銀行の融資審査においてはいろいろな材料をもとに融資をしても心配がないかどうかを判断しています。
今回は銀行の融資審査と預金との関係について説明をします。
融資審査の中心は?
銀行の融資審査は決算書の分析や業界の動向などいろいろな要素を勘案して行っているのですが、融資審査を突き詰めていえばそれは「貸したお金が返ってくるかどうか」です。
別の表現にすると、
・短期間に資金繰りが破綻する懸念はない
・まだ資金調達ができて資金繰りが維持できる
とも言えます。
これらのことを主に決算書や試算表といった業績資料をもとに銀行は審査で検討をしています。
この「貸した金が返ってくるかどうか」「資金繰りは当面維持できる」といった判断において預金が関係することがあります。
いざという時の定期預金がある
ある実際の事例をご紹介します。
ある鉄鋼加工業の中小企業の例ですが、ここ2期ほど連絡して当社としては大きな赤字に転落してしまっています。
しかし銀行はこの鉄鋼加工業の中小企業をまだそれほど心配はしていません。
なぜなら定期預金がこの会社の月商の2倍程度あるからです。
定期預金が設立以来、社長の奥さんがコツコツと貯めてきたものです。
どこかの銀行の融資の担保にも入れていません。
解約していつでも資金繰りに使える状態です。
銀行は定期預金が温存されていることから「すぐに資金繰りに行き詰まることはない」としてそれほど心配はしていません。
追加融資の要請あれば一定程度は応じられるとも考えられます。
預金平残
もう1つ融資審査と預金との関係についての事例を紹介します。
今回は預金平残です。
飲食店を10店舗ほど展開している中小企業の事例です。
新型コロナ感染症の影響でこの2年ほどは大きな赤字状態となっています。
不採算店舗からの撤退などを行って採算の改善に努めてはいますが、なお厳しい状態が続いています。
さらなる店舗の閉鎖も検討をせざるを得ない状態です。
しかしこの飲食業の会社に対しても銀行はそれほど心配はしていません。
この会社の日々の売上金を自行の預金口座に入金しており、そのため預金の平均残高、つまり平残は相応にある先です。
業績の悪化に伴い預金平残は減少傾向にはありますが、なお月商の3ヶ月程度を維持しています。
預金平残が一定度まだまだあればそれは銀行の融資審査においては安心材料となります。
すぐに資金繰りが行き詰まることはないだろうと考えることができるからです。
困った時は預金がある取引銀行に相談
業績の悪化で資金繰りが不安定となり追加融資を受けたい場合には、取引銀行の中で日頃から預金を一番多く預けてある銀行に相談することをおすすめします。
日頃から預金をほとんどおいていない銀行に相談しても、融資を断られる可能性が大きいです。
逆に預金が相応にある銀行ではさきほどの事例のように追加融資を検討するところもあります。
困った時は預金を多くおいてある銀行や主力銀行への相談を検討してください。