銀行から融資を受ける条件として担保の提供を求められることがあります。
中小企業に多い担保の事例について説明をします。
中小企業の担保に関する質問
銀行に融資の相談をしているのですが、追加融資には担保が必要だと言われています。
中小企業が銀行から融資を受ける場合、担保は不動産以外に何を設定出来るのでしょうか。
売掛債権や在庫なども担保として見てもらえるのでしょうか。
規定担保と規定外担保
中小企業向け融資に限った話ではありませんが、銀行が担保を規定担保と規定外担保に分けて考えています。
規定担保とは
規定担保とは銀行が正式に担保として認めているものであり担保の価値(価格)の計算方法もきちんと定めているものです。
規定担保としては、
・不動産
・預金
・有価証券
が代表的なものです。
このなかでも圧倒的に多いのがやはり不動産担保です。
そのため中小企業の担保としても不動産担保が圧倒的に多い状態となっています。
規定担保の特徴としては担保としての価値(価格)が求めやすいところにあります。
不動産は日々活発に売買などで取引されていますし、国が公示価格などで不動産の価格を示しています。
したがって担保としていくら見ることができるのかが非常にわかりすいものとなっています。
さらに銀行として担保はいざという時の融資の回収手段です。
そのため短期間のうちに換金できることが重要です。
この点においても規定担保は換金しやすい特徴があります。
規定外担保とは
規定外担保とは担保としては取るものの、正式には担保としては認めていないもののことです。
規定外担保としては、
・美術品
・絵画
・売掛債権や在庫
・船舶
などです。
これらの規定外担保は銀行は価値はゼロではないものの、担保としてはそれほど期待をしていません。
例えば美術品を例にあげます。
美術品の価値を定めることはその性質から非常に困難であり、またいざ売却しようとしてもそれほど市場が大きいものではありません。
そのため銀行の本音としては美術品などの規定外担保は取りたくはありませんが、「ないよりはまし」といった感覚です。
中小企業の担保の特徴
中小企業の担保としては実際の融資実務においては不動産・預金・有価証券にほぼ限定されると言えます。
それ以外の規定外担保を中小企業向けの融資においても設定することはないとはいえませんが、そのような場合にはそもそも融資をお断りする方が多いと感じています。
個人名義の担保でも可能
中小企業の担保として代表的な特徴としては、担保の名義人が必ずしも中小企業自身ではないことです。
例えば中小企業の融資の担保として社長の自宅不動産を担保に出すというのが代表的なものでしょう。
担保は中小企業名義でなくても可能です。
ただしどのような人の名義でも良いかと言えばそうでもありません。
中小企業の担保としては社長及びその一族の名義にほぼ限られます。
社員だとか社長の友人名義の担保を銀行は取ることもできますが、社員とか社長の友人は直接には中小企業の経営には関与をしていません。
そのような人を担保の提供者とすることは銀行は敬遠をしています。
担保提供者と将来無用のトラブルになる可能性もあり、実際の融資実務においては経営に関与していない個人名義の担保はまず設定しません。
中小企業の担保のまとめ
以上、中小企業の担保をまとめますと次のようになります。
まとめ
・これら以外の担保を取ってまで銀行は融資しようとしない(=融資を断る)
・中小企業の担保の名義人は社長やその一族など経営に深い関与がある人のみに限定
・社員や友人など中小企業の経営に直接関与していない人名義の担保は取らない