運転資金がどれくらい必要なのかを知る目安として運転資金の期間というものがあります。
運転資金の期間とは何かをわかりやすく説明をします。
目次
運転資金とは資金の立替
世の中には運転資金が不要な事業があります。
それは飲食業などの現金商売の事業です。
飲食業においてはもちろん食材などの材料の仕入や従業員への給料の支払い、水道光熱費の支払い、家賃の支払いなどいろいろな支払があります。
したがって一見運転資金が必要のように感じられると思いますが、一方で売上代金は日々現金で入ってきます。
なぜなら飲食業は現金商売だからです。
そのため食材のなどの仕入代金や給料などの経費の支払いは日々入ってくる売上代金の資金を充当することができます。
運転資金は売上代金回収までのつなぎ
しかし現金商売以外の事業では売上は掛売りで行われています。
掛売りということは売上代金は後で手元に入ってくるということです。
現金商売のように売上発生と同時に手元の資金は入ってきません。
したがって売上代金が入ってくるまでの間に発生する仕入代の支払や給料などの経費の支払は売上代金が入ってくるまでは別途準備をしなければなりません。
この売上代金が入ってくるまでに準備しなければならない資金が運転資金なのです。
つまり運転資金は売上代金という資金が入っているまでの立替資金のことです。
運転資金を資金の循環で考える
これは製造業を例にした資金の循環を示したものです。
手元にある資金は製品を作るために欠かせない原材料の購入資金に充てられ、それが製品(棚卸資産)となりそれが売れて最後に売上代金として再び資金として手元に戻ってきます。
この間、資金は原材料や製品などに循環をしているわけです。
資金が循環している間は手元の資金がない計算となりますが、この間の各種の支払に必要となるのが運転資金なのです。
この循環している期間はどれくらいなのかを知ることで運転資金の期間がわかり、必要となる運転資金の金額がわかることとなります。
運転資金の期間の3つの要素
さて運転資金を期間で捉えるうえでは3つの要素があります。
その3つの要素とは、
運転資金の3つの期間
・棚卸資産回転期間
・買掛債務回転期間
売掛債権回転期間とは
売掛債権とは売上が発生しその代金を後日資金として受け取る予定のものです。
そのため売掛債権の間は手元に資金はまだ入ってきません。
したがって売掛債権回転期間とは売上が発生してから手元の売上代金が入ってくるまでの間の期間のことです。
売上が発生し1ヶ月後に売上代金を販売先から回収するのであれば、売掛債権回転期間は1ヶ月となります。
棚卸資産回転期間とは
棚卸資産はそれが販売されて初めて手元の資金が入ってきます。
棚卸資産である間は資金は手元には入ってきません。
棚卸資産回転期間とは棚卸資産が売れるまでの間の期間のことです。
原材料を使って製品(棚卸資産)を製造しそれが1ヶ月後に販売されるとしたら、棚卸資産回転期間は1ヶ月ということになります。
しかし実際には製品がいつ販売されるかはなかなか計画することが難しいところもあるはずです。
そのため月商の何ヶ月分の棚卸資産があるかを確認してください。
例えば棚卸資産が月商の2ヶ月分あるとすれば、それは棚卸資産が2ヶ月後の販売されると考えることができますから棚卸資産回転期間は2ヶ月ということになります。
買掛債務回転期間とは
買掛債務回転期間はさきほどの売掛債権回転期間や棚卸資産回転期間とは少し考え方が異なります。
販売を掛売りで行っている反対として仕入も掛けで仕入をしているはずです。
仕入を掛けで行っているということは仕入をした時点では資金は必要なく、後日の支払時に資金が必要となります。
仕入をしてその代金を支払うのが1ヶ月後だとすれば買掛債務回転期間は1ヶ月となります。
これは仕入をしてその代金を支払うまでの間は資金が不要だということですから、買掛債務回転期間の間は運転資金が不要だということになります。
運転資金の期間の計算式
以上、これまで売掛債権回転期間、棚卸資産回転期間、そして買掛債務回転期間を説明してきましたが、この3つの期間の要素でもって運転資金の期間を計算するとなると次の計算式となります。
売掛債権回転期間や棚卸資産回転期間の間は手元の資金がない状態ですから運転資金の期間の計算ではプラスします。
一方で買掛債務回転期間の間は手元に資金がなくても大丈夫な状態ですから運転資金の期間の計算ではマイナスします。
以上で運転資金の期間が計算できるわけですが、運転資金の期間は立替期間とも呼ばれています。
そして運転資金の期間、つまり立替期間に月商を掛けることで必要な運転資金の金額を知ることができます。