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信用保証協会融資

保証協会の代位弁済の流れを理解する

中小企業等に広く利用されている信用保証協会の保証制度を利用した融資。
銀行宛の融資の返済が困難となった場合に信用保証協会が代わりに返済(代位弁済)してくれる融資制度です。
代位弁済の流れと代位弁済後の交渉ポイントについて融資担当の銀行員が説明をします。

保証協会の代位弁済に関する質問

「保証協会とはいえあなたの借金はチャラに決してなりません」と聞きました。
信用保証制度とは、銀行などから融資を受ける際、各地の信用保証協会が保証人となり、企業が返済できない時は保証協会が肩代わりする仕組みではないのですか?
3年前に業績不振から支払いが滞り、信用保証協会が代位弁済をすることになりました。
融資の際の連帯保証人は、代表者と信用保証協会ですが、信用保証協会から催告がきました。
どういうことなのでしょうか?

保証協会の代位弁済とは

まずは保証協会の代位弁済についてその基礎について説明をします。

保証協会の役割

一般的に中小企業や個人事業主は上場企業などの大企業に比べると信用力がどうしても弱い面があります。
信用力が弱いということは融資を行う銀行からすると融資が返済されない、融資が貸倒になってしまう懸念が高いということです。
こうなると銀行は中小企業や個人事業主には融資の貸倒を恐れて積極的に融資を行わないことになってしまいます。
しかしこれでは中小企業や個人事業主が資金繰りに困ります。

保証協会の存在で融資が受けやすくなる

ここで保証協会が登場します。
保証協会は公的機関であり中小企業や個人事業主が銀行から融資を受ける際に保証人になってくれる存在です。
銀行としては公的機関である保証協会が保証人になってくれるのであれば安心して中小企業や個人事業主にも融資を行うことができるようになります。

保証協会は中小企業や個人事業主が融資を受ける際に保証人になってくれる公的機関

銀行に融資の返済ができなくなった

保証協会の代位弁済が登場してくるのは保証協会の保証制度を利用して銀行から受けた融資の返済が難しくなった場合です。
銀行に融資の返済が出来なくなったケースとしては次の場合です。

代位弁済が検討されるケース

・事業は継続しているが売上の低下などで資金繰りが大きく悪化してしまい融資の返済が困難になった。
・売上の焦げ付きで資金繰りがショートし事業が破綻してしまった
・融資の返済が延滞となり債務者や連帯保証人に連絡が取れなくなった

事業を行っている、事業を停止して倒産したなど事情はいろいろとありますが、共通する点は融資の返済が不可能になった、あるいは返済ができる見込みがないと考えられる場合に保証協会の代位弁済が検討されるようになります。

保証協会の代位弁済は事故報告書の提出から始まる

融資の返済がされずに延滞が続いている、融資の返済がされる見込みがないといった事態になった場合、銀行から保証協会に事故報告書という書類が提出されます。
銀行から保証協会に提出がされる事故報告書の目的はつぎのとおりです。

事故報告書の目的

・融資の返済に重大な懸念が持たれる事態を銀行が保証協会に知らせる
・銀行の対応方針の連絡

銀行の対応方針とは

事故報告書で示される銀行の対応方針について説明をします。
銀行の対応方針は大きくは次の2通りです。

銀行の対応方針

・債務者や連帯保証人に融資の返済の督促を続ける
・保証協会に代位弁済を請求する

さきほど説明をしましたが保証協会は中小企業や個人事業主が銀行から融資を受ける際に保証人になる役割を持つ公的機関です。
そのため銀行は債務者や連帯保証人から融資の返済を受けることは難しいと考えた際には保証人である保証協会に融資を代わりに返済してほしい、つまり代位弁済を請求することができます。
保証協会は保証人ですから銀行から代位弁済を請求されれば最終的には応じる必要があります。

銀行と保証協会で協議をする

銀行から保証協会に代位弁済を請求すると、銀行と保証協会との間で代位弁済に関する協議が行われます。
協議といっても債務者や連帯保証人が融資の返済が本当に困難であるかどうかを銀行に説明を求めるというのが協議の実態です。
そして債務者や連帯保証人が融資の返済が困難だと考えられる場合には、保証協会は銀行からの請求に応じて代位弁済を実行します。

保証協会による代位弁済後について

それでは保証協会の代位弁済が行われた後のことを説明します。

債務者や連帯保証人は返済を免れるわけではない

保証協会が銀行に融資の代位弁済を行うと、確かに債務者や連帯保証人はもう銀行には返済する義務はなくなります。
なぜなら保証協会が代位弁済により代わりに融資の返済をしてくれたからです。
しかしだからといって債務者や連帯保証人は一切の返済から解放されるわけではありません。

保証協会が代位弁済をしても債務者や連帯保証人の返済義務はなくならない

銀行が持っていた債権が保証協会に移転する

代位弁済によって保証協会は新しい債権者として債務者や連帯保証人に返済を請求する権利を持ちます。
なぜなら保証協会が銀行に融資の代位弁済を行うことにより、保証協会は銀行から債権者としての地位を譲り受けることになるからです。
債務者や連帯保証人は保証協会が銀行に代位弁済することによって、確かに銀行に返済する義務はなくなりますが、今度は保証協会に返済する義務を負ってしまうのです。
代位については民法で規定されています。
以下民法の該当条文を掲載します。

(任意代位)
第四百九十九条  債務者のために弁済をした者は、その弁済と同時に債権者の承諾を得て、債権者に代位することができる。
2  第四百六十七条の規定は、前項の場合について準用する。(法定代位)
第五百条  弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。(弁済による代位の効果)
第五百一条  前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。この場合においては、次の各号の定めるところに従わなければならない。
一  保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。
二  第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない。
三  第三取得者の一人は、各不動産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
四  物上保証人の一人は、各財産の価格に応じて、他の物上保証人に対して債権者に代位する。
五  保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
六  前号の場合において、その財産が不動産であるときは、第一号の規定を準用する。

ちなみに銀行から譲り受けた保証協会の債権のことを求償債権と呼んでいます。
債務者や連帯保証人は保証協会に求償債務を負うことになり、保証協会に返済をしなければなりません。

保証協会との返済交渉

保証協会による代位弁済が行われた後は保証協会の今後の返済について協議をする必要があります。
もっとも今後の返済の協議といっても保証協会から一方的にすべての返済を求められるわけではありません。
保証協会が代位弁済をしたということは債務者や連帯保証人が置かれている苦しい状況は保証協会も理解をしています。
したがって現在の状況を丁寧に保証協会に説明をしながら返済の協議に臨んでください。
そして可能な範囲での毎月の返済額などが決められていきます。
毎月1万円の返済で協議が成立した事例も少なくありません。
とにかく保証協会との協議は真摯な姿勢で臨んでください。
もし協議に応じないといった対応を取れば法的対応を保証協会はやむを得ず行うことになってしまいます。

保証協会の代位弁済の流れを理解するのまとめ

以上、保証協会の代位弁済の流れについてまとめますと次のようになります。

まとめ

・融資の返済が困難な状況になると銀行から保証協会に事故報告書が提出される
・事故報告書に基づいて銀行と保証協会で代位弁済に向けた協議が行われる
・保証協会による代位弁済が実行されると銀行の債権は保証協会に移転する
・代位弁済後は保証協会に返済をしなければならない

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