信用保証協会融資

信用保証協会の代位弁済が行われる条件

信用保証協会の保証制度を利用した融資を銀行から受けている場合、その返済が困難になった場合には信用保証協会による代位弁済が行われます。
そして融資の債権は銀行から信用保証協会に移転します。
信用保証協会による代位弁済はどのような場合に行われるのか、代位弁済の条件について説明をします。

代位弁済に関する質問

信用金庫より信用保証協会の融資を借入しています。
売上の低下で融資の返済が出来ず、先日信用金庫の担当者より信用保証協会に代位弁済を申請すると言われました。
代位弁済後、どのような返済をせまられるのでしょうか?

代位弁済の前提

信用保証協会の保証制度を利用した融資は銀行が行っています。
そのため信用保証協会の保証制度を利用した融資の返済は銀行に対して行う必要があります。
しかし融資の返済ができなくなってしまった場合には銀行が信用保証協会に請求をして信用保証協会が債務者や連帯保証人に代わって融資の返済を行います。
これが信用保証協会による代位弁済です。
このように信用保証協会による代位弁済が行われる前提条件というのは債務者や連帯保証人が銀行に融資の返済ができなくなった場合です。

代位弁済が行われる条件

信用保証協会が銀行に対して行う代位弁済の条件は実は信用保証協会と銀行との協議を経て決定されます。
したがってこのような条件になれば信用保証協会の代位弁済が行われる条件が明確になっているわけではありません。
ただしこれでは信用保証協会がどのような場合に銀行に代位弁済を行うのかがはっきりとしません。
実務においては銀行による代位弁済請求のスタートは銀行が信用保証協会に行う「事故報告書の提出」です。

事故報告書提出の条件

では銀行による代位弁済請求の手続きのスタートである事故報告書の提出はどのような場合に行われるのかを説明します。

1.支払の停止または破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始もしくは特別清算開始の申立があったとき。
2.手形交換所、電子債権記録機関の取引停止処分を受けたとき。
3.債務者または保証人の預金その他当該金融機関に対する債権について、仮差押または差押の命令、通知が送達されたとき。
4.住所変更の届出を怠るなど債務者の責めに帰すべき事由によって、当該金融機関に債務者の所在が不明となったとき。
5.担保の目的物について差押または競売手続の開始があったとき。
6.1 回目の不渡手形を出したとき。または、電子記録債権の支払不能があったとき。
7.保証付債権または金融機関固有の債権の内入が 3 回分相当(毎月返済の場合)延滞したとき(据置期間中の利息の延滞を含む)。
8.期限一括返済の貸付個別保証、貸付根保証、当座貸越根保証または同条件の金融機関固有の債権が期限に完済とならなかったとき。
ただし、保証付債権において、更新の保証申込をしているものは除く。
9.割引手形(割引電子記録債権)または担保手形(担保電子記録債権)が不渡となり、買戻しまたは差替等ができなかったとき。
10.休業、廃業または火災等で債務の履行が困難と認められたとき。
11.保証条件担保の価値が火災等により減少し、担保の差替、追加ができなくなったとき。
12.その他返済が困難と認められたとき。

銀行が事故報告書の提出を行う事態は全部で12あります。
信用保証協会による代位弁済が行われるには必ず銀行から事故報告書の提出がされていることが絶対条件となりますから、これら12の事態が生じた場合には銀行は必ず信用保証協会に対して事故報告書の提出を行います。
銀行が信用保証協会に行う事故報告書の提出の12の事態を1つ1つ見ていきましょう。

1.支払の停止または破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始もしくは特別清算開始の申立があったとき。

これはいわゆる倒産あるいは事実上の倒産とよく言われる事態です。
融資の返済が困難となった明らかの事態ですから銀行は信用保証協会に事故報告書の提出を行います。

2.手形交換所、電子債権記録機関の取引停止処分を受けたとき。

取引停止処分とはいわゆる銀行取引停止処分です。
取引停止処分が出される条件は不渡りが2回発生した場合です。
不渡りが2回発生すると銀行取引停止処分を受けます。
銀行取引停止処分を受けても事業を継続することは可能ですが、信用力の悪化が世の中に広く知れ渡ることになり事業の継続が現実には非常に困難となります。
いわゆる事実上の倒産です。
融資の返済が困難になった考えられる客観的な事態ですから銀行は信用保証協会に事故報告書を提出します。

3.債務者または保証人の預金その他当該金融機関に対する債権について、仮差押または差押の命令、通知が送達されたとき。

債務者や連帯保証人の預金口座に差押がされるという事態は尋常なことではありません。
実際に債務者や連帯保証人の預金口座に差押がされると債務者は銀行に対して持っている期限の利益を喪失します。
期限の利益とは融資を期限まで借りていられるという権利です。
この期限の利益を喪失するわけですから、債務者や連帯保証人は直ちに銀行に融資の返済をしなければならない事態となります。
とにかく債務者や連帯保証人の預金口座に差押がされるという事態では尋常なことではなく、債務者の事業継続に重大な危惧が抱かれます。
当然、融資の返済も困難になるでしょう。
したがって銀行が信用保証協会に事故報告書を提出する事態です。

4.住所変更の届出を怠るなど債務者の責めに帰すべき事由によって、当該金融機関に債務者の所在が不明となったとき。

これは行方不明になった場合です。
融資の返済の督促をしようにも連絡がつかない状態です。
当然、融資の返済に重大な事態が生じていることになります。
したがって銀行は信用保証協会に事故報告書を提出します。

5.担保の目的物について差押または競売手続の開始があったとき。

担保の目的物とは不動産や有価証券などのことです。
これら不動産などに差押とか競売手続きが開始されるという事態も尋常なことではありません。
融資の返済に重大な懸念が持たれる事態です。
銀行は信用保証協会に事故報告書を提出します。

6.1 回目の不渡手形を出したとき。または、電子記録債権の支払不能があったとき。

さきほど2回目の不渡りを出して銀行取引停止処分を受けたら、銀行は信用保証協会に事故報告書を提出ことを説明しました。
今回は銀行取引停止処分を受けてはいない1回目の不渡りを出した事態です。
1回目の不渡りを出した時点では銀行取引停止処分にはなりませんが、不渡りが1回目か2回目かの違いだけであって、債務者の信用力に重大な懸念が持たざるを得ない事態です。
1回目の不渡りを出すと時間の問題で近いうちに2回目の不渡りを出して銀行取引停止処分に至るケースが大半です。
このような場合も融資の返済に重大な懸念が持たれる事態ですから銀行は信用保証協会に事故報告書を提出します。

7.保証付債権または金融機関固有の債権の内入が 3 回分相当(毎月返済の場合)延滞したとき(据置期間中の利息の延滞を含む)。

これは重要です。
融資の返済を延滞してもただちに銀行が信用保証協会に事故報告書を提出することにはなりませんが、延滞が3回分相当、つまり延滞期間が3ヶ月になると銀行は信用保証協会に事故報告書を提出するということです。
3ヶ月延滞をしているということは債務者の返済能力に重大な事態が発生していると考えざるを得ません。
延滞が3か月未満であれば銀行は信用保証協会に事故報告書を提出しませんが、延滞期間が3ヶ月になると銀行は融資の回収ために代位弁済に向けた動きが本格的に開始するということです。

8.期限一括返済の貸付個別保証、貸付根保証、当座貸越根保証または同条件の金融機関固有の債権が期限に完済とならなかったとき。

融資の返済方法が分割返済ではなく一括返済の場合には、その返済期日に返済ができなかった場合には銀行は信用保証協会に事故報告書を提出するということです。
融資の返済期日は初めからわかっていることです。
その返済期日に融資が返済できないということは債務者の信用力や資金繰りに大きな懸念が持たれる事態と言えるでしょう。

9.割引手形(割引電子記録債権)または担保手形(担保電子記録債権)が不渡となり、買戻しまたは差替等ができなかったとき。

割引手形が不渡りになった場合には債務者は銀行のその手形を買い戻す義務があります。
割引手形が不渡りになったということは返済期日に融資の返済ができなかったということと同じ意味合いです。
買い戻すとは不渡りとなった手形代金を銀行に払う、つまり融資の返済をするということです。
これの買戻しができないと銀行は信用保証協会に事故報告書を提出します。

10.休業、廃業または火災等で債務の履行が困難と認められたとき。

この条件もやむを得ない事情であることはわかりますが、融資の返済が困難になったと考えざるをえない事態です。
そのため銀行は信用保証協会に事故報告書を提出します。

11.保証条件担保の価値が火災等により減少し、担保の差替、追加ができなくなったとき。

信用保証協会の保証を利用するにあたり担保の提供が条件になっている場合、その担保がなくなると銀行は万が一の場合にその担保を処分して融資の回収が困難になる事態になってしまいます。
したがってこのような場合にも銀行は信用保証協会に事故報告書を提出します。

12.その他返済が困難と認められたとき。

1から11以外の理由で総合的に融資の返済が困難と考えられる事態になった場合に銀行は信用保証協会に事故報告書を提出します。

代位弁済後の返済

このように代位弁済の手続きは銀行がさきほどの事故報告書を提出することから着手されます。
そして信用保証協会と銀行との協議を踏まえて信用保証協会による代位弁済を実行されることになります。
信用保証協会による代位弁済が行われると債権は銀行から信用保証協会に移ります。
銀行に対しては返済する義務はなくなりますが、それで終わりではなく今後は信用保証協会に返済する義務を負うこととなります。
なお代位弁済後の返済は信用保証協から一方的に求められるということではありません。
もちろん信用保証協会側は一日でも早く債権の回収を図りたいわけですが、一方で銀行への返済が出来なかったから代位弁済となってしまった事実も当然認識しています。
このため、代位弁済後の信用保証協会宛の返済は、信用保証協会との話し合いにより個別に決定されているのが実態です。
実態として毎月どの程度の返済が可能なのか、このあたりを複数回の交渉を通して返済方法が決められていきます。
中には毎月1万円ずつの返済というケースもあります。
大切なことは真摯に信用保証協会と話をされることです。
代位弁済中は信用保証協会が新たな保証を行って金融機関から融資を受けることは一切出来ません。
しかし代位弁済後の返済履行状況が良好であると信用保証協会が認めた場合には、信用保証協会が金融機関に推薦を行って、代位弁済で残っている金額を再び金融機関からの融資に切り替えてくれる、つまり正常化の道も残されています。

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