地元の中小企業や個人事業主を応援するために各地方公共団体では制度融資をいうものを設けています。
地元の事業者が銀行から融資を受けるあたり利子補給を行うなどして有利な条件で融資が受けられるようにする制度の事です。
制度融資の仕組みについて整理をしておきます。
目次
制度融資に関する質問
市の制度融資を受けようと思っています。
市の許可はおりて銀行に申し込みを行っています。
銀行や信用保証協会の審査があると思いますが、どの程度の可能性がありますか?
制度融資の仕組み
この図はある東京都新宿区のHPに掲載されている制度融資の仕組みについてのものです。
制度融資の仕組みについて実際の利用手続きの流れに沿って説明をしていきます。
制度融資の利用資格
なお制度融資を利用するにはその地域で事業を行っているなどの条件があります。
参考までは東京都新宿区の利用者資格を掲載します。
1(1)法人は、次の要件をいずれも備えていること ①区内に本店(営業の本拠、以下同じ)があり、区内で同一事業を引き続き1年以上営業しており、かつ本店登記が登記日から1年以上区内にあること
②本店と本店登記が区内の同一所在地にあること(バーチャルオフィスは対象外)
(2)個人は区内に事業所(営業の本拠、以下同じ)があり、区内で同一事業を引き続き1年以上営業していること(個人事業主で区内在住 1 年以上の場合は東京都内の事業所も可)
※(1)、(2)とも、1期以上確定申告を行っていて、面談時に納税証明書等を提出できることが条件となります。
2 東京信用保証協会の保証対象業種を営んでいること
※許認可・届出等を要する事業を営んでいる場合は、当該事業に係る許認可等を受けていることが必要です。
3 住民税、事業税を滞納していないこと
普通にその地域で事業を営んでいれば制度融資の利用対象となります。
制度融資の仕組みと手続きの流れ
あっせん取得
制度融資を利用しようとする場合には最初に市役所などの窓口で制度融資のあっせん(紹介)手続きを受けることからスタートします。
「産業振興課」のように各役所で制度融資を担当している部署に出向いて制度融資利用のあっせん(紹介)を受けます。
その際、上記の利用資格が満たしているどうかの確認を受けます。
利用資格を満たしているかどうかを確認するために制度融資のあっせん手続きを受ける際には以下のような書類の準備が必要となります。
【法人の場合】
1.履歴事項全部証明書
2.事業税の納税証明書
3.確定申告書(いわゆる決算書)
4.代表者の住民税納税証明書
5.法人実印
【個人事業主の場合】
1.住民票
2.事業税の納税証明書
3.所得税確定申告書
4.住民税の納税証明書
5.個人実印
あっせん手続き時に必要となる書類はおおむね上の通りですが、役所によっては少し異なることもありますので、各役所のHPや電話等にて確認をしてください。
このあっせん取得の手続きが終わると役所から「あっせん書」が交付されます。
銀行への融資申し込み
上記で交付を受けたあっせん書を持参して融資を受けようとする銀行に制度融資の申込手続きを行います。
時々勘違いがあるのですが制度融資は各役所自身が融資を行うわけではありません。
役所は制度融資のあっせん(紹介)のみを行うのであって、実際に融資を行うのは銀行などの金融機関になります。
そのために融資を受けようとする銀行に制度融資の申込が必要となるのです。
信用保証協会への保証申し込み
制度融資は信用保証協会の保証付融資となります。
そのため信用保証協会に保証制度利用の申し込みを行う必要があります。
ただし信用保証協会に別途保証制度利用の申し込み手続きを行う必要はありません。
さきほどの銀行経由にて信用保証協会への申し込み手続きが行われます。
融資審査
銀行及び信用保証協会への制度融資の申し込み手続きを行うと、銀行及び信用保証協会にてそれぞれ融資審査が行われます。
銀行及び信用保証協会での審査は制度融資だからといってハードルが低い審査が行われるわけではありません。
制度融資ということとは関係がなく融資がきちんと返済できるかどうかといった本来の融資審査が行われます。
融資契約・融資実行
銀行及び信用保証協会での審査が可決となりますと銀行の融資契約を行い、その後に制度融資が実行されます。
この際、制度融資の条件にしたがって役所から利息の補助や信用保証協会への保証料の補助が行われます。
制度融資の仕組みのまとめ
制度融資は利息の補助や信用保証料の補助といったように一般の融資よりは有利な条件が利用ができるものです。
また融資金利も各役所と銀行などの金融機関との協定により比較的低めに設定がされています。
利用する価値がある融資ですから、資金調達の際には検討をされると良いと思います。
なお重複しますが制度融資は役所が融資を行うのではなく、融資を行うのは銀行です。
銀行では制度融資かどうかに関係がなく、通常の融資審査が行われます。
したがって役所から制度融資のあっせんは受けられたものの、銀行や信用保証協会での審査に通らないと制度融資は利用することができません。
この点には注意が必要です。