなり運転資金の融資が必要かもしれないといった資金繰り事情ではなかなか銀行は運転資金の融資に踏み切れません。
追加融資よりもリスケによる資金繰り支援を検討する可能性も出てきます。
また設備投資後の実績が計画を下回っている状態ですので、今後の業績の見込みや計画へのキャッチアップといった施策についての説明があると良いでしょう。

設備資金の融資後に運転資金の追加融資申し込みはできますか?のまとめ

以上、設備資金の融資後の運転資金の追加融資についてまとめますと次のようになります。

まとめ

・設備資金の融資後に運転資金の申し込みがあると銀行は設備投資がうまく行っていないのではないか考える
・設備投資がうまく行っていないために返済負担が重くなり資金繰りが苦しくなっているのではないかと考える
・設備資金の融資後の運転資金の融資申し込みをする際には設備投資後の実績を計画との対比で示すことが必要
・計画を上回っているのであれば銀行は追加の運転資金融資を前向きに検討する
・計画を下回っているのであれば当面の資金繰り見通しや業績の見通しの説明が不可欠
・当面の資金繰りが見通せない場合には追加融資ではなくリスケを銀行からすすめられる可能性もある

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