運転資金と設備資金はそれぞれ銀行の代表的な融資の種類です。
運転資金と設備資金の返済期間は資金使途の違いによって異なります。
運転資金と設備資金の返済期間の考え方について説明をします。
運転資金とは
運転資金の基本的な考え方は売上代金回収までのつなぎ資金です。
現金商売であれば売上の発生と同時に売上代金が手元に入ってきますが、多くの事業では掛売りで行われています。
掛売りの場合ですと、売上の発生と同時に売上代金が手元に入ってくることはなく、後日、販売先との契約に基づいて売上代金が手元に入ってきます。
そのため売上代金をすぐに資金繰りに利用することはできませんので、この間のつなぎ資金として運転資金が必要になってくるのです。
運転資金は売上代金回収までの短期間のつなぎ資金というのが基本的な性格
運転資金の返済期間は基本的に短期
このように運転資金というのは売上代金回収までのつなぎ資金というのが基本的な考え方ですから、運転資金の返済期間は短期とするのが一般的です。
実際の融資実務で多いのは返済期間を3ヶ月とか6ヶ月の短期とし、返済期日に一括返済をするのが基本です。
運転資金は常に必要
売上代金が手元に入ってくれば一旦運転資金の必要性はなくなります。
しかし事業は繰り返し継続して行われていますので、一旦運転資金の必要性がなくなってもすぐにあるいは同時に再び運転資金の必要性が出てきます。
したがって返済期間が3ヶ月とか6ヶ月の期日一括返済として、一旦返済をしても再びすぐに運転資金の必要性が出てきます。
そのため運転資金の返済期間は短期とするものの、返済期日に返済をするのではなく返済期日を延ばす、つまり融資を継続する扱いが多いです。
実際にも運転資金の返済期間は3ヶ月とか6ヶ月と短期ではあるものの、もう何年間も継続している、つまり実質的に返済期間が長期となっている例もたくさんあります。
運転資金の返済期間は基本的に短期であり、返済方法は期日一括返済
ただし返済期日に継続をすることで実質的に運転資金の返済期間が長期になっている例も少なくない
継続時には審査がある
気をつけなければならないことは運転資金の融資の継続といっても無条件で継続が行われるわけではありません。
継続時には銀行では継続に応じるかどうかの審査を必ず行っています。
そのため銀行が継続に応じなければ返済期日に運転資金の融資を返済しなければなりません。
運転資金の返済期間が短期であるというのは運転資金が売上代金回収までのつなぎであるという基本的な性格によるものが基本ですが、返済期間を短期とすることで銀行が定期的に業績などのチェックを行っているとも言えます。
運転資金の継続時には銀行による審査があるため継続がされないこともある
設備資金とは
運転資金が売上代金回収までの短期のつなぎであることに対して、設備資金は事業に使用する車両や機械、不動産などの固定資産を取得するために必要となる資金のことです。
車両や機械、不動産などの固定資産は短期間の事業のためだけに利用されるのではなく、この先長期間にわたって事業のために利用されるものです。
このような背景から設備資金の融資の返済期間は長期になることが一般的です。
固定資産は長期間にわたって事業に使用されて売上や収益を生み出します。
そのため設備資金も返済期間を長期として分割して返済していく方法が一般的です。
取得する固定資産の種類で異なってきますが、設備資金の返済期間は3年から5年、長くて10年とすることが多いです。
設備資金の返済期間は長期とするのが基本
運転資金と設備資金の返済期間のまとめ
以上、運転資金と設備資金の返済期間についてまとめますと次のようになります。
まとめ
・そのため運転資金の返済期間は短期の一括返済とするのが一般的
・もっとも運転資金は常に必要な資金であるため、返済期日の一括返済とはせず継続する扱いも数多くある
・何年も継続することにより実質的に運転資金の返済期間が長期になっている例も少なくない
・ただし継続時には銀行による審査が行われ、業績悪化などを理由に継続がされないこともある
・設備資金は車両や機械、不動産などの固定資産を取得するために必要となる資金
・固定資産はこの先長期間にわたって事業に使用され、売上や収益を生み出す
・したがって設備資金の返済期間は長期とするのが基本